8.魔界へ
マクシムスに案内されて私たちは神殿の地下通路に入った。
広い通路だ。ワイバーンもギリギリ飛ぶことができそう。突き当りに大きな岩がある。
道反之大神みたいね。
「さあ、この先に魔界があります。危ないのでワイバーンにあらかじめ乗った方が良いでしょう」
私たちはマクシムスを先頭に、皆ワイバーンに乗って待機した。
「行きますよ!」
マクシムスが呪文を唱え、魔界への道が開く、私たちはそのブラックホールのような暗闇の中に吸い込まれるように入って行った。
エルフの里に行く時よりももっと長い時間、私たちは暗闇の中を滑空する。キュー太、今もどこからか見守ってくれてる?目を閉じればあのぶっきらぼうな、でも暖かい声が聞こえてくる気がする。
周囲が明るくなって、ワイバーンが並行飛行に変わった。目を開ければ広大な魔界が広がっている。
空は不思議な薄暗い曇り空のようで、下を見ると淀んだ黒が広がっている。荒廃した大地に魔物が犇めき、様々な嘶きが聞こえて来た。
ここが魔界……。遠くに聳え立つ山のようなものが見える。あれが魔王の城なのだろう。
「ワイバーンでよかったですね。この魔物の中を進むのはさすがに自殺行為だ。それに、空からの敵もすでに迫ってきました」
マクシムスがそう言うと、目の前に魔族の大群がやって来た。
「とりあえず、こいつらを蹴散らして、魔王の城のダンジョンを目指すわ!皆、打合せ通りにね!」
私は迫りくる魔族に向けて地獄の炎を展開した。
マクシムスが光魔法で私たちを保護し、炎の熱もものともせず、前に進むことが可能になる。
地獄の炎は聖女バージョンなので、属性関係なく魔族に有効。それでもダメージは十万ダメージほどなので、殲滅するに至らない。
生き残った魔族たちが左右から攻めてくる中、ケイトとズィアスが両サイドを守り、次々と撃ち落としてくれる。
マクシムスは定期的にワイバーンに回復魔法もかけてくれる。
魔力消費が大きいと思うけど、ダンジョン迄なんとか頑張って!
そんな凄絶な攻防を繰り広げた末、私たちは何とか魔族の追撃を振り切って、ダンジョンに到着したのだった。
ワイバーンはマジックバッグにしまって、私たちはダンジョンの中に足を踏み入れた。




