4.リベロ侯爵邸
ケイトに一月後のお披露目の儀について相談した。マナーが不安だと零すと、リベロ侯爵邸でマナー講座を開いてくれることになった。宰相にも話すと、いいアイディアだと、学校の後ケイトと一緒に毎日侯爵邸に通えるよう手配してくれた。
というわけで、ついに来ましたよ!憧れのアンドレア様のお住まいに!
きっと運命的な出会いを果たすのよね!とドキドキワクワクしていると、あっさりその思いは打ち砕かれた。
「私は兄と姉がいるのですが、姉はもう嫁いでおり、兄は領地経営にかかりきりで、この邸には二人ともほとんど戻りませんの。どうかお寛ぎなさってね!」
重厚な石造りの、それでいて洗練されたリベロ侯爵邸のタウンハウスに入るなりそう言われた。
えっじゃあ、お兄様に会う機会ないじゃん!
「ケイトのお家の領地って、ラミノ州よね」
ラミノ州は南の方にある風光明媚で豊かな土地だ。王国の農産物の多くを産出している。確か、水産業も盛んで、領民は豊かに暮らしていると聞く。
「はいそうです。貴女が落ち着いたらご招待しますわ。兄も会いたがっていましたし、美味しいものも沢山ありますのよ!」
よし言質は取った!魔王討伐終わったらラミノ州にレッツゴー!
私は満面の笑顔で言った。
「嬉しい!楽しみにしてるわ!約束よ!」
客間の一つだという部屋に案内されて、まずお茶とお菓子をいただいた。
お茶会の作法については、問題なさそうだと太鼓判をいただいた。
食事の作法も先日の晩餐会を見る限り、問題ないとのこと。
前世の母の躾のお陰です。お母さんありがとう!
で、肝心のお披露目の儀の作法よね!竜騎士としてキビキビと動きすぎる私は、ドレスでの立ち居振る舞いについて徹底的に学んだ方がいいということだった。後ダンスもね!
明日からは宰相が用意してくれた既製ドレスと靴を身に着けて立ち居振る舞いの訓練をすることになり、今日は時間が余ってしまった。せっかくなので侯爵邸を一通り案内してもらおう。
二階の廊下には家族の肖像画が並んでいた。当然アンドレア様の幼い時から成人までの絵姿もありました!貴族名鑑で見た通りの赤髪のイケメン。さすがケイトによく似ているわ。そう言うとケイトは嬉しそうに頷いた。お兄様にはとても可愛がってもらっているらしい。羨ましい!
ケイトとお兄様は侯爵夫人に似ていて、お姉様は侯爵にそっくりだった。侯爵と夫人も美形で全員見事な美男美女!
侯爵夫妻も今は領地に戻っているそうで、この邸にはケイトと使用人だけが住んでいるという。夫妻は今月中には戻るということでお会いする機会もあるだろうけど、ケイトが竜騎士を目指す原因になった私を受け入れてくれるか不安だわ!
それから連日の鬼の特訓を経て、十日もすれば何とか様になるようになった。
動きが速すぎることにだけ気を付ければ、大体OKがでるようになった。
ダンスも踊る機会が本当にあるのかないのかわからないけど、何とか踊れるようになったよ!
まあ、アンドレア様と結婚するなら、社交は必要なので、覚えて損はないと思う。というか、アンドレア様が横にいることを想像しながらやったら上手くできた!
恋の力は偉大だ!




