97 竜種の迷宮
ごみゼロの日なので初投稿です
午前中は教会や近所の子供たちの遊び相手をして、午後は迷宮に潜ったり無属性魔鉄の研究や投擲釘の練習をする。1週間ほどその繰り返しをしていたらヴニュに呼び出された。
「出来たぞ、新生スーパーウルトラカリバーンだ」
「見た目はそんなに変わらないけど、凄いな……」
剣を被うオーラが尋常じゃなく青い、しかもその中にあのタコ野郎の黒も入り混じっている。
「分かるか、スライムの核殻にお前さんが持ってきたあのブツを混ぜてみたのよ。話を聞く限りだとその迷宮主も水属性っぽかったからな。そしたらドンピシャ!性能的には魔銀と同等かそれ以上に仕上がったぜ」
確かにあいつは見た目は水属性だろうけどそれ以外の要素が闇属性すぎる。まあ、結果としては強化に繋がったのだから問題は無い。
「魔鉄ベースで作って魔銀並になるなら魔銀ならもっと凄くなるんじゃないのか?」
「いや、魔銀は無理だな」
「なんでさ?」
「アレは聖属性だからな、他属性は作れねえんだ」
「聖属性?光属性とは違うのか?」
「真聖教が使う回復魔術とかあるだろ、アレが聖属性なんだ。んで、魔銀の製造も真聖教が秘匿してて持っているのは真聖教の守護騎士か教国の大司祭ぐらいだ」
スレイの剣が確か魔銀製だ。あの剣かなりの高額商品だったらしい。
「魔銀は聖属性しかないって事か」
「と言うより聖属性の魔力が入った銀を魔銀って言ってるんだろうな」
「魔銀以外で魔鉄より強い素材は無いのか?」
「あるにはあるが……魔金剛って言うんだが、これは現実的じゃあねえな」
オリハルコン!伝説の金属と言えば一番にこれが出てくるであろうメジャーな名前だ。元の世界では銅系の合金を指す言葉らしいが、ことファンタジー世界であるここでは全く別の可能性がある。
「それはどういう金属なんだ?伝説的な金属とか」
「伝説って訳でもねえよ。レーヴェンっていう国でしか採れない金属の名前なんだが魔銀より硬くて軽いって評判なんだよ。」
「じゃあそいつを使えば……ってことにはならないのか?」
「あぁ、理由としては値段だな。ナイフ1本で中央都市の一等地の家を10件買ってもおつりがくるって言われてる」
たっか。
「そのせいでまずレーヴェン以外で見ねえ。ほぼ独占状態さ」
そりゃあ無理だな、大人しく魔鉄を使おう。だがいつかは見てみたいな魔金剛。レーヴェンか、覚えておこう。
「魔金剛の話は置いといてだな。お前さん風属性の付加を使えるよな?」
「ん?あぁ、風刃の事か。確かに使えるぞ」
「それでな、良質な風属性の魔鉄が手に入るかもしれない仕事があるんだが……」
「話を聞こう」
事の発端は半年ほど前に遡るらしい。ある日を境に各地にある竜種が居る上級迷宮の魔物が活発になってきたという。
初めはいつもより魔物が見つけやすい程度だったのが日に日に魔物の数は増え続け、このままだと魔物氾濫も時間の問題らしい。そこで冒険者を集めて魔物掃討作戦が開始されるらしい。
「なんでお前がそんなこと知ってるんだよ」
「世の中にはどれだけ秘密にしても口が軽い奴がいるもんだよ」
冒険者の機密管理ガバガバすぎる。まあ誰でもなれるのが冒険者だし腕があるなら成り上がれる。たとえそれが教育を受けていない荒くれ者でもだ。
「でだ、このイースガルドの領地にも竜種の迷宮はある。北東の山にある『風切りの洞穴』も他の迷宮に漏れずに魔物が増えてきている。近々ギルドにも参加者を募る告知が来るだろうぜ」
「なるほど、その迷宮に行けば風属性の魔鉄が手に入るかもしれないんだな?」
「その通りだ、魔鉄を落とすのは10層の階層主ヒュージスライムと11層から出てくる鉄人形だな。他にも風属性の魔物の素材を持ってきてくれればスーパーウルトラカリバーンみたいに更に強化出来るぜ」
「分かった。ヒュージスライムと鉄人形だな」
そうと分かればまずは準備だな。
砕けたクレアの魔法盾を買い直し、ヴニュのエクスソード以外に魔鉄の剣を幾つか予備として買った。それ以外にも嵩張るという理由で買っていなかった道具をいくつか買い足した。道具箱の一番凄い所は中に入れたアイテムは時間が進まない事だ。正確には道具箱内の時間は極めて遅く、蝋燭に火を着けて道具箱にしまい一晩放置しても小指の先ほどしか溶けていなかった。
おかげで生モノの食材を持っていけるようになった。とはいえ時が停まっているわけでは無いので注意が必要だ。氷魔法で凍らせればもっと保つかもしれないから覚えるのはありかも知れない。水魔法の派生で無いだろうか?
数日後、冒険者ギルドに向かうと受付嬢さんにギルド長の部屋に行くよう言われた。
「やあ、久しぶりだね」
「そうだな。半年は会ってなかったか」
「全く、聞いたよ?海神祭で迷宮主を倒したそうじゃないか」
「成り行きでな。まあ運が良かったよ」
「成り行きで倒せるものじゃないと思うんだけどなあ……まあいいや、君たちに頼みたいことがあるんだ」
「それは竜種の迷宮の掃討作戦のことか?」
「なんだ、もう知ってるのか、なら話が早いね。上級クラスの冒険者には全員声をかけていてね」
「まった、俺のクラスは中級だ……もしかしてまた上がってる?」
「特殊な状況下になったとは言え上級迷宮の主を倒したパーティが昇格しないとでも思ってる?」
まあ、するだろうな。仕方ない、どっちみち竜種が居るような上級迷宮には上級クラスしか行けなんだ。
「はあ、それで?『風切りの洞穴』には俺たちも行く予定だったんだ」
「魔物掃討作戦もそうなんだけど、それ以外にも頼み事があるんだ」
「それ以外?」
「そう、腕が立って口が固くて、竜種を仲間にしている君にしか頼めないんだ」
「……なんでそれを?」
「大丈夫、誰にも言ってないし誰にも言う気はないよ。お願いを聞いてくれればね」
つまり拒否権はないと。
「はあ……お願いってなんだ」
「ありがとう。簡単だよ。僕を連れていって欲しいんだ」
「どこに?」
「『風切りの洞穴』の最奥、風竜の元にさ」
それは簡単ではないと思う。
ライブ重なりすぎてる




