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それはよくある異世界転生  作者: 乙屋敷


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94 昔話

ゴーヤの日だったので初投稿です

「家名捨てるってなんでそんなことに」

「家訓でね。サウスバードの女は婚姻以外で家を離れる場合は名を捨てる事になってる」

「なにもそこまで……」

「昔そのことで相続争いがあってな、それ以降そうなっておる」


 疑問に答えるサウスバード家の二人。父娘だからか雰囲気似てるな。


「じゃなくて、ソフィー本当にそれでいいのか?お前の夢はどうなる、お前の夢はもう一度家族と……」

「そう、もう一度ボクの夢を叶えるためにボクはこの家を出るんだ」


 俺はソフィーの瞳を見据える。そのゆらぎの無い瞳は彼女の覚悟を知るには十分だった。今の彼女の意思は俺の言葉では変えることは出来ないだろう。


「フリージア、お前の夢とやら、よかったら私に聞かせてくれないか?お前が家名を捨ててまで叶えたい夢なんだろう」

「えぇ、お父さま。あたしの夢はもう一度、家族を持つ事です」

「家族を……?」


 ソフィーの口から出た言葉()は予想通りのモノだった。


「ソフィー、それこそ家名を捨てたら元通りにならなくなるぞ!」

「違うんだよユート、君が考えている家族はもう過去のモノだ。お兄さまは歪み、お父さまはボクを居ないものとし、お母さまは心を病んで死んでしまった。どうやったってこの家族が元に戻る事なんて無いのさ」


 父親の前で自分が居ないものとして扱われているなんて普通言える言葉ではない。本当にこの家族はもうどうにもならないのか。ふと父親、サウスガルド領主の顔に陰りが見えた。


「なあ領主様、あんたもなんか……」

「さあ、ボクの用事は済んだよ。それじゃあ領主様失礼します」

「あぁ……冒険者よ、少し話がある」

「俺に……わかりました、ソフィーちょっとこれ預かって欲しい」


 領主に呼び止められたので道具箱(アイテムボックス)から物を取り出しソフィーに渡す。

 ソフィーはそれを受け取るとさっさと部屋から出たいった。


「それで、何でしょうか、話とは」

「うむ……フリージアが見ないうちに自分の思いを言えるようになったのでな、君たちと出会ったからかな」

「そうですか?ソフィー、さんは出逢った頃からあんな感じでしたよ」


 兄との会話では大分ぎこちなかったが。


「そうか、フリージアには無理をさせてしまったからな。私達を嫌っているのかもしれないな」

「……お言葉ですが自分の存在を否定する人物は普通は嫌うでしょう。あるいは関心を持たないかと」

「確かにな、君達には少し昔話に付き合ってもらいたい。なにほんの数年前の話だ」

「構いませんよ。領主様のお願いですから」


 それはとある貴族のお話。

 その貴族の家庭は父と母、一人息子が暮らしていた。ある日母は新たな命を身篭り家族は祝福した。

 しかし生まれた子は人ではなかった。獣人だったのだ。

 取替え子(チェンジリング)と呼ばれるこの現象は稀に起きる現象とはいえ、貴族の間では不吉をもたらす忌子であった。そして忌子は殺す事がこの家の習わしでもあった。

 家の教えを大切にしていた父は新しい命を摘み取ろうとした、しかし母と息子は新たな命を守った。

 家族を愛していた父は迷った、家の教えか家族か……そして父は家族を選んだ。

 家族は生まれた娘を匿い大切に育てた。しかしある時事件が起きた。

 息子が魔術の勉強をしている傍らで娘が魔術を発動させたのだ。娘にはずば抜けた魔術の才があったのだ。

 その時は娘の存在を知らない貴族が訪問しており息子と共に居る娘を見てしまった。

 その時息子はこの魔術は自分がやったといい、妹の事も使用人の子供だと言い張った。

 それからは家族と娘の関係は変わってしまった。

 愛する娘を使用人の子と言って距離を取り、まともに会話をしなくなってしまった。

 しかも間の悪い事に流行病で愛する母が死んだ。関係が変わった後でも娘を変わらずに愛していた母が居なくなり娘は本当に家族と離れ離れになったしまった。

 しかし変わってしまったこの関係を父と息子はどうすることもできなった。


「……それでおしまいですか?」

「ああ」

「なにそれ!あんた達のせいでソフィーは……」

「ストップクレア、貴族には貴族のルールがある。それはクレアが一番知っているだろ?」

「それ……そうだけど!」

「それに、父と息子はその娘を守るためにやったんですよね?」

「勿論だ。全てはあの子を守るため」

「それを俺たちに言ったのは、間接的にソフィーに教えて貰うためですか」

「ただ知っておいて欲しかったのだ。フリージアのそばにいる……違うな、君の言う通りだ。もしタイミングがあれば……」

「残念ですがそれは本人に直接言って下さい」


 懐から水晶を取り出し机の上に置く。


「何だいそれは?」

「通信用水晶、これともう一つの水晶に魔力的な回線(パス)が繋がって居て遠くに居ても会話が出来るんですよ」

「ああ、そういえばそう言うのが最近できたと顧問魔術師が言っていたな、それにしても随分小さいんだな」

「自作でして、大体100m程しか通信できないんですよ、そしてもう一つの水晶はソフィーが持っています」


 つまり今までの会話は全部筒抜けだったりする。


「なに……?」

『お父さま、今の話は本当ですか』

「この声、フリージアか、まさか本当に会話できるのか、いやそれよりも今の話……」

『はい、聞いていました』

「そうか……、フリージア聞いてほしい。こんなことでしかお前を守れなかった事、本当にすまないと思っている。許してくれとは言わない。でも知って欲しい、父と母、そして息子は今でもお前を愛していると」

「知ってますし、それがお父さま達の愛情ということも分かっていました」


 扉が開く、そこには水晶を持ったソフィーが立っていた。


「まあ、愛情というには多少捻くれていたのは否めませんが」


 いやその話を聞く限り多少ではない捻れ方してると思う。

ウマを育成しろ

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