92 決着
プリンの日なので初投稿です
世界の始まりと終わりを告げる炎は迷宮主どころか主部屋を焼き尽くさんばかりに充満した。このままでは自分たちも燃えてなくなるんじゃないかと脳裏を過ったがそれも次の瞬間には炎は消え、静寂が訪れた。あまりの静かさに今までの戦いが夢だったとさえ錯覚してしまいそうだった。傍らには小さくなったクー助が座っている。
「終わった……の?」
「多分な」
「ご主人様、あちらに何かあります」
アリスが指さした方は迷宮主がいた場所だ。倒したのなら戦利品が落ちているはずだ。近付いてみれば迷宮主の肉片らしき物が1つ落ちていた。
「随分と禍々しい魔力を放っているけどそれをどうするんだい?」
「まあ何かに使えるだろうし、持って帰るよ」
流石にコイツを周回して素材集めはキツイからこれだけで何か作れないか調べてみよう。
突如として地響きが鳴り始めた。地震か?
「なんだ急に」
「……あー、早くこの迷宮から出た方がいいかもしれないね」
「どういうことよ?」
「迷宮って言うのは大まかに分けると2種類に分ける事が出来るんだ」
「前に授業で習ったな、確か魔素の濃い所が迷宮になる場合と強い魔物の魔力によって住処が迷宮化するば、あ……い」
もし、この迷宮があのタコ野郎によって作られていた物だとするならば。
「そう、魔物の魔力によって作られた迷宮はその魔物、つまり迷宮主が死ぬと同時に迷宮も死ぬ」
「迷宮が死ぬとどうなるのですか?」
「普通は生き物の死骸の様にその場に残るよ、でも魔力で維持されてきた耐久度とかは無くなってしまうから、海の底にあるこの迷宮は水圧に負けて崩壊するだろうね」
「じゃあこのさっきからなってる音って……」
「この迷宮がぶっ壊れる音だよ!」
脱出—————————!!!!!!!!!
「ぜぇ……ぜぇ……死ぬかと、思った」
「はい……皆さん無事で、良かった、です」
「いやあ、まさに危機一髪だったねえ。まるで『勇者の冒険譚』のようだったよ」
「死ぬところだったのに、まあ良くもそんな感想出てくるわね……」
主部屋から出た俺達はすぐそばにいた運営の使い魔に迷宮崩壊の危機を伝え、一目散に迷宮出口に向かった。幸いな事に参加者全員が運営のアナウンスに従ったため、迷宮が崩壊する瞬間には全員脱出を済ませていた。
『いきなり迷宮が崩壊するアクシデントがあったが今年も白熱した試合だったぞ!』
拡声器を通したような司会の声が町全体に木霊する。それによるとこの後は各チームの討伐数の集計や階層主討伐パーティのポイント加算が行われ、最終結果は夜に発表される。
しかし日が傾きかけているとは言えまだ夕方にもなっていない。今年は日が沈み切った頃に分かるらしい。まあ大分時間に余裕が生まれたので飯でも食いながらゆっくりしていようか。
「って思ってたんだけどなあ……」
「前にもこのような事がありましたね」
あの時はたしかイースガルドの冒険者ギルドだったな、さて今回はどうしたものかと考えてクー助が急に大きくなったとは言っても元の大きさではなく馬ほどの大きさになった、なるほど?
「お二人さん、ちょいと失礼」
「きゃっ」
「わ」
クレアとソフィーをクー助に乗せる。アリスは俺の手が無くても乗れるだろう。
「あの、ご主人様、ワタシも……」
「よろこんで」
アリスを抱えてクー助に乗せる、流石に女の子とは言え3人も乗れば背中が一杯になるな、クー助もそれに気付いていたのか空を飛び、俺は前足に捕まってそのまま運ばれていく。
バサバサと翼を羽ばたかせて向かったのは宿泊している冒険者ギルドのホテルだ。
最上階の大窓があるバルコニーに着地して中に入ると部屋の掃除をしていたであろう従業員が腰を抜かしていた。急に竜種にあったらそりゃびっくりするな。従業員にクー助の説明したら直ぐに立ち上がってしっかりとした足取りで退出していった。うーむ、教育が徹底している。
今日は海神祭で予定が一杯だったので、夜まで時間が余ったが疲れたしこのまま夜まで休憩する事にしよう。
そして夜になり、会場のメインステージに俺達は立っていた。
「いつも何が起きるか分からない海神祭だが今年はいつも以上に波乱の展開で長年司会を務めてきたが流石の俺も興奮を隠しきれない!」
司会の前説で盛り上がっていく会場、司会も今回の海神祭で起きた事をハイライト形式で伝え更に会場のボルテージを上げていく。
「さあ!お待たせしました今年の海神祭、成績発表です!」
トップ10を読み上げ、時には面白エピソードも交えながら発表されていく成績ポイント。
「第3位はウェストガルド騎士団!得点は2864点!難所の一つである1番塔を担当したにも関わらず高得点をたたき出した!」
「早めに迷宮内の魔物掃討に回ったのが功を奏しましたね」
なんか解説者もいる。
「第2位は……サウスガルド騎士団!得点は5139点!歴代最高点数だ!」
「階層主の討伐数もさることながら魔物掃討だけで1000点以上稼いでいます、これは凄いですよ」
「そしてこの得点を凌駕した栄えある1位は……サウスガルド冒険者ギルド『迅雷』!獲得点数は脅威の7008点だあ!」
1位発表と共に地響きの様な歓声が町を埋め尽くした。
「はは……本当に勝っちゃったわね」
「流石ご主人様です」
「本当に君達は想定外の動きをするね、見ていて飽きないよ」
「もとより勝つ気ではあったけど、今回優勝できたのはソフィーとクー助のおかげだ、感謝と言っては何だが俺に出来る事があったら何でも言ってくれ」
アレだけの魔術を行使出来たのはソフィーのおかげに他ならない。
「それじゃあ……一つあるんだけど、いいかな」
「おう、いいぞ」
「僕のお父さまに会って欲しいんだ」
「分かった、お父さんに会うんだな……ん?」
なんて?
サプライズゲストは予想外でしたね




