81 勝つための手段
フナの日なので初投稿です
イカの丸焼きが完成したのを見た俺達は直ぐに塔を飛び出し7番塔に向かった。
これで倒した階層主は4番、6番、8番塔で合計3000ポイント。イダー・ヤーで倒した魔物は数に入らないらしいので道中で倒した十数体程度だ。
例年だと上位の得点は平均3000ポイント、優勝チームは4000ポイント以上、階層主を4体倒さないと優勝候補にはなれないのだ。
「多分7番塔には生徒会長の騎士団が到着しているはずだ、あっちは俺達とは違って数が多いから担当箇所を終わらせたら各塔に人員を割いて獲得ポイントを確保するだろうからな」
騎士団の様な人数が多い所は担当以外の階層主のポイントを獲得するには最低でも2パーティ分の人員を投入しなければならない。これは最大人数の三分の一に相当する。
騎士団連中が担当の階層主を討伐すると他の階層主に向かって戦闘をしてポイントを稼ぎ更に他の階層主に参戦していき……と段階的に討伐速度が加速していくことになる。
「これで7番塔に参加できれば4000ポイント。一気に優勝候補に出る」
「それはどうかな?」
塔の前には生徒会長とお付きの騎士団が立っていた。
「兄様……」
「まさかあんなに速くイダー・ヤーを倒すとはね……大人しくしていれば良かったものを」
「言っただろ、優勝するって」
「ふん、まあいい。君達は優勝できないのだからね。ここの主を倒さないと4000ポイントには届かないのだろう?」
「なんだ、とうせんぼでもするのか?」
「まさか!そんな事をしなくても君たちは負けますよ」
『階層主、トゥーム・ナイトが討伐されました。イースガルド冒険者ギルド、イースガルド騎士団、サウスガルド騎士団に1000ポイント加算されます』
『ここでトゥーム・ナイトが倒されたー!サウスガルド冒険者ギルド『迅雷』は惜しくもポイント獲得ならず!』
目の前の階層主が倒された報告と実況が響き渡る。
「これで僕のポイントは3000、もうこの周辺の階層主は討伐済みで残っているのはここから反対方向のイ・ゾグザだけ……僕の分隊が向かっているが、君達が間に合う事は絶対にない」
塔から出てきた生徒会長の騎士団は15人、会長を含めると丁度4パーティ分だ。やられた、まさか三分割せずにここに半分以上の戦力を入れたのか、俺達にポイントを取らせないために。
『おーっと!ここでイ・ゾグザも討伐されたー!』
「……ふふっ、ははっ!これで君たちの負けは確定だ!僕に楯突いたらどうなるかこれで分かっただろう!あーはっはっは!!!」
『ポイントを獲得できたのはノースガルド冒険者ギルド!ノースガルド騎士団!ウェストガルド騎士団!サウスガルド騎士団!そしてサウスガルド冒険者ギルドだ!』
「…………は?」
『トップはサウスガルドの騎士団と冒険者ギルドが4000ポイント!すべての階層主が倒されたので他のチームが優勝するには迷宮主を倒すだけになったぞ!』
「な、なぜだ……?」
「何故って見れば分かるだろ」
『それにしてもサウスガルド冒険者ギルド『迅雷』、まさかの仲間を従魔に乗せて一人で2番塔に向かわせるとはかなり大胆な作戦だ!』
いくら制限がかけられていようが数の差はそう簡単には覆らない。なのでチームの人数が1パーティしかいない場合は逆に特典がある。
「『一人でも参加していれば討伐ポイントは加算される』……知らなかったのか?」
今ここにいるのは俺とアリスとソフィーだけだ。クレアにはクー助に乗って2番塔に向かってもらっていた。
「くっ……!ふん、だからどうしたというのですか!僕と君達では人数が違う!いくら階層主の討伐数が同じになろうと雑魚の討伐数で負けるのですから!」
確かに物量差でそのままなら負けるだろう。しかしまだ大量得点を獲得できる手段は残されている。クレア達と合流するために目的の場所に移動しよう。
「何処に行こうというのですか!」
「決まっている。優勝しにさ」
「させるとお思いですか?」
騎士団が俺達を囲む、逃がさない気か。囲いの外には弓や魔術の準備をしている者も居る。
「逃げようだなんて思わないでくださいね?怪我だけではすみませんよ」
近接戦闘なら寸止めや峰打ちが出来るが弓や魔術にはそういう事出来ないからな。当たり所が悪ければ死ぬ。俺の『落雷』を使えば包囲網の一部に穴をあけれそうだがアレだと威力が高すぎて人間に穴が開く可能性がある。かと言って手加減できる状況でもなさそうだし、どうしたものか……。
「相手を無効化……眠り、氷、こんらん、麻痺……麻痺か、ほっぺすりすりでもするか?」
「なにを訳の分からない事をブツブツと!」
まあ冗談はさておき、制圧するのにぴったりな物が現代(前世)にはあるじゃないか。手で銃の形を作り構える。
「なんですか?何かのおまじないですか」
「いや、突破手段。『麻痺雷撃』」
指先から放たれた雷撃は囲っていた騎士の一人に当たると悲鳴を上げながら痙攣して倒れた。死んでないよな?
騎士団に動揺が広がる。今の内にあと2、3人はヤッておきたい。『麻痺雷撃』を撃つ、胴体に当たったのは最初の一人だけで直ぐに気付いたのか俺の向ける包囲網を崩しはしないものの指から逃げるように移動する。
手や足に当たった物は麻痺して動けなくなり、雷撃を見極めて剣で弾こうとした猛者も居たが両手が麻痺してしまっていた。
「よし、陣形が崩れた!いくぞ!」
ソフィーを背負い、包囲網を抜ける。近くにいた弓兵や魔術師に『麻痺雷撃』で気絶させる。追っ手からから逃げるなら、殺すのではなく負傷させるのが一番だ。一人負傷させて動けなくすることでそいつを助けるために二人足止めすることができるからな。
前衛の殆どを麻痺させたのでこの魔物が居るここでは早々追って来れないはずだ。
「よし、じゃあクレアと目的地で合流するか」
「本当に行くのかい?」
「残念ながら勝つには行くしかない。怖いか?」
「正直に言えば大分ね、でも君たちとならできる気がするよ」
「アリスはどうだ?」
「ご主人様とならどこまでも付いて行きます」
「頼もしいな。それじゃあ行くか」
迷宮中央にある迷宮主のいる所へ!
合同ゲーム楽しみだぜえ




