78 討伐最速チャート
第一次ネオ・ジオン抗争終結の日なので初投稿です
「アラララーイ!」
「「「アラララーイ!」」」
下からウェストの騎士団が集団を鬨の声を出しながら止めているのを見ながら迷宮の入口へ進んでいく。このままだとまだこの集団はここで止まっていそうだ。
集団の頭を超えたところで手を放して着地する。アリスも隣に落ちてきて着地の衝撃を転がる事で軽減するが坂道なので大分転がった様に見えたが途中で飛び跳ねて綺麗に足から着地した。昔動画サイトで見たMVみたいだな。
「これで大分前に出れたはずだ、このまま進んで迷宮を目指そう」
風槌で加速させながら前に進んでいくが下り坂が無くなってきたからそろそろ走った方が良さそうだ。
「前方には5組程集団が居ます、各ガルドの騎士団と代表冒険者かと思われます」
「どうするの?」
「連中を抜いたところで行き先は違うから意味が無いと思う。それにあれを見てみな」
「あれは……海帝都市の正門が開いている?」
「あの広さなら詰まる事もないだろう」
下見の時点では片方の扉だけで20mはあったはずだ。先に居る全員がスクラムを組まない限り塞がれることもない。
実際本当の先頭組はそんなことをせずに迷宮の入り口に入っている。このまま俺達も続いて担当の階層主に向かおう。正門に飛び込むと町からの歓声が聞こえなくなった、迷宮に入れたのだろう。代わりに戦闘音が聞こえてきた。正面から迷宮主への城に続く大通りには大量の半魚人が押し寄せ、空中は色とりどりのサメが泳いでいる。
『入った直後は氾濫直前まで数が膨れ上がった魔物達が一斉に襲い掛かってくるがここで一気にポイントを稼ぐことが出来る!ここで出来るだけポイントを稼ぎたいところだ!』
何処からか司会の声が聞こえるが辺りを見れば拡声器を持った魚が何匹も泳いでいる。もしかして運営の従魔なのか?
「あれで迷宮内の映像を映しているらしいよ」
なるほど拡声器もつけているのは時間制限を知らせたりするためか。競技なんだし見れなきゃ観客も白けるだろうしな。
「俺達は一気に階層主のところまでいくぞ。道中の魔物は進行に邪魔な奴以外は全部無視だ」
「しかしこれは討伐の数を競う競技なのであまりよろしくないのでは?」
「迷宮内の魔物は1匹1ポイントだが主になれば1000ポイントになる、人数の少ない俺達がポイントを稼いで優勝するには主を複数体独占で倒す必要がある」
「階層主は各代表が倒すのではないのですか?」
「階層主のポイントは参戦したパーティ全てに加算される。だから他の代表も自分の階層主は独占して倒したいし、他の階層主には積極的に参加したいんだ」
その為に他の階層主に参加する為だけの分隊を用意するところもある。
「つまり主討伐を独占で倒せればその分他の参加者と差をつけれる訳だ」
「でも代表者は担当する階層主を倒さないと他に行けないんでしょう?」
「その通り、そして俺達が担当するイダー・ヤーは階層主でも最も時間の掛かる耐久型、最後に来ても残っているし、そこを担当する代表を優勝争いから蹴落とす為にも戦力は割かない」
つまり周りから見れば俺達は既に優勝争いから脱落した敗者に見えるって事だ。勝機はそこにある。
「階層主を速攻で倒す、その後代表者が辿り着いてない場所から優先して回って主の討伐ポイントを独占する」
「それはイダー・ヤーを倒す算段があるという訳だね?」
「雷魔術を使う」
「それは皆様が見ている所で使ってもよいのですか?」
それは今まで戦闘方法を隠してきた俺の方針からすれば真逆のスタイルだろう。しかしそれは『親愛の絆』という神様から貰った力を隠したいからである。
しかし今までの中で『親愛の絆』は発動しても他人からは見えない事は分かっているし、今俺達は1パーティのみで中級迷宮の主を倒したことが露見している。冒険者ギルドの中かつ人気が少なかったとはいえ人の口には戸が立てられない。調べようと思えば分かる事だし、というか教えてないのに司会の男も喋っていたではないか。
「今の俺達の冒険者ランクで言えば何かしらの突出した技術を持っていても不思議ではないし、本当に隠したいのは俺の『親愛の絆』だ。雷魔術はどうせ秋には公表するから少し前倒しになっただけさ」
「ご主人様がそう仰るのでしたら」
「ねえ、それより次の角を曲がったら階層主の塔よ!」
クー助に乗りながら地図を見ていたクレアが声をあげる。俺とアリスは走っているが、元病人と図書館に引きこもっている二人に俺達並の速度を求めるのは酷だったのでクー助に任せる事にした。
角を曲がった先に確かに塔があったので躊躇なく入り口に飛び込んだ。
外観とは裏腹に闘技場の様な広い空間が広がっていて、その中央には人の丈を超えるほどの大きな白い塊があった。
『————ッ!!!』
塊の頂点にくっ付いていた半魚人の上半身が雄叫びをあげると白い塊に口の様な穴が現れてそこから魔物達が一斉に飛び出してきた。
「ぎゃー!」
「ふむ、色んな種類が出てくるんだね」
「この数を相手にするのは些か難しそうです」
順番にクレア、ソフィー、アリスの感想だ。俺?ストレスボールが破けたのかと思ったよ。
始めて見るがこいつが話に聞いていたイダー・ヤーで間違いないだろう。こいつの特徴は無限とも思えるほど出産する魔物たちだ。それがコイツの武器でもあり防具でもある。
「つまり出てくる前にコイツを倒す。アリス、これをあのデカい奴に刺し込んできて」
アリスに渡したのは銛の先端、返しの付いたナイフだ。これを雷魔法を確実に当てる為の受雷針にする。
「刺す場所はどこにしましょう?」
「そうだな、あの上半身の近くがいいだろう」
魔物の急所である核も心臓近くにある事が多い。その関係上近くにあった方がいい。
「承知しました。では行ってまいります」
アリスは迫ってくる魔物達を華麗なステップで回避しながら階層主の所に駆け出した。
「あたしたちはどうするの?」
「うーん、ソフィーはあの階層主倒したら生れてきたコイツ等ってどうなると思う?」
「本来なら関係なしに襲ってくる……と言いたいけど視てごらんよ、女王寄生木の様に親と子が魔力の糸で繋がっている。この場合だと親が死んだら子も一蓮托生だよ」
じゃあ女王寄生木の時と一緒で防御壁作ってもらおうかな。
古戦場から逃げるな(寝落ち)




