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それはよくある異世界転生  作者: 乙屋敷


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72 舞い込んだトラブル

あと3日なので初投稿です

 ホテルに入る際にクー助でひと悶着あるかと懸念していたが、支配人が事前にギルド長から説明を受けていたという事もあり、本来なら外にある牧舎に入れるところを特別に部屋に入れる事になった。

 魔力で動くエレベーターで4階まで昇り、スウィートと書かれた扉を開けると想像の倍豪華な部屋が現れた。


「寝室にリビング、応接間まである、マジモンのスウィートクラスだ……」


 元の世界でもテレビでしか見たことない間取りだ。本当にここに泊まっていいのだろうか。バルコニーもあり、出てみると港町を一望できた。


「景色すっげえいいな。窓にガラスも使っているし」

「そちらのガラス、昨年新たに発明されましたシリンダー法という製法で作られまして。円筒状のガラスを切り開き平らにすることで、従来の製法より大きな板ガラスが作れるようになったのです」


 大きな教会でもステンドグラスが主流なのにここまで大きなガラスだと物凄く高価なはずだ。それをこんなにも大々的に使っているなんてよっぽど儲けているらしい。


「こちら国外の貴族様にも大変人気のお部屋でしてここまで大きな窓ガラスはなかなかお目にかかれない逸品となっております」


 景色ではなく景色を見せるためのガラスが名物になっているのか。よく見れば多少歪んで見えるがそれでもここまで平たく出来るのは確かに凄い技術だ。

 元の世界では溶かした金属の上にガラスを流して平らにするフロート法が主流だ。そうすれば液状の金属とガラスの境界は人が手でするよりも平らになるしもっと大きな板ガラスが作れるはず。

 ガラス工房に行く機会があれば職人に言ってみるのもありかもしれないな。


「ここ一体いくらするんだ、ギルド長に融通してもらったとしても払える金額の気がしない」

「お代は全てギルド長から頂いておりますので心配はございません」

「なんだって?」

「海神祭のおかげでこの時期は何処も満室でして、かくいう我がホテルもこの部屋以外は全て埋まっています」

「貴族とか、そういう身分の方は泊まりに来ていないの?」

「あいにく今年は国外からのお客様はおらず、国内でそのような方達は別宅をお持ちですので」


 確かにそうか、泊まるとしてもここに別宅を持っていない貴族とかだろうか。海から来る船は大体朝到着するし、そのまま馬車に乗れば日が沈む前にはサウスガルドに着く。逆にサウスガルドから来た場合なら泊まるかもしれないがサウスガルドの貴族は大体ここに別宅を持っている。

普段ここに泊まる客が居るのだろうか。


「狙いがピンポイントすぎないか」

「この時期ここをご利用下さる方々が居たのですけど今年は職務が忙しくて来れそうにないとご連絡を受けまして。今年は偶然にもここだけ空室でございました」


 利用客いた、しかもリピーターっぽい。


「まあ、宿屋を探す手間も払う金も省けたし、浮いた分は祭りに使うか」

「ホントに?やった!」

「いいのでしょうか?」

「ま、財布を持っている本人がいいって言っているんだしいいんじゃないのかい?」

「きゅい!」

「そういう事」


 折角の祭りだし楽しむとしよう。

 そんな訳で日が沈むまでたっぷりと楽しんだ。


「楽しいと時間はあっという間に過ぎるな」


 元の世界でもアイドルのライブ行くと3時間なんて一瞬だしな。


「的当ての1等とかアレ絶対重石入ってたよな、あの状態から元に戻るのおかしいだろ」

「それにムキになって倒してた誰かさんも居たけどね」

「魔術の禁止とは書いてあったけど魔法の禁止は書いてなかったからな」

「ところでその景品中は何だったんだい?」

「このレストランのフルコース4人分」


 話を聞いてみたらドレスコードがあるタイプのお高いレストランだったので貸衣装店でスーツとドレスを借りてきた。若干丈が合っていないので不格好に見えるがまあ仕方ない。その代わりにうちの美少女3人は華麗な姿へと変わった。貸衣装店にいる化粧スタッフが3人どころか俺にも褒めに来ていたので、どんな感じなのかと見たら本当に綺麗になっていたので呆けて言葉が出なかったほどだ。

 流石にクー助を中に入れる事が出来なかったのでどうするかと思案したが、驚いたことにクー助から大人しく待っているという意思表示があったのでお土産に食事を買ってくる事にした。


「こういう場所って初めてだからテーブルマナー知らないんだけど、どうすればいい?」

「ワタシも、緊張します」

「ナイフとフォークは基本外側から、後は出来るだけ音を立てずに食べればいいよ」

「あんまり騒ぐとバカにされるわよ」


 話をしている間に料理が始まった。わあ、前菜が皿の大きさに対して少な。

 他愛ない会話をしながら食べ進めているとメインに入るところでアクシデントはやってきた。


「おや、ユートくんではありませんか」

「生徒会長?どうしてこんなところに?」

「僕は海神祭の迷宮踏破にサウスガルド騎士団の代表で来たんだ、君達は?」

「俺達も迷宮踏破に来たんです、冒険者ギルド代表で」

「なるほど……おや、おやおや?」


 生徒会長はテーブルの面子を見回しソフィーに気が付くと近くに来た。


「……お兄様」

「我が愛しい妹よ、何故君が此処にいるんだい?君はいつも図書館で本を読んでいるじゃないか。よく外に出て来れたね」

「……今日は、友達と、食事に」

「友達!妹に交友関係があっただなんて兄として驚きを隠せないよ!何故教えてくれなかったんだい!」

「お兄様とは、最近会っていませんでしたし。ボ……私個人の関係ですので」

「水臭いじゃないか妹よ、妹の友人なら僕の友人でもあるじゃないか!そんなこと言わずにちゃんと教えてくれよ!」


 ソフィーが先ほどと同一人物とは思えないほど萎縮している、傍から見ても生徒会長が妹に対してものすごく圧をかけながら会話しているのが見て取れる。


「そこまでだぜお兄様、今ソフィーは俺達と楽しいお食事中だ。見て分からないのか?」


 生徒会長の後ろに待機しているガタイのいい男から殺気に近い気配がする。


「おっと失礼、確かにそうだね。君達は迷宮踏破に来たと言うけれど3人でかい?」

「いや、ソフィー合わせて4人と一匹だ」

「……兄として言っておくけど妹はあまりにも戦闘に不向きだ。誰からの指示か知らないけど足手まといにしかならないから辞めておいた方がいい」

「随分とソフィーをナメ腐ってるじゃないか、生徒会長こそ騎士団の足を引っ張っているんじゃないですか」

「ふふ、随分と大口を叩くじゃないか、何なら僕達と勝負しないかい?」

「勝負?どうやって?」

「もちろん迷宮踏破さ。どちらがより速く深く踏破するのか競う、僕が勝ったら……そうだ!みんなの前で君たちが如何に弱いか発表してもらおう!」

「はっ、そんなんでいいのか?じゃあ俺達が勝ったらソフィーに今後口出ししないと誓って貰おうかな」

「いいとも、僕が負けるなんてありえないからね!」


 楽しくなってきたな。

年末に相応しいトンチキイベだった

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