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それはよくある異世界転生  作者: 乙屋敷


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70 新しい依頼

今年最後の土曜なので初投稿です

 その昔、港町の近くに普段なら行けない場所に迷宮が存在しており、そのせいで魔物氾濫(スタンピード)が常に起きていたらしい。迷宮から出てきた魔物に頭を悩ませていた住民は海神様にお祈りして年に1度、迷宮までの道のりを作っていただいたそうだ。その1日に迷宮を踏破して魔物氾濫を治め、海に平和が戻ったという。


「それから魔物氾濫が起きない様、毎年海神祭の日に道が開き迷宮を踏破しているという訳だ。その競技に冒険者ギルドのサウスガルド代表として是非参加して欲しい」

「サウスガルド代表という事は他にも参加者が居るという訳ですか?」

「各領地の騎士団が出てくる、冒険者ギルドからもサウス、イース、ノースからそれぞれ1パーティ、その他に事前に登録した参加希望者や飛び入りが参加する」

「なぜそんな街の威厳に関わるような依頼を俺達に?」

「以前まで依頼していたパーティが去年の海神祭のあと行方不明でな、どこかの迷宮でやられたか……未だ冒険者カードも見つかっていないのだ」

「あの、もしかして……」


 懐からボロボロになったカードを出す、女王寄生木の犠牲になった3人の冒険者のカードだ。


「あぁ……まさしく彼らのだ。これをどこで?」

「女王寄生木に寄生されていた死体からです」

「そうか……ありがとう、救ってくれて」


 救うというには遅かったと思うがギルド長の顔を見たら何も言えなくなってしまった。


「我がギルドを拠点にしている者で一番腕の立つパーティが彼らだったのだ」


 ここは学園都市と言っても過言ではないくらい魔術学園が中心にある。その生徒の育成が主立っているせいか周辺には高難易度の迷宮は無く、一番強い迷宮でもあの禁魔の伽藍洞だったらしい。


「周辺に迷宮が無いから冒険者もいない、という事ですか」

「居ない訳ではないが、その殆どが商人の護衛だ。迷宮に潜る者たちは他と比べてはるかに少ない。それに腕の立つ者は商人が抱えてしまってどんどん人が居なくなるばかりなのだ」


 なるほど、通りで人が少ない訳だ。冒険者は迷宮に潜って奥に眠る財宝や人類が未だ作る事が出来ない魔道具の発見、入手と言った事がイメージされがちだが実際は街の何でも屋だ。森に行って薬草を取ってきてくれもあれば側溝のドブ浚いもするし、迷子になったペットの捜索もする、実に多彩だ。その中で商人の護衛は報酬が高い仕事だ。しかも商人に気に入られたらもう一度頼まれる事もあるし、商人と直接契約して報酬が上がる事だってある。

 しかし迷宮探索と商人護衛では求められる技能が変わってくる。迷宮探索は罠の察知や魔物と逃げるか戦うかの判断、必要なのはとにかく生き残るためのサバイバル力だ。

 一方で商人護衛は長時間の索敵や自分より優先しなければならない依頼主の護衛、合同パーティで依頼を行う際、どれだけ気付かれずに自パーティの仕事量を減らせるか、コミュニケーション力が係わってくる。


「ここは魔術学園を中心とした街ではあるが領地全体としては貿易がメインの土地だ。商人も他の領地と比べ数が多いしその分護衛の仕事も多い」

「依頼内容が偏れば必然的に冒険者の質も偏るという事ですね」

「然り、戦闘に長けている者も居るが今ギルドが求めているのは迷宮を踏破する力だ」


 護衛するための守りの戦闘力よりも、踏破する為の攻めの戦闘力という訳だ。


「因みにその迷宮の特徴なんかは教えて貰えるのですか?」

「おぁ、では……」

「事情は分かりました、報酬次第ですが受けてみようかと、みんなもそれでいいか?」

「ご主人様の仰せのままに」

「あたしは目立てるなら何でもいいわよ」

「ボクは……」

「ソフィーも行くだろ?海に行く約束もしたんだし」

「……君たちがいいと言うなら、ボクは断る理由が無いよ」

「依頼を受けてくれて感謝する。では迷宮の詳細を教えよう。過去の海神祭でマッピングした地図も見せよう」


 海神祭で踏破する特殊上級迷宮『海帝都市(ル・リエー・ラ・イラー)』はその名の通り海底に出来た無階層型迷宮である。王都程の広さで見た目も王都の様な街並みを模している。中央にある王城の様な迷宮主の部屋が存在し、都市の中にある8つの塔に設置された装置を起動させる事で主の部屋に入る事が出来る。


「この8つの塔にはそれぞれ装置を守護する階層主(エリアボス)が存在するが、全て海神様の力で中級迷宮クラスまで弱っている」

「注意すべき主はいるか?」

「第1から第4の塔に居るメド・ガノート、イ・ゾクザ、ゾルス・オモグ、イダー・ヤーダは脅威だが一番厄介なのは第4のイダー・ヤーダだろう」

「それはどうしてですか?」

「この4体の主の中で間違いなく一番弱いのだが問題は戦闘方法にある。こいつは配下を自分の命が尽きるまで産み続けるのだ」

「それはもしかしてイダー・ヤーダ本体は俺達では倒せないという事ですか?」

「うむ、産み出される配下の量が尋常ではないのだ。剣は勿論、弓や魔法を放っても配下に阻まれてしまうから、倒せないのではなく倒しに行けないと言った方が正しい」


 迷宮踏破というリアルタイムアタックにおいて耐久型というのは厄介極まりないな。


「競技は参加者を8チームに分けて8つの塔を同時に攻略する。その担当場所は当日クジにて決めるのだ」


 運試しかあ、4番引いたら再走案件じゃねえか。 リトライはできないけど。

 あとの3体は目を見ると石化してきたり眠らせてきたり触手を操って捕食してきたりと厄介な能力を持っているが対処方法はあるらしい。最後のだけ力技じゃね?

 残りの4体も特徴や地図を見せて貰い対策を練った。


「海神祭は来週執り行われる。港町までは丸一日掛かるから早めに支度するといいだろう」


 来週か、じゃあそれまでに色々やっておきますか。

年末特番(5日連続投稿)予定

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