07 続きを読むにはワッフルワッフr
夏が終わったので初投稿です
日も落ち夜の帳が降りる頃、幼き者は夢の中へ、大人は明日の労働の為に床に就くもの、酒を飲み交わす者、もしくは一夜の情熱を燃やす者。
様々な夜を過ごしていく中で俺こと万里結人は人生の分岐点に立たされていた。
「いや立たされていたじゃねえよ、ただの湯浴みだよ。異世界ファンタジーによくあるお湯で濡らしたタオルで身体を拭くやつだよ」
どこから聞こえたナレーションにツッコミを入れつつベッドに腰掛ける。
いやいや、いくら俺が魔法使いになるおっさんと言えどまあ?美少女とはいえ?推定小学生のお子様に?ドキドキするなんてそんな事
「ユート様」
「あるわっひゃい!?!?!」
考え事をしていたらノックと同時に声が聞こえて思わず変な声が出た。
そのせいかアリスが慌てて入ってきて様子を伺う。
「どうかされましたかユート様!」
「どうもなさらないよ!えーと……そう!デカイ虫がいたから思わず声を出しちゃったんだ!」
「虫、ですか?」
「そう虫!もう外に逃がしたけど!」
正直に言おう、めっちゃドキドキしてる。
こちとら女性耐性0のクソ童貞オタクですよ?
なのに対面見てよ、なにあの顔面美人過ぎるでしょ?美少女っていうかもはや美術品だよ、おいおいモナリザ超えてるわ。
「ユート様、準備が出来ました」
「そ、そう?じゃあ身体拭くからさ……」
「はい、お召し物を脱がせて頂きます」
「はいストップ!」
予想はしてたけど!服脱ぐのを手伝わせるってどこの貴族だよ。
いやそんな頭に疑問符浮かべた顔されましてもね、美少女摂取キャパシティと言いますか。俺の限界と言いますか。
「やらせて、いただけないのでしょうか……?」
「いや、是非ともやって欲しい」
馬鹿か?限界は超えるためにあるんだよ!今ここで限界を超えろ!覚悟を決めて脱がされろ!
「では、失礼します」
「よ、よしこい」
アリスの小さな手が服のボタンを一つ一つ丁寧に外していく。初めて異性に脱がされる緊張と未成年の少女に脱ぐのを手伝わせる成人男性(見た目未成年)というポリス案件シチュエーションの緊張で心臓のBPMが高まっていくのを感る。段位取れそう。
上着を脱がされ、肌着のシャツだけになる。アリスは上着を丁寧に畳むと再び向き直った。
「ユート様、肌着も脱がさせてもらいます」
「は、肌着もか?」
「はい、でなければお身体を清められませんので」
「そっか……なら、仕方ないな……」
あっという間に肌着も脱がされ、上半身裸になってしまった。
一回り以上年下の女の子に万歳させられて脱がされる瞬間猛烈に死にたくなったがなんとか舌を噛みきることはなかった。
「それでは、お身体清めさせて頂きます。まずは背中から」
後ろに向くとお湯に浸けたタオルを絞る音がしたあと、アリスの失礼しますの声と共に暖かいタオルが背中に触れた。
タオルからじんわりとした暖かさが伝わってきたあとゆっくりと身体を拭いていくアリス。
こ、これは……
「いかがでしょうか、ユート様?」
「気持ちい……」
背中から肩、肩甲骨、脇腹、腰と通りすぎ、また背中に帰ってくる。
相手の肌を傷つける事なく、さりとて汚れを取りこぼすことのないしっかりとした拭き。まるで赤子に沐浴をさせる母親の様な優しさ……!
俺が風呂で洗うのとは真逆、天地の差……!
汚れと共に身体の、いや心の疲れまでもが拭い取られていく……!
「それは良かったです、ではこのまま続けますね」
「あぁ、よろしくお願いします」
「……ト様、ユート様、起きてください」
「……んぁ?」
「そのまま寝ては風邪をひかれます、服を着せますのでお手を挙げて下さい」
「あい……」
「ユート様バンザーイ……はい、お着替えできましたよ。ベッドはこちらです、歩けますか?」
「あい……」
「本当は起こさずにワタシが運びたかったのですが非力ゆえにユート様にお手数お掛けして申し訳ありません」
「あい……」
「ユート様?寝ていらっしゃるのですか?」
「あい……」
「……ご主人様」
「あい……」
「ワタシ、本当はユート様、じゃなくてご主人様って呼びたいんです。私の運命の人として」
「でもご主人様はそう言われたくないみたいですので、人前ではちゃんとユート様とお呼びします。だから2人きりの時はご主人様とお呼びする事をお許しください」
「あい……」
「ふふっ……約束、ですよ?ご主人様……」
「は?!寝てた!」
「ユート様、起きられましたか」
昨日の夜あまりの拭きの上手さによって睡魔にも負けたのか。
窓を見たら日が昇る寸前なのか少し薄暗い、しかし外からは人々の賑わいがかすかに聞こえてくる。
アリスは水差しから水をコップに注ぐと俺に手渡してきた。
「どうぞ、お水です」
「ありがとう、昨日はゴメンな。身体拭いてもらってる途中で寝てしまった」
しかも椅子に上半身裸で座っていたはずなのに服を着てベッドで寝ていた、かなりの手間をかけさせてしまったらしい。
……いや、一回起きた気がするな?
「……覚えていらっしゃないのですか?」
「なにを?」
「いえ、ユート様は一度起きて着替えてから自分の足でベッドに向かいました。その時にワタシは誘導させて頂きました」
「そっか、ありがとうな」
「いえ、従者として当然のことです。それより今日はいかがなさいますか?」
「うーん、取り敢えずこの街をもっと見て回ろうかな、まだ見てないところが一杯あるし」
「分かりました。では準備をしましょうか」
こうして異世界生活2日目が始まった。
01めっちゃ面白い