64 伽藍洞の女王
ニーハイの日なので初投稿です
「見えてから魔力外皮の制御も上手く行ってるな」
「はい、先ほどより大分良くなりました」
「まさかこんな簡単に魔力を見る事が出来るとはね」
魔力を見ようと力むと目に魔力外皮が集中することが分かり色々試した結果、ソフィーの考察として魔力外皮が関係しているのではないかとなり、ソフィーの魔力を俺の補助で目元に魔力を集中させるとソフィーも魔力が見えるようになった。同じようにアリスもクレアの補助で見えるようになったので魔力の可視化はソフィーの仮説が正しい事が証明された。
「スキルの無いクレアでも可能という事はこれ魔法じゃなくて魔術なのか?」
「魔力の操作を体内から魔力外皮への延長と考えればただの制御なんじゃないかな」
繰気弾みたいなものだろうか。魔力外皮の制御により、迷宮からの魔力吸収を軽減できるようになったおかげで攻略ペースが格段に上がった。
「あと気付いているかい?」
「どれの事だ?」
「魔物の魔力外皮の事さ」
「あぁ、そのことか」
魔力を見れるようになったことで魔物の魔力外皮を見る事ができるようになったのだ。
よく観察すると魔力外皮が攻撃の前兆のように膨らんだりする。これは俺やアリスの様な前衛職に顕著で、試しに魔力の動きを抑制した攻撃を試したら、明らかにダメージ量が下がっていた。どうやら魔力外皮はアシストロボットの様に本人の動きを補助していたらしい。
「君といるだけで新しい事がどんどん分かるよ」
「じゃあこれからも一緒に行くか?」
「え……、あの、それって……」
「パーティーに魔法職が居ないから来てくれたら戦術に幅が広がるんだよなあ」
俺がタンクでアリスが近接火力、クレアが回復なので多彩な魔術でダメージが出せる魔法職が前から欲しかったのだ、何よりソフィーなら秘密を話しても大丈夫な気がするし。
「……」
「あの、すみません……」
「コイツってそういう奴なのよ」
アリスとクレアがソフィーの肩に手を置く。なんか俺呆れられてない?
不本意ながら先に進み、ついに迷宮主のエリアにたどり着いた。この迷宮のボスは大枯木らしいが枯木の事もあるので何かあるのではと思っている。
「思ってはいたがこれは……」
「うーむ、実に興味深い」
「いやいや、何あれ?!」
「大きい、と言うより多いですね」
主部屋中央にそびえる枯れ果てた巨木、それに似つかわしくない青々しく生い茂る枝葉とそこから果実の様にぶら下がる魔物。
そのどれもが迷宮内で見る魔物達だが、中には昔ここで死んだのか不死化し、魔物になってしまった元冒険者と思われるのもいた。
「これは寄生木の特殊上位種、女王寄生木だね。ただ寄生するんじゃなくてああやって魔物を取り込んで手駒にするタイプだ」
蔓が下りて吊るされていた魔物達の足が地面に着く。首から上が蔓で覆われ、木からぶら下っている様を操り人形と称した奴はちょっと趣味が悪いな。
魔物達が一斉に襲い掛かってくる。迎撃の為に俺とアリスが前に出て、少し後ろにソフィー、最後尾にクレアとこの迷宮で一番使った陣形を組む。
「うりゃ、この……なんか魔物の行動おかしくねえか?!」
「これは、魔物も何やら陣形を組んでいます」
「女王寄生木の一番厄介なところはこの統率力だ、油断していると一気に崩されてしまうよ」
軍隊じみた連携は確かに厄介だが、どうやら各種魔物の特有行動はしてこないみたいだった。
例えば俺の目の前で木の棒を振り回している巨大芋虫は口から粘着力の強い糸を吐き出してくるが、口は蔓に塞がれて代わりに角の様に木の棒が飛び出している。
他にも体格にそぐわない武器を持った魔物が複数存在しており、女王寄生木が寄生した生物を区別していない事が分かる。
芋虫如きのチャンバラなどスレイと比べたら児戯に等しい、振られた棒をさっと躱して女王と繋がっている蔓を切断した。すると一瞬ビクンと痙攣した後倒れて消失した。
「繋がっている蔓を斬れ、そうすれば一発で消えるぞ!」
「了解しました」
「女王はどうするんだい?」
「後回しでいいだろ、今は相手の数を減らしたい」
部下の能力を活かせない様じゃあ上司失格だぜ!
敵の動きはそこまで強くは無いが数が多いので最初は苦労した。しかし数が減れば倒す速度も上がり、幾分か経てば敵の操り死体は残り3体だけとなった。
「アレ、どうする?」
「元人間とは言え、今は魔物化しています。倒すしかないでしょう」
不死化している冒険者達だ。腐った肉が未だにこびり付いているので死後そこまで時間経過していない事が伺える。
「ただ、倒しても放置しておけば再び魔物として復活してしまいますので、完全に燃やすか浄化するのがいいでしょう」
「浄化か、クレア出来るか?」
「浄化でしょ、使えるわよ」
「では切断したのち女王寄生木を討伐、その後で彼らを浄化しよう」
彼らは魔物が居る時でも襲い掛かっては来なかった。何か理由があるのか主の奥の手なのか分からないけど慎重に行こう。
近付いてみるとオーソドックスな剣士が一人、槍持ちが一人に弓を持った……あれは女性か、一人とパーティー構成としてはやや攻撃よりだ。場所が場所なので魔術師や神官を入れなかったのかもしれないな。
反応する前に蔓を切断するか、側面に回り込んで一気に飛び掛かった。
狙うは頭と思われる膨らみの上、出来るだけ傷をつけない様に斬る。
「なっ……!?」
真横から振り抜いた剣をスウェーで避けられてしまった。今までの魔物はそんな動きしてこなかったぞ!
「ご主人様!」
アリスの声に横を見れば着地を狙って槍持ちが走ってきている。着地の勢いのまま前に転がり何とか回避した。すぐさま起き上がり追撃を警戒する。
アリスは駆けつけようとしていたが弓兵に矢を射られて阻まれていた。
「やっば、敵強くね」
9周年かあ




