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それはよくある異世界転生  作者: 乙屋敷


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61 食欲の旅

いいおっぱいの日なので初投稿です

「刺身が食べたい」

「サシミ、とは何でしょう?」

「一般的には生魚の切り身の事だね」

「うぇえ、そんなもの食べたらお腹壊すわよ」

「そうとも言えないよ、沿岸部の町ではポピュラーな食べ方だよ。新鮮だからこそ出来る食べ方だね」


 日課のクー助の遊んでいる中、そんな気分になったのは昨日学食にあった干し魚が原因だ。商人が持ち込みしてきたらしく数個だけ買ったらしいのだが、そのグロテスクな見た目に誰も手に付けようとしなかった。それを俺が見つけて頂戴し、裏庭で焼いたのだった。


「七輪は無かったけど木炭はあって助かったぜ」


 やはり焼き魚は炭火がいい、調理場から借りてきたバーベキューセットを設置して準備する。

 生活魔術の着火(イグニッション)そよ風(ブリーズ)を使って炭を熾す。炭が燃えて少し灰被りになった所で干し魚を金網に乗せる。


「随分と珍妙な物を焼いているんだね」

「うわ、ソフィーか。珍しいなこんな所に来るなんて」

「だって君、図書館から丸見えだぞここ」


 指さす方向には確かに図書館があった、それでもここまでそこそこの距離があるぞ。


「ところで例の論文はどうだい」

「あー、いくら何でもあれは長すぎるから添削している、と言っても明らかに関係なさそうな部分を消したりだけどな」

「それはすまない、ちょっと筆がノッてしまってね。いつもの二人が見当たらないけどうしたんだい?」

「クレアは街に買い物、アリスは薬草学の授業を受けてるよ」

「ふうん……ところでそれは何だい?」

「調理場の連中が押し売りされた干し魚」

「魚って事はここから南にある港町からの輸出品かな」

「知っているのか?」

「旅は道連れっていうガイドブックで読んだことあるのさ、その魚は見た感じダガーフィッシュだね」


 ダガーフィッシュ?と聞き返したら魚が銀色の流線形でダガーの刃に似ているかららしい。俺からするとサンマに似ているかな。

 異世界に来てから約半年、魚と言えば川で釣った川魚ばかりだったので干物とは言え海魚を食べるのはこちらに来て初めてだ。


「しかし、なんていうか……個性的な見た目だね」

「そうか?ただの開きじゃないか」


 まあ学園で過ごしていてあまり魚がそのまま出てきたことはないし、出てきても切り身だ。もしかしたら魚を見たことが無いのかもしれない。元の世界でも魚は切り身のまま泳いでいるなんて思っている子もいると聞いたし。


「まあ見た目がアレでも美味しい物なんて一杯あるさ、食わず嫌いしていたらもったいないぜ」

「それもそうだね」


 まあ食べた上で不味いと感じるならそれは食べなくてもいいとは思う。焼けた魚を皿に乗せ、身をほぐして食べる。


「どうだい?」

「うーん、塩辛い」


 これ干す前の漬け汁バカみたいに塩を入れてるな、ここまで塩辛いと塩抜きしないと食べれた物じゃない。ソフィーが横でキラキラした目で見てるけどこれこのままじゃあ食えないぞ。


「食わず嫌いは良くないと言ったのは君じゃないか」

「いや、まあそうなんだが……文句言うなよ?」


 魚の身をほぐして少量箸でつまむ。これくらいなら大丈夫だろ。


「しかし棒切れ2本で器用に食事をするね」

「ん、箸の事か?まあ慣れだな……ほれ、口開けろ」

「え、なんだい急に」

「食べるんだろ?ほら、あーんしな」

「いや食器を渡してくれれば自分で」

「悪いけどいまここにフォークもスプーンも無いんだわ」


 俺以外に食べようとするヤツが居ると思わなかったし。


「そうか、それなら仕方ないね。あー……」


 口を開けているソフィーを見るとなんだか親にご飯を貰うのを待つひな鳥みたいだな。と思いつつ魚を入れる。

 口を閉じてもぐもぐ咀嚼しているソフィーの顔が段々怪訝な顔つきになる。だから言ったじゃないか。


「な、塩辛いだろ」

「それもあるけど……なんていえばいいのかな、独特の匂いがするね」

「それは魚の生臭さかな、そればっかりはどうしようもないけど、塩抜きすればもう少しまともに食えると思う。これはもう焼いてしまったし、このまま食うか」

「え、あっちょそれボクが……」


 魚を箸でバラしつつ食べ進める。塩辛すぎてご飯が欲しい。パンでも合うのかなあ。

 ふとソフィーを見れば何やら顔を赤くして口をパクパクしている、まだ食いたいのかな?

 面白そうなのでもう一口分を取って空いている口にイートインさせる。


「もがっ急に何するんだい!」

「いや、まだ食いたいのかなって」

「そんなわけない!……こともない、が!急に口に放り込むなんて非常識だぞ!」

「すまんすまん、もう一口食うか?」

「……頂こうか」

「はい、あーん」

「あー……」

「そういえばこれ間接キスになるんじゃない?」

「ワザとかい?!君はワザとやっているのかね?!」


 顔を真っ赤にして叩いてくる。ふと考えがよぎっただけで他意は無いよ。

 そういう訳で中途半端な魚を食したから食欲スイッチが入ってしまったのだ。


「ここらで近い港町に行こうと思うんだがどうだろうか、学園も来週には夏季休暇に入るしバカンスにでも洒落こまないか」

「いいじゃない!あたし行きたいわ!」

「クレアは賛成、アリスは?」

「ご主人様が行きたいのでしたらワタシは従うまでにございます」

「アリスも賛成っと……ソフィーはどうする?」

「ボクも行っていいの?」

「じゃなきゃここで話さないよ。てか連れて行かない人の前で旅行の話をするとか嫌味だろ」


 どこの骨川だよ。悪いけどこの話は3人用なんだ。


「じゃあ……行きたい、かな」

「じゃあ行くための準備をしないとな」

「まず新しい服に水着でしょ、観光スポットにあと向こうの美味しいお店調べとかないと」

「それと宿の手配もしなければなりませんね」

「そしてそれらを集める為の迷宮周回(金策)だ」


 おい、クレアあからさまに落ち込むなよ、俺達貧乏学生なんだぞ。

今年も来たわね……!

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