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06 1日の終わりに

お盆なので初投稿です

「ユート様お戻りになられましたか、いかがなさいましたか?」

「いや、大丈夫大丈夫。ちょっとね」


 ちょっと顔が変わっていたなんて言えるか。

 しかしよくよく考えたら全く知らない顔ではないな。甥っ子が顔面パーツガチャに大勝利して家系の中でも一番いい顔つきだったのを思い出す、その顔にそっくりなのだ。

 あの爺さんは一から作ったと言っていたし、肉体と顔面をいい感じに作ってくれたのかもしれない。まあ、作る時にわざわざ不細工に作らないか。ブ、ブサイクちゃうわ、中の下だし。


「あの、やはりどこか体調がよろしくないのではありませんか?その、表情が目まぐるしくお変わりになっていますが」


 おっとつい灰色の青春時代の怨念が。

 何でもないよと魚のソテーを食べる。

 あ、美味しい。マッシュポテトも口に入れる、こちらも美味い。

 塩は薄いが香草やバターでしっかり味付けされている、というか胡椒みたいな風味があるけど胡椒は出回るほどあるのだろうか?


「それはペッパーハーブですね、この葉っぱから胡椒と似た風味が出るからそう呼ばれています。と言っても私は胡椒食べたことないんで本当か分からないんですけど」

「誰か食べたことある奴は居ないのか?」

「うーん、お父さんが昔助けた商人に少し分けてもらったって聞いたことあるくらいで、領主様とかなら食べたことあるかもしれませんね」


 つまりは貴族層あたりが使える高級品と、昔は金と同じ価値があったと聞くし現代の流通網って凄いんだなあ。

 感心してる間に気が付いたら店が混んできた、掻き入れどきならあんまり長居してても店の回転率が下がるだけだし、そろそろ出るかとアリスに言う前にミーナがやってきた。


「アリスちゃんゴメン!今人手が足りなくて、手伝ってくれないかな?」

「えっと……」


 アリスはミーナと俺を交互に見る、普段お世話になっているらしいし、手伝いたいが俺を放ってしまうわけにもいかないって感じだ。


「いいよ、手伝ってきな」

「ですがそれではユート様が」

「昼からは一人で散策するよ、だから気にしないで手伝ってきて」

「ユート様……ありあとうございます」

「ユートさんありがとう!デート中断させちゃったお礼はまた今度してあげるね!アリスちゃんにも!」

「デ?!……ェートでは無いけど」

「そうです、デートではありません」

「うふふ、そういう事にしてあげる!」

「それではユート様行ってまいります」


 ミーナはそう言ってアリスを連れて裏方に走っていった、本当に嵐みたいな子だな。

 店から出ては見たが、さてどうするか……とりあえず適当に歩くか。


 ―――


 あっちに行ったりこっちに行ったりしてると公園らしき場所にたどり着いた。ベンチもあるし少し休憩するか。

 長椅子に座って辺りを見回す、子供達が楽しそうに遊んでいたり、その母親達らしき女性達が会話に花をさかせたりしていた。

 ボーっとしてるとなんだか眠くなってきた、朝から歩きっぱなしだったもんな。

 すこし、ねるか……


「ねえねえ、見たことない人がいるよ」

「てかこれ人?魔力の流れがキレイ過ぎない?」

「たしかに、もしかして私達とおんなじかも?」

「えー?でもアイン、見たことないよ、こんな大きな人」

「そうだよねえウーノちゃん、私達も姉妹しかいないし」

「……ぉー」

「ってイチ、なにしてんの?」

「……たしかめてる?」

「なんでギモン系なのよ」

「そんなことしてるとその人起きちゃうわよイチちゃん」


 周りから喋る声が聞こえたので目を開けると幼女3人に囲まれていた。今日は目がさめると知らん女の子がいるな。


「わっ起きた」

「そりゃあ起きるでしょ」

「……おはようございました?」

「えーっと、おはようございます。君達なにか用かい?」


 三人は顔を見合わせると……


「アイン!イチ!逃げるわよ!」

「あ、ウーノちゃん、まって~」

「……またね」


 一目散に逃げていった、なんだったんだ今の。

 とりあえず何かされたり盗難にあってないか調べるが、そもそも取られるようなものは何も持ってなかった。


「ユート様、ここに居たんですね」

「アリス?食堂の方はもういいのかい?」

「はい、夕方からのお手伝いの人が来ましたので。お賃金もお休みなのに手伝ってもらったからと多く貰いました」


 取り出した皮袋の中身を見せてくる、10円玉より少し大きな茶色の硬貨がジャラジャラしているが、相場が分からん。


「そうか、それはよかったね」

「はい、これでお夕飯を食べましょう。宿泊しているお宿の一階が酒場になっていてそこのご飯も美味しいのです」

「そうなんだ、じゃあ行ってみよう」


 その後、アリスと共に宿屋に戻り、一階の酒場で晩飯を食べたが香草が効いた辛めの料理が多かった、酒を頼みたかったが今日のご飯代が全てアリスの財布から出ているので流石にやめておいた。


「いかがでしたでしょうか、ごしゅ、ユート様」

「うん、美味しかったよ。味が辛めだったからちょっと酒が欲しかったけどね」

「それは気付かず申し訳ありません。次からはご用意致します。それとも今からご用意しましょうか?」

「いいよいいよ、今日はアリスのお金から出して貰ったし明日からは俺も働いて……」

「いけませんご主人様!」

「えっなに」

「ワタシにはご主人様のお世話をする使命がございます。そのご主人様を働かせては従者の名折れ、そのようなことご主人様にさせるわけにはいきません!働かないでくださいませ!」

「は、はい!」

「……失礼しましたユート様、つい興奮してしまいました」


 はぁはぁと息を荒げているアリス、そのままふらりと扉の前に移動する。


「ど、どうした?」

「そういえばまだ湯浴みがまだでしたのでお湯を貰ってきます」

「そ、そうか、よろしくお願いします」

「お拭きいたしますので準備のほどよろしくお願いします」

「はい……はい?」

コミケお疲れ様でした

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