52 学費稼ぎ
9月なので初投稿です
どういう事なのだろうか、先ほどまで記号の羅列にしか見えなかったモノが文章としてしっかりと認識出来る。どこが主語でどこが述語か、接続詞に修飾語等知らない言語文なのに一切の迷いなく読めてしまう。これなんて同じ文字なのに意味が真逆になっているのを分かってしまうのが意味分からない。
「急に読めるようになったけどどういう理屈だ?」
「それはこの秘匿言語の開示条件が魔術学園語を知る事だからです」
「知るだけ?言語の文法や読み方も分からないのにか?」
「秘匿言語は条件さえクリアすればどのような言語も理解できるようになります」
「じゃあこの文章は本当は意味のない記号の羅列って可能性もあるのですか?」
「十分にありえますね」
便利なのか不便なのか分からないな。一子相伝の秘術が書かれた魔導書の開示条件を失伝したらしたらどうするのだろう。
聞いてみるとそういう時の為に保険として解読書を用意しておくらしいが、それも秘匿言語で暗号化されており開示条件の解読書を用意してまたその書を秘匿言語で暗号化して……と幾つもの暗号化された解読書がある魔導書も存在しているらしい。魔導書収集家の噂では1冊の魔導書に貴族の屋敷が埋まるほどの解読書が書かれた物もあるとか。アホかな?
「なるほど、とりあえずこれで読めるようになりましたし、後は自分たちでやってみます」
「頑張ってくださいね。高難易度である空間魔術は卒業資格の一つですので」
なんと、じゃあ道具箱を習得したらもう卒業していいのか、と思ったら卒業資格は3つ取らなければならないらしい。
空間魔術の習得の他にも座学の履修や個体魔術の系統化論文、魔術大会での上位入賞etc.etc.……。
数多ある卒業資格から3つ獲得した時点で卒業検定を受ける事が可能になり、検定を無事パスできた者がこの学園を卒業することが出来るとの事。座学の履修は最終学年までの教科をやらなければならない為数年かかる。
「道具箱覚えちゃったらさっさとここから出ていけばいいんじゃないの?」
「俺達はそれでもいいかもしれないけど、それだと師匠の面子が丸つぶれになっちゃうからな……」
厄介払いみたな感じで渡されたが紹介状でここに来たことには間違いない。俺の評価が下がる事にはどうでもいいが流石に他人の評価が関わってくるならあまり下手な動きは出来ない。
「とりあえず、空間魔術の習得を一つ目として残りの二つを考えないと」
「じゃあそれまでは学園生活を送るってことでいいわね?」
「良いんじゃないか、アリスはどう思う?」
「ワタシもそれでよいと思います」
折角の異世界魔術学園生活だ、どうせなら楽しまないとな。
学園で魔術を学び始めてから3ヶ月が経った頃、問題が発生した。
「お金がありません」
「どういうことよ」
「教科書やら制服やらを三人分買ったのもあるが単純にこの街は物価が高い」
魔術学園として名高いサウスガルドだが王国沿岸部は殆どがサウスガルドの領地であり、漁業や観光地、海路での輸送業など王国随一の金持ち領地だ。
噂ではサウスバードの隠し金庫には国庫以上の金が入っているとか。
噂はともかく経済が大きくなれば物価も高くなる、高くなれば使う金が増える、そうなればこっちに来てから稼いでいない金は無くなるばかりだ。
「と言う事で今度の休みは近くの迷宮に行きます」
「分かりました、ではどこの迷宮に向かいましょうか?」
「それはもう当りをつけてある、ここだ」
荷物から攻略本を取り出す、初めて迷宮に向かった時に買った物だが本当に役立っている。
開いてサウスガルド周辺の迷宮一覧を見せる。
「中級迷宮《禁魔の伽藍洞》、名前の通りこの迷宮内は魔術が制限される様になっている」
「制限?禁魔って言うからには使えないんじゃないの?」
「確かに発見されたときはそう思われていたけど近年の研究で空気中の魔力を迷宮が吸い取っていることが分かったんだ」
「迷宮が魔力をですか?」
「そう、その魔力を吸い取る事によって魔術に必要な魔力が確保できなくて失敗する。下級魔術なら不発で終わるけど上級魔術になってくると吸い取られなかった魔力が術式内で暴走して術者が負傷するって事になったから魔術を禁止する……禁魔ってことさ。まあ俺たちのパーティには魔術使うやつ居ないし強さも下級クラスらしいから俺たちなら大丈夫だろう」
「まって、あたしの治癒術はどうするのよ?使ったら魔力吸われちゃうんでしょ」
「空気中の魔力はな、体内にある魔力は吸われないから体内で使われる強化系や体を接触させて使えば回復も出来るんだ。まあそうなると戦闘中の回復は難しいかもしれないな」
「それは気をつけなければなりませんね」
「そうだな、各自回復薬を持って当分は迷宮の様子を見よう」
後日、装備を整えて(スーパーアルティメット某剣は現在ヴニュに預けていて変わりにスーパーウルトラ某剣を持っている)迷宮に向かった。迷宮内の敵は確かに中級迷宮にしては弱い。魔力を吸われるこの場所では魔物は育ち辛いのかもしれない。
迷宮に潜り始めて数日たったある日、迷宮内の大きめの広間に出たとき視界の端に誰かが居た。
「別パーティか?珍しいな……って」
「ん?やあ君か久しぶりだね。甘いもの持ってる?」
図書館で出会ったケモミミピンク髪の少女だった。
24時間放送が多い




