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それはよくある異世界転生  作者: 乙屋敷


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50 本の少女

50回目の初投稿です

 編入初日に面倒くさい事になったが無事学園生活が始まりいくつか分かったことがある。

 まず魔術において、二つのタイプが存在する。

 魔術とは魔力を使い摩訶不思議な現象を引き起こす事、まず最初に個体魔術(パーソナルマジック)と呼ばれる、生れながらにして行使することのできる魔術がある。

 個体魔術は個人の先天性によるもので、魔術の教育を受けていなくても、そもそも魔術の存在を知らなくても何故か知っている。といった魔術師からすればハチャメチャな魔術である。

 そしてこのハチャメチャな魔術を理解し、魔力の流れから術の発現までの工程を分解、誰にでも使える術式に再構築する。これが系統魔術(ユニットマジック)である。


「先生、では系統魔術で再現出来ない魔術はどうするのですか?」

「そのような魔術を一般には魔術を超えた奇跡、魔法と呼ばれています。ですが、私たち魔術師は研鑽を積み重ねています。今は出来なくても将来きっと再現できるでしょう。その証拠に系統魔術の中にも昔魔法と呼ばれていたものは数多く存在します」


 とまあそんな感じだ、個体魔術は覚えている人数が少ないためマナという特別クラスに編入されているらしい。

 分かったと言えばこれくらいだ、肝心の授業内容と言えば。


「ここにある火の素子の平均数は式を使い求めて……」

「このころから魔術は急速に発展していき630年には初めて魔術を使った戦争が行われ後に魔術戦争と……」

「この魔術呪文を作成した時の作者の気持ちを考えよ……」

「このように沸騰させた混合液から出た気体を冷却することで再び液体に戻す事により混合液を分離する……」


 小学校かな?

 アリス達には概ね好評のようだ。まあ俺も独学ではない文字を学習できるのはありがたい。

 そして目的である道具箱(アイテムボックス)の魔術であるがなんと最終学年の学習項目らしい。


「どうするか……」

「どうしましょう……」

「どうしたものかしら……」

「何かお困りかな、ユート殿」


 食堂で顔を合わせて悩んでいたらバーンが話しかけてきた。


「あぁ、道具箱……最終学年で習う魔術について調べたいんだけど手詰まりになって」

「なるほど、だったら図書館に行かれてはどうだろうか。あそこにはあらゆる魔導書の他に過去の教科書も蔵書されているはずだ」


 なるほど、学校なのだから図書館があるか……図書室じゃなくて?


「場所は本校の西側にある建物だ。行けば分かるだろう」

「本当か、ありがとう助かった」

「なに、困っている生徒が居れば手を差し出すのが代表たる勤め。ところでクラスは決まりましたかな。是非とも我がフレイム……」

「早速行ってみようと思います。ありがとうございました」


 また厄介な空気になりそうだったのでさっさと切り上げて言われた通りに西側に足を進めた。


「図書館と言ってたけど詳しい場所は聞かなかったけど……あそこか」

「随分と立派な建物でございますね」

「これ、うちの教会より大きいんじゃないの?」


 確かにかなり大きい、と言うかイースガルドの教会が都市の割に小さい気がする。

 扉を開けると受付に司書さんがいた。すげえあからさまな司書さんだ、この世界メガネあるんだ。


「ユート様、アリス様、クレア様、ようこそ魔導図書館へ」

「なぜ俺たちの名前を?」

「生徒の名前は全て覚えるタチでして、それに貴方達の活躍は聞き及んでおります……申し遅れました、わたくしアースで魔導書の担任を務めておりますボニーです」

「そんなに有名なのか……」


 やっぱり最初にやったアレがいけなかったのか。


「それで、何かこの図書館にご用でしょうか?」

「そうだった、最終学年の教科書を探しているのですがありますか?」

「でしたら2階の北側にあります、今この図書館には利用者は居ませんが出来るだけお静かにお願いします」

「わかった、ありがとうございます」


 階段を上がり別々に分かれて目的の本を探す。


「教科書、教科書……道具箱の記述がある教科書の名前を知らねえな?」


 しまったな、まあ教科書らしきものを手当たり次第見ればいいか。

 そう考えて棚の本を取り出してはパラ見していく。

 炎系に関する研究論文、浮遊レビテーションの考察文書、伝説の魔法について、時空魔術の存在……


「お、これか… …?」


 読んでいくと時空魔術の時空に関しての研究書だった。

 道具箱の記述はあったが使用方法ではなく、道具箱に入れた道具はどこに行ったのかと言う考察だった。


「うーん、無いなあ……うおっ」


 本を棚に仕舞い裏側に回り込むと大量のクッションとそれ埋まる手が見えた。

 人形かと思ったがよく見たら微かに動いている、本物か?


「えーっと、大丈夫か?」


 バタバタ!

 手が激しく動く、人の手である事は間違いないようだがこれじゃあ否定か肯定かわからんな。


「助けて欲しいのなら親指と人差し指で輪を作ってくれ、そうじゃなかったら握り拳をしてくれ」


 輪を作った、どうやら救援でいいようだ。

 クッションをどかして手首まで掘り返した、両手で埋もれている手を掴む。


「今から引っこ抜くぞ、いいか?」


 ピコピコ。

 手が輪を作った。


「いくぞ、せーっの!」


 ズルリ

 想像以上に簡単に引っこ抜けた。

 引っこ抜いたモノは長いピンクの髪とケモミミを携えた美少女だった。


「助けてくれてありがとう、ところで甘いもの持ってない?」

ここが古戦場かあ

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