05 キャラメイク:ランダム
筆がノッたので初投稿です
「ここは、もとの場所に戻ったのか」
神様との約束を確認した俺は別れの挨拶をした後教会に立っていた。
横を見るとアリスが白い世界に行く前と同じ格好でお祈りを捧げており、こちらの視線に気づいたのか顔をこちらに向けた。
「ユート様、如何なされましたか?」
「いやなに、お祈りをしていたら神様に会ってな」
「神様にお会いになられたのですか?凄いです!」
「いや、会ったけど業務連絡みたいなモノだったし、楽しんでいけって言われたよ。まあ頼み事もあったが」
「それは御神託でございますね、授かった者は使命を授かると共に神様からのご加護があると言われます」
「と言う事はアリスは何か加護を貰っているのか?神様にはアリスが使徒と言われたが」
「はい、ユート様の身の回りのお世話や、あらゆる災いから守るのがワタシの使命でございます」
「そうなると俺も加護持ちって事になるが神託っていうのはそんなにポンポンともらえるものなのか?」
俺とアリス、二人とも加護持ちで今のところ取得率100%である。
「いえ、御神託はそれこそ世界を救う勇者様が持っているものだったりしますので、加護を授かってる方は見た事ないですね」
世界を救うのと俺のお世話が同列なのに申し訳無さを感じるも、もしかしたらそういうしょぼい使命を貰ったものが周りに言いふらしてないだけかもしれない。明日朝一番にパンを買いに行けとか、おつかいかよ。
「ユート様、よろしければこれから街を見て回りませんか?ご案内いたします」
「確かに、どこに何があるか知っておいた方が何かと便利だしな、じゃあ頼めるか?」
「はい!」
そんなこんなでアリスが案内人として街の探索に出かける事になった。
「ここが青果店でございます。森で収穫した果物をよく買い取ってくれるのです」
「よお、アリスちゃんじゃねえか!お、このにいちゃんがいつも言ってた運命の人かい?」
「はい、ワタシのご主人様で御座います」
「え?」
店主らしきおっさんが小指を立ててニヤニヤしていたがアリスの言葉を聞いた途端真顔になって俺の顔を見る、まって誤解です。
「こんな小さな子にご主人様と言わせているのにどういう誤解があるってえんだ」
確かに。いや確かにじゃない、このままだと警察のお世話になってしまう。異世界だから騎士団とかか?
おっさんの肩に手を回してアリスに聞こえないよに回り込んだ。
「ご主人様っていうのはアレだよ、そう俺の家とアリスの家は仲が良くてな、子供が生まれたら結婚させようって約束してたんだよ。所謂許婚ってやつ」
「許婚ぇ?ってこたあなにかい、結構良いところの生まれなのかい?」
「ただの田舎者だよ、それが嫌で街に出てきたんだけど、アリスが追いかけて来たんだ」
「じゃあご主人様って言うのは?」
「呼び方を間違えて覚えてるんだ、主人とか旦那様とかと混じってるんだ、きっと」
「成る程、そう言うことか。良い子じゃないか」
「分かってもらえて幸いです」
なんとか理解してもらえたようだ。殆どっていうか全部嘘だけど。
おっさんも俺の肩に手を回す、っていうか首!首しまっているんですが!
「だけどなにいちゃん、もしこの子に手を出したら分かってんだろうな?」
アリスは人気者だなあと考えながら首を縦に振る、振る度に首が絞まっていってかなり息苦しかった。
その後肉屋や薬屋など店や大きな広場などに案内してもらい、そこで人と話す度に青果店のおっさんと同じリアクションされて同じ言い訳をして手を出すなよと釘を刺される、この世界ロリコンに厳しすぎない?
「そろそろお昼ですね、お昼にいたしましましょうか」
「そうだね、どこかで食べようか。何処かおススメある?」
「でしたらワタシがお世話になっている食堂がございますから、そこにいたしましょう」
「じゃあ案内頼める?」
昼になり、お腹を空かせた俺たちはアリスの案内でとある食堂に来た。
「いらっしゃいませ!ってアリスちゃんじゃない、今日の仕事夕方からじゃなかったっけ?っていうか後ろの人誰?あ、前にアリスちゃんが言ってた運命の人?」
「ミーナさんこんにちは、今日はお食事に参りました、この方はワタシのごしゅ……」
「ハイハイ!そうですアリスの運命の人です!」
いい加減パターンも読めて来たので誤解を受ける前に先制する。
15、6くらいの活発そうな女の子だ。こちらの説明を受けて目をキラキラさせながら迫って来た。
「キャー!本当に居たんだ!ねえあなたは名前なんて言うの?どこ出身?仕事何してんの?アリスちゃんとの出会いは?ねえねえねえねえ!」
圧が、圧が凄い!矢継ぎ早に質問してきてグイグイ来る。質問に答える前に質問をかぶせてくるんじゃあない!
「ミーナ!客が来てんだから遊んでんじゃねえ!」
「えー?遊びじゃなくてアリスちゃんの大切な人がどんな人か聞いてただけだよ」
「それが遊んでるって言うんだ。お客さん、席は好きなところ座ってくれ、今日のオススメは川魚のソテーとポテトのマッシュだ」
奥から大声と共に男が出ていやデッカ!2mはゆうに超えてるよね?オーガですか?
「俺はただの人間だよ、よく体がちいとデカイと言われるがね」
「お父さんは声も体も大きいけど気は小さいから怖がらなくても大丈夫だよ」
「お前は余計なこと言わずにさっさと仕事に戻りやがれ」
「はーい」
ミーナと呼ばれた少女はテーブルの空いた皿を取りながら食堂の奥に消えていった。まるで嵐のような娘だったな。
「すまねえな騒がしいガキで」
「いえ、元気そうで良い子じゃないですか。俺は好きですよ」
「あ?」
「人として元気な事はとても好ましいという一般論ですよ決して娘さんに好意を抱いているとかではなくてですね」
「……まあいい、あんたは悪いヤツではなさそうだし、何よりアリスの探してた人なんだろう。それよりここは食堂だ、なんか食いにきたんだろう」
「あ、はい。じゃあおススメ2人分お願いします」
「はいよ、少し待ってな」
オーガさんも奥に向かった、名前聞きそびれた。
席に座るとアリスがこちらをじっと見つめている。
「ユート様はミーナさんの様な方が好みなのでしょうか?」
「あー、いや、好みとかではなくてですね、人として好感が持てるというか、仲良くなれそうっていうか」
アリスの涼しげな碧眼が心なしか冷たい、彼女いない歴=年齢の俺には女心は分からないけど機嫌が悪くなってるのはわかる。誰か助けて!
「はーい、本日のおススメ、ソテーとポテトお待たせー!ってアレ?アリスちゃんご機嫌ナナメ?どったの?」
「いえ、ユート様がミーナさんに好意を抱いているとおっしゃったので」
おっしゃってないが!?
「えー、アリスちゃんもしかしてヤキモチ妬いてるのー?」
「ヤキ、モチ……?」
「やだー!アリスちゃんかーわーいーいー!」
ミーナがアリスを抱き寄せて頭をよしよしと撫でる。
アリスはキョトンとしておりされるがままだ。
「安心してねアリスちゃん、私はアリスちゃんの好きなユート?さんよりももっと年上で逞しい人が好みだから」
「俺より年上ってもう君のお父さん位の年齢にならないか?」
「え?ユートさんどう見たって私と同じかちょっと上くらいじゃないんですか?今いくつなんです?」
「魔法使い一歩手前なんだが……なあ、鏡とかないか?」
「鏡なんて高級品あるわけないじゃないですかー、裏に井戸ありますんでそこで見てきたら?」
「そうか、じゃあちょっと行ってくる」
俺の顔はそんなに童顔じゃないし年相応の顔のハズだ……なにか嫌な予感がする。
道順を教えてもらい裏手の井戸に行く。桶に水を溜めて覗き込むと……
「いや誰やねん」
予想通りに、俺の顔ではない十代後半の青年が写り込んでいた。
エボリューション……(いい声)