49 俺またなんか(略
終戦記念日なので初投稿です
代表達に連れられて学園の中央にある広場に来た、ここでは主に戦闘に使う攻撃系の魔術を練習するのに使われているらしい。池があったり砂場があったりと色々な物が置いてある。
「あの地面に突き刺さっている木の棒はなんですか?」
「あれは松明だ、火系統魔術の訓練の際に燃やして火の素子を増やすのに使うんだ」
「素子?」
「最近発表された論文でな、ざっくり言えば火の近くでは火系統が、水の近くでは水系統の魔術が使いやすくなるという現象を研究した論文だ。
魔術とはまず大気に含まれている魔素を取り込み魔力に変換、更に魔力を呪文や魔術式を使い魔術に変化させることを指す。分かるか?」
「は、はい」
「うむ、その際火や水に長く触れていた魔素はその属性に変換しやすい魔素に変質する……それが素子と言われている」
アリスの質問に丁寧に答えてくれる。なるほどなあ、ファンタジーモノでよく聞く設定だ。
「ではユート、あの目標のクリスタルに向かって何か攻撃魔術を使ってくれ。素子は必要か?」
「無くて大丈夫だ。しかしあんな大きい水晶に攻撃していいのか?」
アレだけ大きくて透明度も高ければさぞ高値になりそうだが。
「あの水晶は魔力や魔素を吸って修復する機能がある。遠慮しないでやると良い」
「なるほど、分かった」
つまり自動修復機能付きの的か、いやそれでも絶対値段凄いだろ。
素子に関しては初耳だったが魔術の使用方法は師匠の言っていた通りだ。
まだ集中しないと使えないので、実戦では使った事のない魔術だが、立ち止まって動かない目標に撃つだけなら問題ない。
「瞬間爆破」
パチンと指を鳴らす、すると指先から小さな火花が標的に向かって素早く飛んでいき目標の前で爆発した。
ふむ、目標のクリスタルを大体1/3程吹き飛ばしただけか。発射速度は及第点だがやっぱり威力が低い。某湿気で無能になる錬金術師の様にはいかないな。
「あんた本当に魔法が使えたのね」
「クレアは俺を何だと思ってたんだ」
「ヘンタイロリコン野郎」
「ホントにどう見てんの?」
「大丈夫ですご主人様、たとえ児童性愛者でもワタシはついて行きます。それに森人は成長が遅いですから、その、長く愛せると思います」
「アリスは何の話をしてるの?」
「話を聞きたいのは俺様の方だ!なんだ今の魔術は!?」
「術名だけで詠唱をしていないように見えましたけど、どれだけ呪文破棄が出来ますの?」
「これは系統魔術と言うより個体魔術……?火系統の術に見えたけど……私の資料では見たことない術式だ……」
「いいや、私には分かるぞ、今のは火属性に見えるが実際は殆どが空気の操作、つまりは風属性で行われていた!そうだねユート!!!」
近い近い!急に寄ってくるし我先に質問してくる!
「呪文破棄とか系統魔術とか言われても分からないって!そもそも俺は師匠から基礎しか教わってないから魔術に関して殆ど知らないんだよ!」
「なん……、だと?」
「モージ様、お師匠様から一体どのような事を教えてもらったのですか?」
「どのようなって、師匠が俺に言った事なんて『魔術なんてもんにルールはねえ、やりたいように使えばいいんだよ』だぞ」
「……それだけかい?」
「それだけ、あぁ、何回か俺の体内魔力を使って魔力の流れって言うか感覚を教えてもらった位か?」
「それは……本当に……師匠なのかい?」
「まあ、酒一杯奢ったら教えて貰った程度だしな。そこからはほぼ我流だな」
「それであの威力の無詠唱魔術を……?」
「なんという事だ……」
「これは、伝説の再来か……?」
おい、なんか話が膨らんできてるぞ、俺は道具箱の魔術さえ学習出来ればそれでいいんだ。
「それで、お前……いや、貴殿はどのクラスに入るのか決めておられるのですか」
バーンが急に畏まってきた、やめてさっきまでの高慢系男子でいてよ。
「まだ決めてない、けど……」
「なら是非ともアクアに……」
「おい、何を言ってる!あの破壊力、どう見ても我がフレイムこそ相応しい!」
「いやいや、何を言っているのかねバーン?今のは殆どが風属性と言っただろう。私たちのウィンドこそ、彼の学び場として相応しいに決まっている」
「アースに来ないか……君のその自由な発想こそ……魔術の研究に必要不可欠だ……」
うわあ、なんだかすごい事になっちゃったぞ。
「たった一回の魔術でこれ程の人徳を集めるとは、流石ご主人様です」
「あたし達すっかり蚊帳の外ね」
おいクレアなに高みの見物決め込んでるんだ、アリスに至っては授業参観のお母さんみたいな顔になってるし。
とりあえずクラスについては今後の授業を見てから決めると伝えて一回帰っていただいた。
話を聞いたところ瞬間爆破と同等の威力を求めるには呪文破棄を習得していても3分はかかる上級魔術レベルだそうだ。そしてそのレベルの術者ともなれば学園主席者として卒業後は宮廷魔術師になるよう王国側からスカウトが来るらしい。
うん、そんなのを指パッチンだけで出せる奴が入って来たらスカウトするわな。
「ところでパッツァさん、そういう人材ってどれくらいの人数居るの?」
「学園の歴史上900年で9人ほどでしょうか」
「9人」
「ただ去年入ったサウスバード家のご令嬢が学園史上の才女と噂されていましたね」
「へえ、どんな人なんですか?」
「名前はフリージア・ソフィー・フォン・サウスバード。ですが……なんでも年中部屋に引きこもって禁書の解読をしているとか……」
ファンタジー世界の禁書とか絶対危ないヤツじゃん、近寄らんとこ。
え…盆休み後1日…?




