40 救済の夜
40話なので初投稿です
「上手く調整出来てるみたいだな、じゃあその調子で次に行ってみよう」
「大分コツがつかめたからその必要はないわよ」
病人が詰め込まれた集会所の真ん中に歩いていって祝詞を唱えるイザベラ、一体何を……
「まさか、ダメだ!今の聖女様ではそれは制御しきれない!」
「聖域快復術!」
イザベラを中心に薄緑色の魔法陣が広がっていき、集会所全体を被った。
人々は淡い光に包まれていく。これは、魔法陣の中にいる人間全員に快復術が?
「これは真聖術の中でも上級真聖術に位置する聖域術式です。長年の修行を積んだ聖女様が数人がかりで行う術式を一人でやってしまうなんて……」
スレイが説明してくれた。ところであれ止めようとしてたけどやらなくていいのか?
「このように聖域が展開してここまで安定しているなら、今中断させた方が危険です」
「なるほど。イザベラ、大丈夫か?」
「今集中してるから話しかけないで!それより村人全員ここに集めなさい!これ以上聖域を展開出来ないからこの中に入ってくれないと快復術をかけれないわ!」
「わかった、頼んだぞ!アリス行こう」
家を一軒一軒回って集会所に集まってもらう、元より動けないような重症者は集会所に集めていたため、自力で歩けるか、人の力を借りれば歩ける人しかいなかったのは助かった。
集会所に入った途端に顔色が良くなって手伝ってくれたので想像以上に早く集合した。
「この度はなんとお礼を言っていいやら……」
「いえ、聖女として当然の事をしたまでです」
「おお……!なんと、聖女様であらせられましたか!このようなときに聖女様がいらっしゃるとはまさに神の思し召し、何もない村ですが是非今宵はお寛ぎください」
「いえ、僕達は先を……」
「スレイ様、このままここを発つとウェストガルドに着く前に日が暮れてしまいますわ」
「私たちをお救い下さったばかりに聖女様を野宿させるなんて爺には心苦しくて死んでしまいます。是非に今夜はお泊り下され」
「スレイ、俺としても日が沈んでからの進行は馬にも良くないし夜盗や聖罰者らに襲われても敵わん、それに……」
「分かっている、聖女様の体調だろ。仕方ない、今夜はお世話になろう」
宿泊することを村長に告げ、部屋に案内してもらう。
「では宴の準備をしておりますので、それまで少々お待ちください」
案内人がいなくなるとイザベラが崩れる、それを抱きとめるとベッドに寝かせる。
身体全体が発熱していているので布を濡らして額に乗せた。
「魔力の過剰使用による発熱ですね、と言うかアレだけの魔力を使ったら魔力不足で死にますよ」
「そうだったのか、いくら何でも無茶しすぎだ」
「あたしは聖女だから、これくらいの箔をつけとかないと教国に行った時に舐められるからね」
イザベラが起き上がろうとするのをアリスが介助し、水の入ったコップを差し出す。
「ありがとう、次は村人にあたしの宣伝をしてもらわないとね」
「宴に出るつもりか?休んどけって」
「そういう訳にも、いかないわよ。これくらいで休んでいたら、教国でも、舐められて……しまう、わ……」
座りながら寝てしまったので、そっと横たわらせる。
「さて、じゃあ聖女様の護衛は僕がするから宴にでておいでよ」
「え、う~ん……俺もそんな気分じゃないが、まあ聖女様のお言葉を伝えに行くか」
集会所に行くと丁度準備が終わったらしく、上座に案内された。
「おや、聖女様と騎士様は?」
「あー、聖女様は諸君を助けるために尽力し、今は休まれておられる。守護騎士様は聖女様の護衛にお付きの為、俺が代わりに来た」
「さようでございますか……」
おい、露骨にがっかりするんじゃあない。確かにあの面子の中で俺がどう見ても使いっ走りに見えるのは致し方ないけど!
「心配するな、聖女様からのお言葉は預かっている」
「おぉ!ではこちらにどうぞ」
背中を押されて演説台に立たされる。周りには村人が期待の目をこちらに向けていて、ゔ、こういうの苦手なんだよな……。
「えー、今日は皆さんが健康になって……」
快復祝いと今後の健康の願い、ついでに聖女様の活躍を世間に広めるようお願いしておいた。
そして聖女様は善からぬ者に狙われているという事で護衛という名目で退席しようとしたら村人が夜の見張りをかって出てくれた。
「そこまでして貰わなくても……」
「いえいえ、どちらにしても夜にはケモノが畑を荒らしたりしますので夜の番はいます。どうかご心配なく」
そうは言っても相手は聖罰者だ、見張りに気付かれることなく侵入くらいはやってくるだろう。もしかしたら見張りを全員殺すかも。
全員病み上がりだし無理しないように言い聞かせて集会所をでた。
「いっぱい頂きましたね」
「あぁ、肉がこんなにもあるなんて思わなかったな」
アリスと一緒にスレイ達の食事を持って帰っている。正直あまり期待していなかったが、どうやら病で倒れる前に狩ったという動物の肉が大盤振る舞いされた。最近干し肉ばっかりだったので嬉しい。
そう思って帰っていたのにばったり出くわした人物を見て気分が吹き飛んだ。
「聖罰者……!」
アリスが料理の入ったカゴを地面に置いて短剣を抜く、それを俺は手で制した。
「ストップ、どうやらあちらさんはそういう目的じゃないみたいだ」
相変わらずの黒づくめに白仮面だがなぜかマントから素手を出している。武器を持っていないと言う意思表示だろうか。
「聖女を引き渡せ」
「またそれか、前回も同じ事言ってたじゃねえか」
「聖女を引き渡さなければ……殺されるぞ」
「お前たちにか?」
「違う……守護騎士にだ」
また大きく出たな。
イベントにイベントを重ねるなディスタンスしろ




