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それはよくある異世界転生  作者: 乙屋敷


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38 聖女の使命

月末なので初投稿です

 朝、昨夜のまま寝てしまったのかアリスは俺の頭を抱きかかえて眠っており共に起きた。

 起こさずに抜け出そうとしたらアリスの手が強く抱きしめてきて色んな意味で無理だった。


「アリスのおかげで気持ち良く眠れたよ。ありがとう」

「いえ、ご主人様の眠りもサポートするのが従者の役目ですので」


 いい子だ……、宿屋の1階でアリスの奉仕精神に感動しつつ朝食をいただく。

 コッペパンとフランスパンを融合させたようなパンが出てきて、異世界(こちら)に来てから一番柔らかくて感動した。


「しかもスクランブルエッグにベーコンが入ってる」

「美味しいですか、ご主人様」

「とても美味しくて感動すらしている」


 と言うか味が濃い。これでイースガルドのいつもの宿屋より少し高い位なんだから、やはり流通が太い都市部は素晴らしい。


「あとは白米が欲しいよなあ」

「ライスですか、注文しましょうか?」

「いや、今欲しい訳じゃないから」


 出てくるのは日本のような米じゃなくてインディカ米のような細長い奴だし、そういった品種はそのまま食べるよりパエリアみたいに味付けした方が美味しいし、何より俺が食べたいのは白米なのだ、これ重要。

 そういえば西に行けば日本風な国のミカドがあるみたいだし、その内行ってみたい。もしかしたら白米があるかもしれないし。

 朝食を終えてスレイ達が宿泊した宿に向かうと既に馬車を準備し終えた後だったらしい。


「すまない、遅れたか」

「いや、僕達も今終わったばかりだからね」

「それよりユート様、お身体は大丈夫ですか?」


 イザベラが馬車から聖女様モードで話しかけてくる。昨日医務室でばっちり本性が見られているのにまだ続けるのかソレ。


「えぇ、あんなことありましたが身体は丈夫な方ですので一晩寝たらほら、この通りでございます」

「ふふっ、それはよかったです」

「よし、じゃあ今日は王都の西門から国境付近のウェストガルドまで一気に進みたいと思います。何事もなければ日が沈む前にたどり着けるはずです」

「随分と急ぐんだな」

「昨日の聖罰者(インクイジター)の件もあるからね。出来るだけ急ぎたいんだ。それに僕の加護はこの国では制限されているから万全の為にも出国したい」

「あの黒づくめの集団か……って加護の制限?」

「えぇ、僕の加護は聖女と教国の守護。故に他国に入ってしまうと力が出ないのです」


 加護って複数持てるのか。俺とアリスも一応加護持ちだがそこまで強力ではない。それが加護の強さなのか単純にスレイ自体が強いからなのかは分からないが。


「ちなみにどれくらい力が出てないか聞いてもいいか?」

「うーん、大体3割ほどしか出てないですね」


 アレだけハチャメチャな事しておいてまだ半分以下って強すぎるだろ。


「そのことは聖罰者達も把握しているはずです。この国で再び襲ってくる可能性は大いにあります」

「じゃあこの国から出ちまえば本領発揮できてヤツ等も襲ってこないと」

「そう簡単には襲ってこないでしょう」

「分かった、そういう事なら急いだほうがいいな」

「そういう訳ですので馬車が多少揺れますがご容赦ください」

「致し方ないですね」

 とまあイザベラの承諾も得た事なので急いでいこう。

 俺とアリスが先導する形となった。しかし街道を移動してきて思ったのが石畳で綺麗に舗装されている。特に王都付近の街道は目合わせが完璧と言っていいほど段差がない。これなら馬車でも結構な速度が出せる。それに馬車の方も俺の想像より技術が使われている。

 まず車輪がゴム製なのだ。正確には恋人蛙(ラバーズフロッグ)と言う魔物(モンスター)の皮らしい、それにスレイの馬車には懸架装置(サスペンション)も使われていた。


「なんでもつい最近開発された馬車で、これ一台で王都の屋敷を買えるぐらいだそうです」


 とはスレイの弁だ。そのおかげもあってか、馬をかなりの速度で走らせているが馬車も着いてきている。

 確かにこの調子なら馬たちの休憩を挟んでもウェストガルドにつけそうだ。


「そう思ってたんだけどね」


 ここは街道沿いの村、太陽が真上に来たので昼食も兼ねて休憩を取ろうと立ち寄った所、どうも様子がおかしく、村人に聞いてみると3日程前から病が蔓延しており、今朝になってついに死人が出たという話だ。


「これは……」

「この症状、沼地の村で見た病と同じです」

「病気、ですか?」

「俺とアリスがイースガルドから出発する前日に助けた村の事だな。あの時は月夜花を使った薬を飲ませたけどどこかに生えていないのか?」

「聞いてみます……近くて山を二つ越えた隣村にしかないそうです」


 月夜花とはその名の通り夜にしか咲かない花でその花から万病に効く薬が作れるのだ。

 しかし保存が出来ないので村に月夜花の栽培地を作るか、群生地の近くに村を作ることが多い。


「この村に医者は居ないのですか」

「今朝亡くなった方がお医者様だったと」


 詰みでは?

 医学なんて知っている事はペニシリンの作り方かサルファ剤の作り方ぐらいだ。環境が整えばいつかやってみたい事だが今は出来ないし、例え出来る環境だったとしても時間がかかる。

 月夜花も夜に咲く花を採取しなければならないし今から行っても間に合うか分からない。


「先を急ぎましょう。僕達に出来ることはありません」

「確かに俺達には無理だな、だけど一人やる気な奴がいるぜ」

「まさか……、無理です!修行して師から引き継いだならともかく、彼女はなったばかりですよ」

「だってさ。どうする、聖女様?」

「やりましょう、あたしだって聖女です。村の一つや二つ救済(すく)ってみせますわ」

プリンセスマッマ……

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