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梅雨入りしたので初投稿です

「ワタシの名前はアリス・キャロルと言います。出身はノース領のダーベリという村から来ました。どうぞアリスとお呼びください」

「俺は万里結人、万里が名字……ファミリーネームで結人がファーストネームだよ。そのノース領?っていうのはどこにあるんだ?」

「ここから北に向かえばノース領になります。たしか砦の大森林を境にノース領とイース領に分けられていたはずです」

「それ意外の領地はあるのかい?」

「サース領とウェース領があります、他にも小さな領地がいくつかあるそうですがこの4つがブリタニア王国の四大領地になります」


教会に向かう道でこの世界、と言うよりはこの王国の大まかな事を教えてもらっていた。

大まかな所はゲームと同じだが一つだけ違う事があった。


「ブリタニア王国のお姫様っている?」

「第一王子が生まれたのは去年に御触れがありましたが姫様のお生まれは聞いたこと無いですね。」

「教会にいる輝石の聖女マリーナは?」

「存じ上げません」

「傭兵団『つむじ風』のウィネ」

「聞いたことありません」

「砦の大森林に住む魔女マギ」

「どれも聞いたことの無い人です」

「そうか……」


これらの名前はゲームに出てくるプレイアブルキャラクター、要するにガチャで出てくるキャラクター達だ。

どういうことなのだろうか、大森林の最奥に居るマギや主な活動場所がサース領のウィネはこの中世っぽい時代では情報が届いてない可能性もあるが姫様や聖女まで知らないとなると何か理由があるはずだ。

ふと見るとアリスさんがあからさまに落ち込んでいた。


「あの、申し訳ありません。お役にたてなくて」

「いや、そんな事はないよ。むしろ役立っているって、俺の知識との違いがあるという事が分かったのは大きな発見だよ」

「それはどういう事なのでしょうか?」

「もしかしたら俺の知っている事とこの世界の常識が違っていたなら些細な事でも大きなミスに繋がるかも知れないからね」


例えば日本では了承を表す人差し指と親指で輪を作るオッケーのジェスチャーも、海外では相手を侮蔑する意味になるとか。

国が違えば意味も変わる、ましてやここは異世界、何が違うのか全く想像つかない。


「なるほど、そこまでお考えだったのですね、素晴らしいです」

「それほどでもないよ。教会まではまだなのかな?」


その場しのぎでかなり適当な発言だったがアリスさんのフォローが出来たし、俺への好感度もうなぎ登りだ、これが異世界転移……!


「でしたら、この先の大通りを抜けた先です。

この時間ですとまだ朝市が開いてる頃ですので人が多いかもしれません」


言われた通り、小道から抜けると広い道に所狭しと露店が並びその間の通路を人々が歩き回っていた。

人気ジャンルのオンリーイベント位人が居る気がする。


「賑やかだなぁ」

「はい、ですが王都のセントガルドはもっと賑やかと聞きます」


これ以上だとすると夏と冬に行われる即売会レベルなんじゃなかろうか。

とアリスさんに先導されながら考えていると何処からかふわりと何かの香りが鼻をくすぐった。

辺りを見回すとある出店の前に人だかりが出来ていた。後ろの看板は見るにパン屋だろうか?


「ここのパン屋さんは朝早く出立する商人さんや冒険者などにパンとスープを売っているのですよ」

「なるほど、駅の立ち食い蕎麦みたいなものか」

「えき……?そのタチグイソバ?とはなんですか?」

「え?うーん、俺の国のパスタみたいなものだよ。」


言っててこの世界にパスタがあるか分からなかったがアリスさんそうなのですねと納得してくれたようだ。

ただ、アリスさんの視線がずっとパン屋の屋台に向いている、お腹が空いているのだろうか。


「……」

「あー?アリスさん?」

「はっ?!はい、なんでしょうご主人様」

「いや、そのご主人様はやめて欲しいなあって。気軽に結人とでも呼んでよ」

「ですがワタシはご主人様の従者、それでは示しがつきません」

「しかしですねアリスさん……」

「それもですご主人様」

「それ?ってどれ?」

「その『さん』です、本来は目上の方に使う敬称ですので、従者であるワタシに使うのはよろしくありません」


言い分を聞くからには従者の鏡という他無いが、如何せんその呼ばれる俺はそこまで偉くないし、他人の目が気になって仕方ない。


「わかった。君の事はアリスと呼ぼう。その代わりに、人前でご主人様と言うのは無しで」

「それは、どうしてもですか?」

「どうしても」

「では、そうご命令下さい」


なんでさ?


「ワタシはご主人様の従者でございます、ご主人様はワタシに命令を下し、ワタシを導き、出来なければ仕置きをするモノです」


エロゲかな?

しかしアリスさんの瞳からは確固たる意志が見える。

ここは覚悟を決めるしかないと、アリスさ……アリスの両肩を掴み、正面に見据える。


「……わかった。アリス、人前でご主人様と言うのは禁止だ、今後はそうだな、結人と呼ぶこと。これは命令だ」

「っ……!はい、ユート、様……」


なんでこの子顔を赤らめながら妙に息を荒げているの?命令ってそういうかんじなの?

流れを変えなければ……!


「ところであのパン屋ずっと見てたけどおお腹空いたの??」

「いえ、そのような事は……」グゥー

「……」

「……お腹など空いては」グゥー

「……」

「空いて」グゥー

「わかった、俺が空いてるから食べよう」

「……そうですねご主、ユート様が空腹なのはよろしくありません、朝御飯にしましょう」


教会に行く前に少し寄り道するとした。


牧場?そんなことより鉱山だ!

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