24 修行回
白い日だったので初投稿です
エリちゃんが思念通話珠を持ち帰ってから数日、俺とアリスは毎日初級ダンジョンに来ていた。
俺達のスライム討伐の噂も胡散臭い話になってきたところに教会から聖女の誕生が発表されたことによりダンジョンには前と同じ静寂が訪れていた。
「いやまあ魔物はいるけど、誰も来なくなったな」
「はい、でもそのおかげで秘密の訓練が出来ますね」
「確かに、じゃあ次はパワーアップの条件を探っていくぞ」
今俺たちは人気がなくなった初級ダンジョンの奥地でヒュージスライムを倒したときに起きた現象について検証とイザベラが言っていた襲撃者に備えて修行をしていた。
あの時俺の中に顕現したスキル『再接合』は発動条件が「親愛度が高い異性が共にいること」というかなり曖昧な条件のみがスキル詳細欄に書かれていてその他は全くの不明。
スキルのレアリティが神話級なので確実にジジイが付けておいたスキルなのだろう。
「ここまでで分かったことはまず一つ、身体能力の向上。二つ、スキルの性能向上。三つ発動者同士に思念伝播が通る。って感じかな」
「はい、それ以外にも軽い傷ならすぐに治りました」
特に一つ目の身体能力の向上がバグを疑うレベルで上がる、この身体能力で元の世界に戻ったら100m走をスキップで世界記録を更新できる。
流石神話級のスキルと言ったところだろうか、これならまたヒュージスライムのような上級魔物に襲われても逃げる事も可能だし何なら倒せるだろう。
「これなら上級ダンジョンも行けるかもな」
「ご主人様、無理は禁物です、いくら倒せると言ってもあの状態は長くは持ちませんしヒュージスライムは上級ダンジョンでも弱いと書物にも書かれております」
「確かに安全マージンは大切だな、そこに気が付くとはアリスは偉いな」
「あ、ありがとうございます」
浮かれた俺に的確にアドバイスをくれたアリスの頭を撫でる。
アリスは少し恥ずかしそうにしているが、されるがままに受け入れている。
「ん……ふぁ……」
アリスの髪はさらさらしているのにしっとりと柔らかく撫でていて全く飽きが来ない、無限になでなで出来てしまう魅力がある。
「あっ……うん……ひぅ……」
髪からチラリと除くエルフ耳もなでなでに一役買っている。
耳のコリコリとした感触が妙な癖になってなでなでのアクセントになっている。うーむ、これはあれだ、トグルスイッチを無心でオンオフしたり梱包材のプチプチを潰したりに近い何かがある、もちろん気持ちよさは天地の差があるが。
「ふっ……んっ……っ……っ……」
さらさらコリコリが気持ち良すぎて無限に撫でていられるな。なんだろうなこれ、楽園はここにあったのか?気持ち良すぎてなんかもう吸いたい、頭に顔押し付けて思いっきり鼻から匂いを吸い込みたい、てか吸うか。
「スゥーーーーーーーーーーーーーーーー……」
「ひゃあ?!?!!?」
顎にとてつもない衝撃を受けて一瞬気を失いかけるがなんとか踏みとどまった。
「あ、ご主人様すみません!」
「いや、今のは俺が悪かった」
そしてこのスキルの副作用なのかやたらと身体的接触の欲求にかられる。
なんだかアリスに触りたくなるのだ、アリスは平気そうだが俺だけなのだろうか。
何度か繰り返していくうちに最初の時みたいに接吻はやらなくていい事と発動するたびに僅かながら強化の時間が伸びて行っている。初めは1分だったが十数回ほどやったところで1秒伸びた。
このまま続けていけばもっと伸びるのだろうか。
ヒュージスライムと下級ダンジョンで貯めた魔石のお金で食料品を買い込んでダンジョン前で泊まり込みをしている。ダンジョン内での時間速度の差を利用して修行する。どこぞの龍玉みたいな方法だな。
「このまま護衛当日までに仕上げていこう」
「はい、頑張ります」
以下修行パート
数日後、中級ダンジョン《毒薬の大湿原》最深部——
迷宮主:アサシンスライダー
四本足で水面を走り、二本の腕で武器を操る半人型の昆虫。その脅威は水溜まり程度の深さでも圧倒的な速さで襲い掛かってくる事と必ず3匹1組で敵に襲撃をかけるという2点である。
主な対処法としては水の無い陸地に誘い出すのと必ず3人以上で挑む事だ。
この魔物相手に対するのは俺とアリスの二人。
「アリス、後ろは任せた」
「はい、ご主人様」
俺は『チートスキル』を発動させて前に出る。靴底を濡らす程度の水深だがアサシンスライダー達にとっては格好の餌だ。
水面を滑る様に移動し、俺だけを囲む。陸地にいるアリスは気にも留めてない感じだ。
前方に槍持ちと片手剣持ちが一匹ずつ、短剣二本持ちは背後に回っている、その時槍持ちが一直線に突っ込んできた。盾で槍先を上に弾いて細い胴体を輪切りにする。そのまま前に突っ込み、後ろにいた片手剣持ちをすれ違い際に足を2本切り落とす。
バランスを崩して倒れる仲間を飛び越えて短剣持ちが襲い掛かってくる。
それを死体と倒れた虫を足場に10m以上の距離を僅か2歩でアリスが切迫し短剣持ちの武器を持つ腕と首を切り落とした。
片足になってもがく残りの頭を斬り潰して一息つく。
「ボス部屋に入ってジャスト5秒、大分仕上がったな」
「これなら明日の護衛依頼も大丈夫かと」
「よし帰って明日に備えるか」
遂に明日は護衛当日、何も起きなければいいが……
ご用意されました




