22 内緒のお話
3月に入ったので初投稿です
イザベラを助ける、とはなんとも物騒な話だが。
「助けるとはいったいどういう事でしょうか?」
「随分と訳ありっぽいがそこの所も話してくれるのか?」
「そうですね私達の話をしましょうか——」
以下要点
シスタークラリスとイザベラは腹違いの姉妹であり、他国でかなりの大貴族であったが他の貴族たちに嵌められ、あっという間に一族全員処刑が決定する。決死の夜逃げをして何とか二人だけはこの国にたどり着いた。
その時はイザベラもまだ赤ん坊だったこともあり、貴族の事は忘れて残りの人生を穏やかに過ごそうと決意するもイザベラが聖女として目覚めてしまった。
このままでは生き残っていることが国の貴族にばれてしまうかもしれない。そうなればイザベラに危機が降り注いでしまう。
これを約4時間ほど、当時の会話再現付きで話された。逃走劇の赤子を抱いた山越えのシーンは正直めっちゃハラハラした。
「しかし彼女がいくのは真聖教の総本山なんだし、下手な国より安全じゃないか?」
「いえ、かの聖女達も派閥争いが激しく暗殺も珍しくないと聞きます」
「なにそれ怖い」
「そうなってしまえばイザベラの過去が暴かれた時、必ず魔の手が襲う事でしょう」
「たしかにそれは大変な事になりますね」
「だけど、イザベラ本人の意思も確認したいですね」
「そんな!イザベラの為を思えば教国に行くべきでは……!」
「シスタークラリス、誰かを思ってする行動は確かに大変素晴らしいです。しかし素晴らしくても正しいとは限らない、というのが俺の意見です」
地獄への道は善意によって舗装されているっていうのはどこの言葉だったか。
「本人に行く意思があるなら俺はそっちを優先したいと思っています」
「しかし……、ですが……!」
「落ち着いてくださいましクラリス様、ご主人様は本人の意思次第とおっしゃいました。ならばイザベラ様が行きたくないとおっしゃるならばご主人様はきっとお力になります」
「……わかりました」
落ち込むシスターを後に孤児院から出る。というか決め顔で出てきたけど現状もう一度イザベラに会えるのかもわからない。とりあえずもうすぐ日も沈むので帰るか。
「なんで来ないんだよお〜」
「すいません忘れてました……」
夕食を済ませた後、宿屋の一室で寝る準備をしていた俺達は窓からエリちゃんが飛んできて死ぬほどびっくりした。
手には聖女様にプレゼントしたはずの地球儀モドキの魔道具を持っていた。
「それって聖女様に渡したやつですよね?なんで持っているんですか?」
「ふっふっふっ、それはねユート君、これは確かに結界を張る魔道具であるけどもう一つ、隠された機能があるのだよ」
「それは一体何なのでございましょう?」
「こいつの正式名称は『秘匿思念通話珠』、誰にも邪魔されたくない会話をするときに使う物でね、使用時にでる結界は二重構造で防御結界の内側に完全防音性の結界があるのさ」
つまりは内緒話用の魔道具と。なんでそんなもん持ってるんだ。
「いやー、これ元サブマスの持ち物でねー。何か使い道が無いかと仕舞っておいたんだ」
あぁ、例の悪い事やってたという、裏話をするには完全遮音はうってつけだもんな。
「まあ、2つで1セットだから決まった通話珠としか会話できないけど。今回は聖女様と会話だけだから別にいいでしょう」
スイッチおーんと間の抜けた掛け声と共にエリちゃんが魔道具に魔力を込めると水晶の部分がぼうっと光り、装飾の花から声が聞こえた。これスピーカーか。
「へーい、聖女ちゃん聞こえるー?」
『……聞こえます。あの、結界が出来ましたけどこれってどういうものなのでしょう?』
「それは防音の結界だからどんな大声出しても外に漏れることはないよ」
『わかりました。それとユート様はいらっしゃいますでしょうか?』
「いるぞイザベラ、随分と雰囲気が変わったけどイメチェンでもしたのか?」
『まあユート様、お二人でお話したいことがございます。失礼ですが他の方々には席を外してもらえませんか?』
「あぁ、分かった」
話を聞いて立ち上がるアリスを手で制止してエリちゃんに目配せする。エリちゃんも意図に気付いたのか扉開けると
「それじゃあ、ごゆっくり〜」
とイザベラに聞こえるように喋るとそのまま出ていかずに扉を閉めた。
「もういいぞ」
俺の合図でスピーカーから大きく息を吸う音が聞こえる、これは危ないと立ったままだったアリスを膝の上に乗せて耳をそっと塞ぐ。
「アンタ来るの遅いわよ!!!どれだけあたしを待たせるのよ!!!遅すぎて寝るところだったわ!!!」
「すまんすまん、あの後シスタークラリスにあってな、お前の過去話をしてもらったんだ」
『はぁ?!おね、あのシスターあたしの過去喋ったの?!一体何聞いたの、忘れなさいよ!!!』
イザベラの声は甲高いとかじゃないがよく通る声なので大声で喋られるとそのまま頭に響くのだ。なので慣れてない人間は耳を塞ぐ必要がある。
俺は慣れているので特に問題はないがもろに食らったエリちゃんはくらくらしている。
「それはそうとこの魔道具を渡した冒険者ギルドのマスターと話してもらいたいのだが」
「はーい、ギルドマスターのエリちゃんでーす」
『なんでもう居るのよ』
「まあまあ気にしないで、それよりなんで今回わざわざユートくんたちを指名したのか聞きたくてさ」
「なんだ、そんなの簡単よ。
――あたしが、殺されるからよ」
アイドル140連でフィニッシュです




