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それはよくある異世界転生  作者: 乙屋敷


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20 依頼者

バレンタインデーなので初投稿です

 聖女とは教会にいる特殊な回復術を持つ女性達である。

 その回復術は一般の回復術とは異なりあらゆる病を治し、どんな傷もたちまち塞ぐ。噂では死者すら蘇らせるとか。

 聖女に選ばれた女性が秘伝の儀式を受けて聖女になるらしいが、稀に突然聖女として目覚める事もあると言う。


「今回はその突然目覚めちゃったパターンだね」

「そんなに聖女は沢山いるのか?」

「うーん、大体国に2〜3人は居るよ、教会の総本山には100人以上居るとか」


 それはいすぎだろう。


「で、その総本山から誕生した聖女の召集がかかってるんだって」

「ちょっと待て、先日生まれたばかりなのになんで知っているんだ?」


 この世界だと手紙が主な伝達手段で隣の街に伝えるだけでも10日はかかるはずだ。

 伝書鳩があったとしてももっと時間がかかるだろう。


「さあ?予知の出来る聖女がいるんじゃない?」

「そんな適当な……」


 まあ剣と魔法のファンタジー世界なので未来視が出来る人間がいてもおかしくないか?知らんけど。


「で、その聖女様はなんだって俺達をご指名したんだ?」

「それは本人に聞いた方がいいと思うよ。これから護衛の打合せをしに行くから君たちも来てくれ」


 今からか、まあこの後ダンジョンに潜るくらいしか予定は無いので別にいいが。


「じゃあ君たちは先に行っててくれ。私はある準備をしてから行くから」


 というわけで先に教会に向かう事になった。あそこは転生してから毎日朝にお祈りしている。

 といってもアリスの習慣に付き合っている形ではあるが、朝の静かな教会は割と好きなので続いている。

 そもそも転生前の仕事とゲームで徹夜な日々ならともかく、この世界じゃあ酒と博打と女性くらいしか娯楽が無い上にどれもアリスの教育上よろしく無いし、そもそも全部転生前から得意じゃない。

 よってアリスに合わせて俺も寝起きしていたら、早寝早起き推定睡眠時間8時間超えの健康生活が出来上がっている。


「あー!ユートだ!」

「遊びに来たのー?」

「イイオトナなのに遊んでていいのー?」

「うっせえぞジャリ共。今日は仕事だよ」

「えー遊んでよー!」

「ユートのくせに仕事あんのかよー!」

「はい今のカッチーンきましたよ、遊んだらぁ!」

「「「きゃー!」」」


 教会につくと併設されている孤児院のガキたちに囲まれる、アリスのヒモ状態だった頃はここでガキたちの相手をしつつ昼前まで時間を潰していた。昼までいるとシスターが俺の昼飯を用意するのである。

 ただでさえ教会から碌に金が回ってこない貧乏孤児院に俺の飯まで負担させるのは良心が痛むので用意される前に退散している。


「あの、ご主人様?」

「おっと、つい遊ぶところだった」


 足にガキどもをへばりつかせて教会の方へ向かう、すると、どんなにやんちゃなガキどもでも空気を読んでか離れる。


「あら?あらあら、ユートさんじゃないですか。今日はどうしてこちらに?」


 孤児院側の出入り口から入るとそこにいたのは孤児院の担当をしているシスタークラリスが居た。シスターは他にも何人かいるが院はずっとシスタークラリスに任されている。シスターは本人の意思で院の世話をしているとの話だが、風の噂では教会内の派閥に入らなかった為に押し付けられたと聞いた。


「シスター、今回はこちらから直々にご依頼があったので馳せ参じましたよ」

「ご依頼ですか?最近冒険者になられたとは聞きましたが教会から冒険者ギルドへの依頼はやっていないはずですが」

「そうなんですか?しかし俺達指名の依頼だとエリちゃ、ギルド長から伺っているのですが」

「ユートさん指名の……もしかして」

「シスタークラリス!一体何事かね?」

「司教様、冒険者ギルドの方がいらっしゃいました」


 聖堂の2階から恰幅のいいオッサンがのそりのそりと威厳たっぷりに姿を現した。いや、どちらかというと太りすぎて歩くのもままならないといった方が正しい気がする。それほどまでに福やかな体系をしている。

 司教は俺達を一瞥すると鼻を鳴らして喋りだした。


「そんなみすぼらしい冒険者にするような依頼はない。嘘も大概にしたまえ」

「そういわれてハイそうですかって帰れるかよ。こっちはギルド長から直々に言われてきたんだが」

「儂が呼んだのはそのギルド長だ、お前たちのような下っ端に務まるような依頼ではない」

「残念ながらその二人はこの依頼の参加者なんだよねえ」


 振り返るとエリちゃんが小脇に何か抱えて教会の入り口に立っていた。なんだあれ?地球儀?


「ギルド長殿、先ぶれの使いを出すとは出世したではないか。それにしては随分と粗野な使いだな、貴殿の品位にかかわるぞ?」

「これはこれは、司教様にご指導頂き至極恐縮でございます。しかしながら彼らは我がギルドが誇る冒険者に御座います、お気に召さなければこの依頼は無かった事にするほかありません。そうなれば困るのは司教様では?」

「……シスタークラリス、2階の部屋に案内しろ」


 忌々しそうにそうつぶやくとまた通路を戻っていった、エリちゃんそういう事も出来るのすげえじゃん。


「はーやだやだ、こういう事やりたく無いからギルドマスターになりたくなかったのに」

「いや、大したもんだ。俺なんかアイツをどうやってぶん殴ろうかって考えてたからな」

「あはは、もしボクがアイツをぶん殴りたくなったら言うからその時はよろしくね」

「それではご案内しますね」


 シスタークラリスの後を付いていく。


「ところでシスター、聖女様っていうのは一体誰なんです?」

「彼女は孤児院に居た子ですよ、ユートさんもご存知のはずです」

「孤児院の女の子っていうとエイミー、カレン、アシュリー、ジェーン、イラーリ、あと誰だっけ」

「イザベラですよ、あの子身体が弱かったですから殆ど孤児院のベッドで寝ていましたけど」

「イザベラ……あぁ、赤毛でくるくる髪の。何度か会ったな」


 結構気の強い子だったはず、面白い話をしろと言われて童話とか日本昔話をいくつか聞かせたなあ。

 まあ話に納得がいかないと物が飛んでくるような子ではあったが。


「もうベッドで寝てなくても大丈夫なんですか?」

「えぇ、聖女として目覚めたおかげかすっかり健康になりました」

「それはよかった、なまいk……元気な子ではあったけど身体がついていけてない感じだったから」

「ていうかユートくん、孤児院の女の子の名前覚えてるの?」


 エリちゃんが引いた声で言う。失敬な、男の子の名前も憶えているぞ。なにせ冒険者になる前は毎日遊び相手になっていたからな。


「皆様、こちらに聖女様と司教様がいらっしゃいます……司教様、お客様をお連れしました」


 シスターが扉越しに知らせると中から入れと司教の声がした。アイツと対面するのは正直気が乗らないがこれも仕事なので頑張るっきゃない。気合を入れて扉を開けた。

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