02 チュートリアルはちゃんとやろう
前回からだいぶ空いたので初投稿です
「つまり君は、日課のお祈りをしていたら神様が現れて俺のお世話係になったと?」
「その通りです。『異界より訪れる無垢なる赤子を勇者へと導け』という神託に従い、ここイースガルドより北東の砦の大森林でご主人様を見つけてここまで運んできました」
「うん、なんとなくわかった」
お互いに身だしなみを整えて改めて対面する。
自身の記憶のない罪状がかヤバイ状況に気絶しそうになったがどうやらこの子も別方面でヤバイらしい。
なんだよ神託だとか異界だとか。イースガルドって、ゲームみたいな設定だしてきやがって。
……ゲーム?
「もしかしてだけど、魔法があったりする?」
「はい、魔法は生活や冒険にも欠かせないモノでございます」
「人間以外にも獣人や森人が居たりする?」
「はい、ワタシも森人でございます」
「この国の名前はなんていうんだ?」
「ブリタニア王国です。ここはそのイース領最大の街、イースガルドになります」
「王様の名前ってアーサー・ラ・ブリタニアだったりする?」
「その通りでございます。ご主人様はすでにこの地の事をよくお知りなのですね」
そりゃそうだ、これは俺がハマっているゲームの情報だからだ。
『デスティニープリンセスストーリーズ』
通称DPSと言われるソーシャルゲームだ、ガチャでキャラクターを入手したら素材を集めて強化していき強敵を倒すよくあるゲームである。
なんとなくここが異世界的な場所なのは分かっていたがまさかゲームの世界だとは。
「だったらチュートリアル用意しといて欲しいぜ」
「チュート……?それは何でしょうか、すみませんご用意していなくて」
「あっごめん君に言ったわけじゃなくて、寝起きで喉乾いたから水が欲しいんだけどあるかな?」
「でしたらすぐに持ってきますね」
彼女は机にあった花瓶を持って出ていった、あれ花が活けてないと思ったら水差しだったのか。
さて、ここがゲームの世界なら確認する方法があるはずだ。
例えばVRMMOとかにあるボイスコマンドによるメニュー画面の呼び出しだ。
「ステータス!」
何も起きない、これではないのか。
「メニュー!これも違うのか、オプション!ウィンドウ!スキル!カスタム!」
一通りそれっぽい単語を並べるが何も起きる気配はない。
言葉ではなく何かしらの動きなのだろうか、あるいはその両方とか。
◇◇◇
「ご主人様、水をお持ちしました……?」
「ステータスオープン!この動きじゃない、もっとこう優雅に、それでいて大胆に……こうか!ステェータスゥ……オープン!あ」
試している内にだんだん楽しくなってきて色んなポーズをしながら出てきそうな単語を発言していたら水を持ってきてくれた彼女と目が合った。
ものすごく気まずい、例えるならセ○ィロスのフィギュアでブンドドしていたのを母親に見られた時のような気まずさだ。
「おほん、朝の運動をしていたんだ」
「さようでございますか、お水お持ちしました」
「ありがとう、頂くよ」
できるだけ平静を装いながら水を貰い、一気に煽る。
気管に入った、むせた。
「大丈夫ですか?」
「ゲホッ……大丈夫、ところで聞きたいことがあるんだけど、君は神託をどこで授かったのかな?」
「御神託ですか?あれは朝のお祈りを捧げていた時の事でしたから教会ですね」
「なら教会に行こう、もしかしたら何か判るかもしれない」
「それでは行きましょう、ご案内します」
ゲームの主人公もよく教会で神に色々教えてもらってたしな。
彼女は荷物をまとめ、机に置かれていた剣を革のベルトで腰に付けた。
「あぁ、その前にもう一つ聞きたいことが」
「何でございましょう?」
君の名前なんて言うの?
恐竜に乗ったヒ○ラーってなんだよそんなの絶対おもしろいじゃん……