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197 聖女の帰還

ジェットコースター記念日なので初投稿です

 無事に(?)カマキリと百足と討伐し聖女の死体を仲間の所に持っていく。虫の体液がべったり付いていて運ぶのに大分苦労した。液体に触ると少しピリピリするし仕方ないので野宿用のシーツを一つ使いぐるぐる巻きにして運ぶことにした。


「と言うわけで聖女様だ、間違いないか?」

「おぉ……なんという……」


 聖女様の従者と名乗る男は回収した死体の顔を見て涙を流した。聖女の顔は液体、恐らく胃酸でドロドロに溶けていた。


「クレア、蘇生術(リザレクション)を」

「それはダメです」

「……どういうことだ?」


 クレアの蘇生術を止める男、コイツも他のパーティメンバーもうちのクレアが生き返らせたのは一番最初に復活させられたこいつが一番見ているだろうに。


「聖女様には特別な真聖術がかけられているのです」

「なんだそれは」

「完全な蘇生術です、その名も『復活術(レイズデッド)』。教国の初代聖女様が魔王から受けた死の呪いを解呪するために生み出したとされます」

「どう違うんだ?」

「魂のありかたです」


 人は死ぬと魂が魔力(オド)よりも更に純粋なものに分解されてしまうらしい。そのまま生き返らせると記憶の欠落が起きたりスキルを失ってしまうのだとか。昔の文献には心臓の動かし方を忘れてしまい生き返った瞬間再び息を引き取ったという話もあるそうだ。そこで編み出されたのが蘇生術(リザレクション)であり、蘇生の時に魂の欠けた部分を術者の魔力(オド)で補完するらしい。


「ですがそれはしょせん他人の魔力(オド)、術者の記憶が混じったり自身が所持しているスキルの変質が起きても何ら不思議ではない」

「その問題を復活術(レイズデッド)はどう克服したんだ?」

「簡単な事です……自分自身の魔力(オド)蘇生術(リザレクション)をかけるんです」

「自分が死んでいるのに自分で蘇生術(リザレクション)をかける?」


 何言っているんだコイツと思ったが蘇生術(リザレクション)の問題点である他人の魔力(オド)で魂の補完を行うと起きる不具合を自分で蘇生させることによってその補完を完璧なものにしようって事か。


「だからって自分自身に蘇生術(リザレクション)はかけられないだろ」


 何せ死んでいるんだから。


「そのために聖痕(スティグマ)があります」

「なんだそれ?」

「聖女様にかけられた特別な真聖術の事です。死んだ瞬間に魂を教国の保護容器に移して魂の分解を防ぐのです。そして教国には蘇生術(リザレクション)魔術陣(マジックサーキット)があります」


 すげえテクノロジーだな、魂なんて概念を捕まえることが出来るのか。

 男から少し離れて作戦会議をはじめる。


「なあ、これってどう思う?」

「聖女様が死ねば国同士で争いの種になるお話でしたよね」

「一応死体の回収は出来たのだから最悪の状態は回避できたけど」

「ここで蘇生出来ない以上無理に蘇生して関係悪化したら不味いわよ」

「あのー……」


 あーだこーだと言っている内に男が近くにいた。


「もしかして聖女様の事で気になる事でも」

「え、あぁ、いやあ」

「聖女様が死んで救国と王国の関係が悪くなることを懸念しているのです」


 ソフィーさん?


「あぁ、その事でしたらご安心ください。聖女様はそのような事はいたしません」

「それはなぜでしょうか?」

「ウチの聖女様は少々変わり者でして……幽霊(ゴースト)専門の冒険者をするほどですのでたまにこのように返り討ちに会って死亡する事も少なくないのです」


 たまに死ぬってすごいワードだけどそうポンポンと生き返れるのは凄いな。普通の冒険者なら生き返らせてもらうなんて余裕のある上級冒険者でも一度くらいだろう。


「そういうのもあって我らはともかく聖女様はご遺体があればそれは無事と同義ですのでご安心ください」


 色んな意味で安心できないが?


「聖女様も死体を回収してくださって感謝していると思います」

「まあ、貴方たちがそういうのであれば……」


 2層の攻略も終わったし死体の回収も出来た。護衛をしつつ迷宮(ダンジョン)から脱出する。

 町に戻った攻略組は冒険者ギルドに報告に向かい、その足で各自国に帰るそうだ。


「今回は全滅した上にそちらの冒険者に助けられたので報酬は受け取らずにその冒険者に渡して欲しいってさ。って事ではい」


 ドンッとテーブルが凹みそうな音を鳴らしながらデカい革袋が置かれる。


「4パーティ分の討伐報酬だよ」


 中を見れば金貨が詰まっていた。


「これ全部金貨?」

「全部金貨だよ、ちなみに聖女様率いる特級クラスが半分、残りを上級クラスの3パーティに均等に分ける予定だったものさ」

「上級クラスでもかなり払うんだな」

「専門職はそれだけ貴重って事だよ」


 凄いなあの連中。


「さて、あの家は貴族様がお金出して市民権も10年は更新料免除、それだけのお金があれば慎ましく生きて行けば一生は食べていける金額だけど」


 そろそろいい返事をききたいなーと顔に書いてある。


「そうだな、ここに移住しようと思う」

「よかったあ!移住する感じで話通してたからコレで断られたら大変だったんだよね」


 誰に、領主にか。


「うんうん、初代町長も決まった事だし。これでこの町も安泰だね」

「ちょっと待て、初代町長ってなんだ」

「言ってなかったっけ?ボクが領主様に頼まれたのはこの町の町長を選ぶ事さ」


 聞いてないが?!


我らはツイッターにしか住めない毒沼の魚よ

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