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196 空中戦

うどんの日なので初投稿です

 墜落した空飛ぶ百足は足の代わりについている羽根を高速で震わせるとだんだんと加速しながら空へと飛んだ。


「まるで空飛ぶ列車だな」


 虫なのでそんなロマンチックではないが。百足は空高く舞い上がると旋回を始めた。


「あそこまで飛ばれると何も出来ませんね」

「『瞬間爆破(ソニックボム)』も、あの距離じゃあ当てるのが難しいな」


 比較する物が無いので正確な高さは分からないが100m位あるかもしれない。


「だが百足も寄らなければ攻撃できないだろう」

「近付いてきた時が攻撃のチャンスと言うわけですね」

「ねえ、何か落ちてきてるわよ」


 クレアの声を聞いて上を見れば黄色い塊が落ちてきている。このままだと直撃コースだ。


「回避!」


 傍にいたアリスを抱えてその場から移動する。黄色の塊が地面に落ちると焼ける様な匂いがあたりに漂う。


「これはもしかしなくても……」

「あの虫の毒液だろうね」

「近付いてくるんじゃないの?」


 その可能性は大分低くなってきた。此方の攻撃はほぼ届かないが向こうの攻撃は落とすだけだからな。


「うーむ、一方的だな」

「それこそ空を飛ばない限りアレに攻撃するのは無理なのでしょうか」

「飛ぶといってもなあ……あ」


 クー助がいるじゃん。


「きゅ?」


 大きくなったクー助の背中に乗せてもらい空を飛ぶ。ぐんぐんと上昇していくとそれに気付いたのか大顎をあけて突っ込んできた。


「今度はちゃんと当てるぞ『水流針(アクアニードル)』」

「それじゃあボクも『火炎剣(フレイムブレイド)』」


 水の槍と火の剣が百足の顔面に殺到する。しかし百足は横にスライドするように回避した。

 そのまま俺達の上を回転するように後ろへと抜けた。


「バレルロールしてきたぞアイツ」


 空中戦闘機動(エアコンバットマニューバ)とか野生の生物がやっていい行動じゃないだろ。


「きゅ!」

「クーちゃんはやってはダメだよ。ボク達が落っこちちゃうからね」

「きゅ~……」


 俺達という荷物も抱えてる以上クー助は機動力勝負に出ることは出来ない。しかしあの動きならばある程度は機動の予測は出来る。それに合わせて移動してくれればこちらにも攻撃のチャンスはある。


「クー助、あんな動きしなくても近付いてくれれば十分だ、その後は俺達の仕事だからな」

「きゅ~」


 納得したのか指示に合わせて移動してくれる。再び正面で向き合う形になると魔術の準備を始める。


「俺が先に攻撃する。ヤツの回避に合わせて攻撃してくれ」

「分かったよ」

「よし、クー助突っ込め」

「きゅい!」


 大顎を開いて突っ込んでくる百足に2度目の水槍を飛ばす。すると先ほどと同じ横スライドで回避をした。予想通りだ。


「ソフィー今だ!」

「『火炎剣(フレイムブレイド)』」


 3本の火の剣が今度は胴体を捉える。羽肢を何本か吹き飛ばすことに成功した。攻撃の影響か体を揺らしながら高度が下がり今は俺達よりも下に居る。


「このまま攻撃を当て続ければ地面に落ちるんじゃないかな」

「では今度はワタシが行きます」

「いくってどこにぃ!?」


 アリスがクー助から飛び降りた!慌てて下を見るとアリスに気が付いたのか大顎をあけて待ち構えている百足の姿が見えた。クー助も急降下を始めるが遅くて間に合わない!空中では足場も無いので落ちている人間に避ける術は無い。


「アリス!」


 大顎が閉じる瞬間、アリスは二つのナイフで大顎の軌道をわずかに逸らして回避したあと百足の背中側に着地していた。


「えぇ……」


 いくら『親愛の絆(チートスキル)』が機能しているからと言ってその機動力は少し引く。

 アリスは百足の背中に立つと小剣を取り出した。


「いきます『風の精霊よ、我が刃に風の加護を……風刃(エアブレイド)』」


 今のは『風刃(エアブレイド)』の詠唱だ。アリスはそこまで魔術を使えるわけではないがシルフィードの小剣ならたとえ赤ん坊が唱えたとしても上級冒険者並みの魔術が行使できる。


「ってか付加(エンチャント)の刃でか!」


 小剣に纏った風の刃は10mを優に超えた巨大な大剣になっていた。


「せいっやぁー!」


 振り下ろした大剣は百足を半ばから両断した。


 ギイイイイイイイイイイイイイ!


 長さが半分になった百足は悲鳴を上げながら墜落していく。落ちていくアリスを俺もクー助から飛び降り捕まえる。


「しっかり捕まっていろ」

「畏まりました」


 盾を足元に置き盾に向かって『風槌(エアハンマー)』を打ち込む。盾で受けた衝撃で落下の速度を落としていき着地する。足が折れそうな衝撃が駆け抜けるがまあ死んでいないのでOKだ。


「いってえ……魔物(モンスター)はどうなった?」

「あそこだよ」


 百足は真っ逆さまに落ちたのか大顎は折れてあちこちから緑色の体液を噴き出していた。しかし闘争心は消えて居ないのか残った方の大顎を動かしながら威嚇していた。

 しぶとい奴だと思っていたら百足の傍らに白ワンピが佇んでいた。


 キャアアアアアアアアアア!

 ギイイイイイイイイイイイイイ!


 何をするのかと思ったら白ワンピが百足の脳天をカチ割ると中から紫水晶、魔物(モンスター)核心(コア)を取り出した。思いもよらない行動に戸惑っていたら白ワンピが核心(コア)を握り潰してしまった。

 断末魔を上げながら光の粒子に変わっていく百足。同時に白ワンピも白い煙のような何かに変わっていく。


 あ、りが……とう。


 白ワンピがこちらに向かって喋ると返事を待たずして百足と白ワンピが霧散して消えてしまった。


「なんだったんだい今のは」

「わからん」

「コレでこの階層(エリア)は攻略出来たの?」

「わからん」


 何も分からないままボス討伐が終わってしまった。

オーバーでブースト

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