195 星の子
UFOの日なので初投稿です
カマキリはその大鎌の腕を振り回してアリスを切り刻もうとするもそんな大振りではウチの回避型アタッカーにはかすりもしない。
「そこです」
大鎌の攻撃をすり抜け腹の下に潜り込むと腹を斬りつける。
「おや?」
しかし切り裂かれて内蔵が飛び出ることは無く表面を傷つけるだけで終わった。
「アリス、そいつの相手を頼む!俺達は残りの相手をする」
「畏まりました」
アリスに合流するために残りのカマキリを処理しよう。
「とはいえこの固い装甲をどうにかしないとな」
さっきは関節に『風刃』を流し込んで切り落としたが多少時間が掛かる。大鎌は出来るだけ無視して肢を切り落としていくか。
「『反射』!そして肢ィ!」
大鎌は弾き返し、怯んだ隙に片側の肢2本を切り落とす。カマキリは片足を無くして藻掻いている。
この調子で残りも始末しよう。
「焼き切り給え『火炎剣』」
ソフィーは燃え盛る剣を撃ち出し焼き切っていく。というかこれで一気に3匹始末できたのは流石の魔術だ。
「ここはボクに任せてくれないか」
「大丈夫なのか?」
「ボクにはクーちゃんが居るからね」
「きゅ!」
威勢のいいクー助の声を聞いて任せることにしてアリスの元に向かう、クー助の背中に魔法盾の小山があったのは見なかったことにしよう。
「さて、クーちゃん残りの虫を始末しよう」
「きゅい!」
クーちゃんの背中に乗るとカマキリの倍以上の大きさになる。コレなら4体同に相手をしてもボク達に攻撃が当たる事は無いだろう。
「ほらクレア。そんなところにこもってないで出てきたらどうだい?」
「……虫いない?」
「いないよ、今はクーちゃんの遥か下だ」
「……」
魔法盾が解かれてクレアが姿を現した。
「なんでアンタは平気なのよ?」
「まあ遠目から見る分には。ボクだって直接触るのは流石に無理だよ」
「……はあ、アタシも戦う手段を何か考えようかしら」
「君には真聖術があるじゃないか」
「あってもあんた達怪我しないじゃない」
「そうかい?ユートはよく怪我してるじゃないか」
「まあアイツのおかげでみんな怪我しないですんでるけど、それじゃあこのパーティにアタシが居る意味って何なのかしら」
「それは」
「……いいわ、今のは忘れて」
「……わかった、ただその悩みはユートに言うんだよ。彼なら力になってくれる」
「きゅ?」
クー助が巨大化して大怪獣バトルが始まる。それをしり目にアリスの元に向かう。
「アリス!大丈夫……だな」
「ご主人様、聖女様確保しました」
カマキリの腹を小剣で掻っ捌き、聖女の死体を引きずり出すアリス。
「随分と手慣れてるな」
「村で狩りをしていた時に解体もしていましたので。虫は初めてですが」
まあこんなデカい虫は迷宮以外に居ないだろうしな。
「だがこれで確保できた。ここの虫を全滅させたら一度帰ろう」
ソフィー達の方を見れば最後の1匹が頭を吹き飛ばされて倒れている最中だった。
「随分とあっさり終わったね。コレならこの階層攻略も早く終わりそうだ」
「さっさと終わらせましょ。もう虫は見たくないわ」
なんでそんなフラグ言うの。
ギイイイイイイイイイイイイイ!!!
ほらなんかヤバい音が聞こえるし!
「なんの音でしょうか?」
「多分、こいつらの親玉……かな」
音からして上、この夜空の様な天井なのだろう。
「……星が動いている?」
クレアの言葉に目を凝らす。星空の中央、いくつかの星が確かに動いている。しかも段々と輝きが大きくなってきている。
「上からくるぞ!」
気を付けろ!遠目に見えた星の輝きはどんどん近付いて来ておりその周りの輪郭も見えてきた。
クワガタの大顎に百足の胴体、脚の代わりに大きな翅が連なって生えている。星に見えた輝きはどうやら目だったようだ。ギチギチと顎を鳴らしながら一直線にこちらへ向かってきている。
「ご主人様、アレの狙いはクーちゃん様です!」
「クソッ迎撃するぞ!」
あそこまで大きくなってしまったクー助では回避は難しいだろう。
「魔力もりもりのこいつを食らえ!『瞬間爆破』!」
パチンと指を鳴らし、指先から迸る火花が魔力で出来た導火線を伝って高速で親玉に向かっていく。顔面の近くに火花が到達すると大爆発を引き起こした。しかし爆炎の中から顔を出した親玉は無傷だった。
「少しは怯んでほしかったなあ!」
クー助の元に走り出す。アレの突進に合わせて『反射』をかませばクー助を助けることが出来る。
「クーちゃん、小さくなって」
「きゅ!」
大顎の捕まる瞬間に身体を小さくして攻撃を回避する。
「風よ、集いて裂刃となせ『暴風災禍』」
攻撃を外した親玉の顔面に風の刃が現れそのまま顔面から突っ込んでいく。アレは上級風魔術の『暴風災禍』だ、いつの間に。
ギイイイイイイイイイイイイイ!!!
先ほどと似たような、しかし質感が悲鳴に寄った鳴き声が響き渡る。
クー助が地面を蹴って空中に逃げる。そこに顔面をやられた親玉が地面に激突した。
「おや、もしかして風が弱点かい?それともそのあからさまな複眼が弱点だったりするのかな?」
すいじょうきばくはつ