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19 指名依頼

今週は二本立てなので初投稿です

「毎度あり!また来てくれよな!」


 装備を買った俺とアリスは店を出た。最初はフルプレートを進められたが重すぎたので、(ヘルム)胸当て(ブレストプレート)手甲(ガントレット)足甲(グリーブ)を鉄製で揃え、さらに盾と鎖帷子は魔鉄を使用した物を購入した。

 魔鉄とはその名の通り魔力が詰まった鉄で魔力が豊富な山やダンジョンに住むアイアンゴーレムからとれるそこそこ貴重な素材らしい。

 しかし鉄とは桁違いの硬さと軽さを持ち合わせており、中級ダンジョンに挑むとなればこの素材で作られた武具が無いと攻略難易度がかなり変わってくるとか。


「鎖帷子がかなり高額だったな」

「しかしご主人様の命を守るには安すぎかと」

「そういうアリスもかなり軽装だよなあ」


 アリスは最初とほとんど変わらない、追加したのはサークレットと左胸だけを覆う胸当て、脛当ては文字通り脛につけるだけの簡単な物だし、手の甲から手首までを覆う程度の手甲……というかグローブである。俺としてはもっと装備してほしいが、


「これ以上装備したら重くて逆に危険です」


 とは本人の言葉なので尊重することにした。妥協点としてすべての防具を魔鉄製にすることで少しでも防御力を挙げてもらう。

 装備を整えてからは下級ダンジョンに向かった、階層は10層、階層主(エリアボス)は10階の最奥にビックラットが1匹のなんと前回の10倍の規模である。

 出現する魔物(モンスター)は初級ダンジョンの面々にラットが追加されただけだが、このラットがなかなかの曲者である。

 まずデカい、犬くらいの大きさがある、これで普通らしいのだがじゃあボスのビックラットはどれだけデカいのだろうか。

 そして攻撃方法がひっかくか噛みつきの二択だが前足の爪に毒があり、食らえば眩暈と嘔吐感でまともに動けなくなる。噛みつく方にいたっては歯の硬さと咬合力が相まって人の腕くらいは簡単に噛み切れるとの事。


「一気に敵強くなりすぎじゃない?」

「これくらいが普通かと、あとクモは毒針を使ってきますしコウモリも暗い所だと上から落ちてきて吸血をしてきますのでご注意ください」


 えぇ、こわ……と思ったがよくよく考えればあの洞窟の簡単さの方が異常だった訳だし、なによりもっと強い敵と戦っている。そう考えれば妥当な強さなのだろう。

 それと、ラットからは戦利品(ドロップアイテム)に時々1㎝ほどの小さな魔石が出る。

 魔石は様々な魔道具(マジックアイテム)の動力源に使われる電池みたいなもので常に需要がある。

 この大きさならそこまでの金額にはならないが、この魔石が出るか出ないかで戦利品の売値が倍以上変わってくるので冒険者になりたての若者はこぞってネズミ狩りを行う、そういう者たちを猫と呼ぶとか呼ばないとか。

 とまあ俺とアリスもネズミ狩りをやるべき若者だろうが、俺達はヒュージスライム金という降ってわいたお金があるのでそこまで逼迫した状況ではない。が、お金はあって困るものでもないしネズミは見つけ次第狩っていこう。

 そうやって下級ダンジョンを1日かけて攻略した、ネズミやクモの毒を注意すれば初級ダンジョンとほぼ変わらない感じだったしボスのビックラットも熊くらいのデカさ以外は外のネズミと大差ない。

 というか殆どアリスが狩ってしまってやることが無かった、装備の薄さで俺が心配しているのを思って戦闘スタイルを見せてくれたんだろう、前はまともな戦闘はなかったしヒュージスライム戦はチート使っていたのでちゃんと見た事なかったからな。

 敵の攻撃を紙一重で避け続けるアリスはまるで踊っている様で凄いの一言に尽きる。確かにあれなら下手な防具は邪魔にしかならないだろう。

 ビックラットを倒したらビー玉サイズの魔石を手に入れた、これで一週間分の宿泊費はあるそうだ。魔石の金策効率よすぎないか?

 ボス部屋の魔法陣から出ると太陽が真上にあった、おや?入っていた時間的に夕方か夜になっているはずだが……。


「それはですね、ダンジョンの中は時の流れが違うらしいのです」

「時の流れ?」

「はい、ダンジョンの中は時の流れが早く、何日潜ってても出たら1日も経たないのです」

「吟遊詩人の歌にダンジョンに入った若者が5日後に老人になって出てきたというモノもあります」


 某漫画の修行部屋かよ、まあ長期間潜っていなければそこまで気にならないか?

 冒険者は短命という事も聞いたことあるがまさかそういう理由の短命だったとは思わなかった。

 そうしてギルドで依頼を貰い、ヒュージスライムの話と勧誘のお断りをしつつ下級ダンジョンに潜る事を1週間程繰り返していたら、エリちゃんに呼び出された。


「急に呼び出して何か用ですか?」

「うん、君たちの貸しを返して貰いたくてね」

「うっ……」


 確かにあの時にそう言われたがまさかこんなに早く来るとは。

 一体何をやらされるのだろうか。


「これは教会からの極秘依頼なんだ」

「教会?って言うとあの孤児院のあるあそこか」

「そうだね。その教会からある人物の護衛を頼まれたんだけど、その人物が君達を指名してね」

「一体どなたでしょう?」

「聖女さ」


 エリちゃんの一言に俺の思考が混乱する。もう一回言って欲しい。


「先日誕生したばかりの聖女様からのご指名さ」


 いややっぱ言われてもわかんねえや。

基礎壁コンボがちゃんと拾えない

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