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182 作戦会議

ミュージックの日なので初投稿です

 階段を下りて行った冒険者達に白ワンピをまだ倒していないと伝える為に向かおうとしたらサイさんに止められた。


「殿ご苦労だった。ゆっくり休んでくれ。階層主(エリアボス)はどうなった?」

浄化(ピュリフィケーション)をぶつけたら消えたが戦利品(ドロップアイテム)は確認できていない。多分だが逃げたのだと思う」

「ふむ、だとすればさっきのパーティが危険だな、君たちはここで待機だ」

「俺達も捜索に行っても構わないが」

階層主(エリアボス)との戦闘が一番長かったのは君達だ。気付いていない疲労は最も危険な時に襲い掛かってくる。私達に任せてくれ」

「そういう事なら、わかった」

「うむ。さっきのパーティを連れ戻しに行く!神官の中に浄化(ピュリフィケーション)が使える者は付いて来てくれ!」


 サイさんの声に数名の声が上がり、3パーティが再び階段を下りて行った。辺りを見回せば広場の中央に火が焚かれており、冒険者が各々次の準備をしていた。


「時間的に昼過ぎくらいか」

「この後はどうするんだい?」

「多分さっきのパーティを連れ戻して作戦会議だろう。2階層の探索が今日のメインだと思っていたがあの白ワンピが厄介すぎる」


 サイさんも階層主(エリアボス)と言っていた。あの強さなので徘徊型の階層主(エリアボス)と仮定したのだろう。そうなれば先にあの白ワンピをどうにかしないとパーティを分散させての探索が出来ない。


「帰ってきたら作戦会議だろう。それまで休憩しよう」


 階層(エリア)を繋ぐ階段は何故か魔物(モンスター)が出ないので迷宮(ダンジョン)内で安全に休憩する場合は階段に留まる事が多い。広すぎる迷宮(ダンジョン)だと階段近くに村が出来ている事もあるらしい。

 昼飯の準備を始めると休憩していたパーティたちが集まってきた。


「さっきは助かった。ありがとう」

「あんたたちは確か……」


 白ワンピに心臓を抜かれた連中だ。クレアの蘇生術(リザレクション)で生き返ったが、真聖術でも奥義とされる術であり使える神官は少ない。そもそも使える神官は迷宮(ダンジョン)に潜らずに教会に居る事が殆どだ。なので冒険者は死んだ仲間を連れて帰って教会に持って行かなくてはいけない。だがそもそも死んだ仲間を連れて行かない事の方が多い。リスクが多すぎるからだ。動かない人間というのは想像よりはるかに運びにくいし魔物(モンスター)にも襲われやすくなる。

 大荷物を抱えたうえで欠けたパーティの撤退は難易度が格段に跳ね上がる。仮に帰還出来たとして今度は高額な寄付金という名の使用料金が請求されるし損傷した死体では成功率も著しく下がる。


「まさか蘇生術(リザレクション)を使える術者がいると思わなかった。これは謝礼金だ」

「あの場ではそうするのが一番良いと判断したからそうしたまでだ。金欲しさにやった訳じゃあない」


 金貨が詰まった革袋を渡してくる冒険者達。蘇生術(リザレクション)は確かに真聖術の奥義だが『親愛の絆(チートスキル)』を発動させたクレアなら余裕だ。


「そういう訳にもいかん。旅団(レイド)を組んでいる以上オレ達はパーティの一員だ。だからと言って高額な支払いが必要な行為に対して対価を支払わないような奴をパーティに入れておくなど信頼に関わる」

「信頼か、そういう事なら受け取っておこう」


 信頼の重要性を分かっているとは流石上級クラスと言ったところか。革袋を受け取り半分取り出して革袋を返す。


「釣銭だ」

「……かたじけない」


 そうこうしている間にサイさんの率いるパーティが帰還したようだ。取り乱して走って行った神官も羽交い絞めにされて帰ってきた。死体は増えていないようだが彼女の思い人は見つかっていないようだ。


「さて。全員集まったな。これより作戦会議を開始する。最初の題目は階層主(エリアボス)、仮称白ドレスについてだ。戦っている中で奴に気が付いたことは無いか」

「じゃあ俺達からいくつか」

「《迅雷》か、君たちはこの中で一番アレと戦っているな」

「あぁ、まずヤツは物理が効きにくい。その代わりに魔術が効きやすくて、一番効果があったのは浄化(ピュリフィケーション)だった。この事からヤツは精霊(スピリット)系の魔物(モンスター)、それも幽霊(ゴースト)の類だと思われる」


 俺の報告にざわつく冒険者達。確かに幽霊(ゴースト)はしっかり対策をしている幽霊(ゴースト)専門家の冒険者が居ないと難しい敵だ。一度撤退して募集をかけるべきかもしれない。


「一度の戦闘でそこまでよく調べてくれた。他に何か分かった事のある者はいないか」

「提案があります!」


 勢い良く手を挙げた者がいる。例の神官だ。


「アレックス……いえ、死亡した冒険者の死体を回収したいのですが」

「私個人としては許可したいところだが残念ながら却下だ。危険すぎる」

「そんな!浄化(ピュリフィケーション)でアイツは退けることは可能なのでしょう?!なら対処しながら階層(エリア)の探索は可能のはずです!」

浄化(ピュリフィケーション)を使える者が少なすぎる。もっと人を集めるべきだ。少なくとも今回はこれで撤退し、幽霊(ゴースト)専門の冒険者を集める必要がある」

「それでは彼が魔物(モンスター)化してしまいます!」

「その彼一人の為にここにいる全員を危険に晒すことになるのが分からんのか」


 静かだが圧を感じる声に一瞬押されるが再び主張を始める神官。彼女のパーティも若干引き気味だ。


「提案がある」

「なんだ、言ってみてくれ」

「彼女の言う冒険者の探索、今回は有志を募るのはどうだろう」

素直に最高って言えねえよう

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