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180 上級の常識

サンゴの日なので初投稿です

 転換(コンバート)前と変わらない道を歩いて進む。前回はビックバットしか見ていないが人が多いせいか魔物(モンスター)が寄ってきている。


「スカルスパイダーは初めて会うな」

「スパイダー系の魔物(モンスター)は上級に行くと糸を使った攻撃を仕掛けてくる。無理に近付かない事だね」

「ならコレだな」


 ソフィーのアドバイスに従い壁や天井に張り付いているクモに向かって投擲釘(スローネイル)を投げつける。飛ばした釘はスカルスパイダーに直撃して息の根を止めていく。


「む?」


 一発外した、一番遠いから回避が間に合ったのか。クモはその大きなボディからは想像できない速度で近付いてくると天井から俺に向かってとびかかってきた。


「ワタシにお任せ下さい」

「アリス頼んだ」


 空中で身動きの出来ないクモに対してアリスのダガーが切り刻む。俺の手元に飛び込んできたのは倒されたクモの戦利品(ドロップアイテム)だけだった。


「相変わらずいい腕だ」

「ありがとうございます」


 アリスを褒めていると後ろから声が聞こえる。そういや急いでいるんだった。


「今のもしかしてクイックスパイダーか?」

「足の速さと毒糸で攻撃してくる厄介な魔物(モンスター)だ」

上級迷宮(ハイクラスダンジョン)でも1,2を争うスパイダー系の魔物(モンスター)をあんな簡単に」

「『迅雷』……最近何かと話題になるパーティだがどうやら噂だけではないようだな」


 ここら辺の魔物(モンスター)なんて他の上級クラスの冒険者にとってはよく見る雑魚なのだろう。

 さっさと2層に向かって全員で探索出来るようにしよう。


階層主(エリアボス)まであと少しです」

「それはいいのだが、交代しなくて大丈夫か?」

「問題ない。1層までは俺達が案内する作戦だろう?」

「う、うむ。だが戦闘も起きたのだから交代してもいいのだぞ」

「この程度なら大丈夫だ。本当に必要ならちゃんと進言する」

「ならいい、引き続き頼む」

「わかった」


 心配しているサイさんにお礼を言って先に進む。階層主(エリアボス)のいる大部屋まで来るとジャイアントバットが逆さ釣りで寝ていた。


「ついたぞ、階層主(エリアボス)はアレだ」

「ジャイアントバットか……厄介だな。遠距離攻撃が出来るのもは集まってくれ、眠っている隙に一気に叩く」


 各パーティの魔術師や弓士が集まり、攻撃の準備をする。ソフィーは『疾風斬(ウィンドスラッシュ)』を撃つようだ。


「俺も手伝おう」


 他の魔術師がどの程度の魔術を撃つか分からい。とりあえず使い慣れている『瞬間爆破(ソニックボム)』でいいだろう。


「あいつ、戦士じゃないのか?」

「しかしあの投擲技術、山伏(レンジャー)なのかも」

「とはいえ弓矢ならともかくあの距離では届かないぞ」


 魔術師たちが準備を終えて待機する。後はリーダーであるサイさんの指示を待つ。


「準備は出来たな……攻撃開始!」


 魔術師たちが次々を魔術を放つ。『火球(ファイアボール)』が2つに『水撃(ウォータースプラッシュ)』と『石礫(ストーンブラスト)』が1つ。中級魔術はソフィーの『疾風斬(ウィンドスラッシュ)』だけか。

 下級魔術が直撃しているが落ちてくる様子は無さそうだ。弓士の矢も届いてはいるが有効打になっている様子は見られない。


「流石に上級の魔物(モンスター)、硬いな」

「今の『疾風斬(ウィンドスラッシュ)』は誰だ?」

「ここでそんな大技使ったら後が持たんぞ」

「だがおかげで落ちてきた」


 ソフィーが『疾風斬(ウィンドスラッシュ)』を足に直撃させ、ジャイアントバットが態勢を崩す。立て直す前に『瞬間爆破(ソニックボム)』を追撃させて地面に叩き落とした。


「なんだ今のは?!」

「急に爆発した……まさか『業火爆砕(エクスプロージョン)』か?!」

「バカな、そんな大魔術一体誰が……」

「全員落ち着け!ジャイアントバットが落ちた事には変わりない!近接は今の内に叩け!」


 爆発が俺の想定より大きい?使い慣れた『瞬間爆破(ソニックボム)』で加減を間違えるなんて。

 爆発で思わぬ混乱が起きたがサイさんの一声で収まり、階層主(エリアボス)を全員でボコる。しばらくしてジャイアントバットが光に溶けて戦利品(ドロップアイテム)が現れた。


「ふむ、羽根と爪、それに核心(コア)が落ちたな。後で換金して全員に分配しよう」


 サイさんが回収して宣言する。階層主(エリアボス)戦利品(ドロップアイテム)は全部換金して平等に配るのが通例らしい。まあ特に使えそうな素材でもないし問題ないな。


「奥の扉が開いたぞ!」


 どうやら2層への扉が開いたようだ。ここからは俺達も初見の階層(エリア)になる。気を引き締めていくか。

 階段を下りて2層に着くと様子が一変する。洞窟の暗さとは違う夜の様な闇、上を見れば星のように輝く何かが天井に張り付いている。まるで夜空だ。上を見上げれば綺麗とまで思えるが、地面はそうでもない。


魔物(モンスター)の骨……か?」


 何かの骨が小池に浮かび、小池の色も全体的に紫色に見える。さらには薄っすらと霧が掛かっていて視界も悪い。あちこちに突き立てられている棒状の石は墓標なのだろうか。


「昔ながらのホラーみたいな舞台だな」


 その時、人とは思えない甲高い悲鳴のような声が聞こえる。全員が振り返ると白いワンピースを着た髪の長い女が立っていた。明らかな異常事態に全員が固まる。


『キャアアアアアアアア!!!!』


 現れた女の近くに居た冒険者が押し倒された。え、でか2m半位ないか?そのまま女は左手を冒険者に突き立てて心臓をえぐり出した。はい?


「敵襲!全員構えろ!」


 サイさんが号令をかける。いやこれ戦ったらヤバい奴だろ。

お前がこれから行くのは迷宮ではない、病院だ!(ギュ)

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