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172 厄介ごとの終わりに

あけまして初投稿です

 俺の意識が無い時に限ってピンクな出来事が起きている気がする。どこぞのおじさんみたいに記憶を再生する魔術でも学ぼうかな……。

 そう考えている間に荷物を片付けてサラマンディアの元に向かうために歩き出す。凍り付かせた隔壁は反対側が爆発の影響で変形してしまい、別ルートを行く必要があった。


「俺はどのくらい寝ていたんだ?」

「一時間程かと」

「その間にサラマンディアはどうなった?」

竜人(ドラゴニュート)の彼曰く沈黙しているようだ」

迷宮(ダンジョン)の気温も若干だけど下がり始めているって話よ」


 あの爆発で魔素(マナ)が馴染んできたのだろうか。暴走が止まればこの騒動も収まる。そうなれば明日気持ちよく帰れるという訳だ。


「この通路を右に曲がればメイン通路に戻る訳だが……」

「ひどいねこれは」


 爆風で隔壁が破られたのか無数の傷跡と熱波が漂っていた。余程のエネルギーだったようだ。放射線とか大丈夫だよな?

 このまま歩けば靴が一瞬で焼けそうだったので『氷嵐(アイスストーム)』で保護しながら進む。サラマンディアが居る部屋まで辿り着くと、部屋全体が溶岩で出来ているのではないかというくらいに全体が真っ赤に熱せられている。これ本当に入って大丈夫か?


「ご主人様、部屋の中央です」

「場所は変らずか」

「おーい!全員無事か?」

「アンフィス生きていたか」

「制御室の防御力は伊達じゃあらへんで。それよりもサラマンディア様はどうなっとる?部屋のモン全部逝かれてもうたから直接様子をみにきたんや」


 部屋の様子を見せるとアンフィスは迷わず飛び込んでいった。呼び止めようとするが特に苦しんでいる様子もない。


「そういや最初に会った時も溶岩に潜ってたな」

「とはいえボク達が入ったらクッキーみたいに焼けてしまうよ」


 流石は竜人(ドラゴニュート)と言うところか。『氷嵐(アイスストーム)』を全員が入れる程度に小さくして強度を上げて侵入する。


「様子はどうだ?」

「どうやら眠っているみたいや。ウルガン様の魔素(マナ)も全部サラマンディア様に馴染んどる」

「という事は、成功したのか」

「あぁ、これならもう暴走する事もないやろ」


 一件落着か。ここから更に新形態で戦う事になったら流石に厳しかったが、杞憂に終わったらしい。アンフィスにここは任せて俺達は迷宮(ダンジョン)を出ることにした。


「この風呂ともお別れか、イースガルドに戻ればまともに風呂に入れないからなあ」


 イースガルドの入浴施設は基本蒸し風呂なのでお湯に浸かる行為が出来ないのだ。


「いっその事、ここを拠点にするのもいいよなあ。風呂に入れるのはデカい」

「でしたら、家をご購入するのは如何でしょう」


 隣からアリスの声が聞こえた。この時間帯は男性専用になっているはずなのだがお構いなく入ってくる。


「家、かあ。買うのに幾らいるんだろう」

「金貨千枚程でしょうか、今までの迷宮(ダンジョン)の素材を売れば余裕で届く金額でございます」

「う~ん、家を買うならイースガルドがいいなあ」


 ファンタジー中世のこの世界だと大都市に住むのが一番いい、流通網が未発達なこの世界では少し地方に行くだけで文化レベルが段違いに変わる。イースガルドで住んでいる宿屋は水洗式だったがここのトイレは汲み取り式だ。


「それに、家を買うのには市民権が必要だし。市民権を持ってない根無し草の冒険者には家は過ぎた物だよなあ」


 とは言えここに来てから分かったのは、イースガルドの宿屋は隣の生活音が筒抜けという事だ。宿屋のグレードを上げる事も可能だが、そのためだけに上げるのはコスパが悪すぎる。


「ご主人様は、なぜ市民権をご購入なさらないのですか」

「なんでだっけ……」


 確かヒュージスライムを倒した報酬が市民権を買ったうえで1年は遊んで暮らせる金額があったが、自堕落な生活をしない為にも買わずにいたんだっけ。


「買ってもよろしいのではないですか?」

「そうかも……」


 確かに市民権を得れば出来ることはもっと広がる。家を買う事もそうだがイースガルドで職に就くことも出来るし、更に金を出せば店を出すことも出来る。


「冒険者でも家をお持ちの方は沢山いらっしゃいます。それにあの宿屋は少々手狭になってきました」


 あの部屋はアリスと二人きりの時から借りている場所でベッドは2つしかない。4人(と1匹)では狭いのは確かだ。コスパが悪いとか言っている場合じゃないな。


「家を買うかは置いといて、部屋は広くするか」

「それがよろしいかと」

「ところでさ」

「なんでしょう?」

「近くない?」

「そうでしょうか?」


 10人は余裕で入れそうな湯舟でアリスは俺の足の間に座って俺の身体に背中を預けている。


「絶対近いよ」

「まあ、ワタシとご主人様の間ですし」


 アリスは身体を反転させてこちらに向き直る。


「ご主人様、なぜあの時ワタシを見たのですか」


 あの時とは、『親愛の絆』(チートスキル)を使った時か。


「あの場面では魔術が強化されるソフィー様と行うのが一番いいとワタシも理解しています」

「理解していても嫌な事はあるだろ」

「……クレアちゃん様やソフィー様も大切な仲間で大好きなお友達です」

「なら、こういうのはどうだろう」

「え?きゃっ」


 アリスを抱きしめる。


「アリス以外と『親愛の絆』(チートスキル)を使ったらこうやって一日の最後にアリスを抱きしめるというのは」

「……とても良いと思いますが」

「なんだ?」

「接吻も付け加えるのはどうでしょう?」

「いいアイデアだ」


なろう初め

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