表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/303

171 冷えた心

メリークリスマス、初投稿です

≪サラマンディア様の爆発が収まったで≫


 スピーカーからノイズ混じりの声が届く。そうか、脅威は去ったのだな。


≪それにしても爆風が通った所が滅茶苦茶や。そこの隔壁も溶けて変形したのか動かなくなってしもてん。すまんが別ルート探すまで少し待っててや≫


 あぁ、少し休んだらすぐに……。


 ◇


 アンフィス様の声が再び何処からか聞こえてきます。どうやら赤竜様の爆発が収まったようです。あのような危機も慌てることなく対処しまわれるなんて、流石はご主人様です。

 ふと、ご主人様とソフィー様の『親愛の絆』の繋がりが消えるのを感じました。最近ご主人様はソフィー様と『親愛の絆』を使われております。魔術を行使する以上、より魔術が強化されるソフィー様と繋がる事が最良なのだと分かってはいます。


「ご主人様、流石です」

「ユート!」


 後ろからソフィー様がご主人様に駆け寄ります。同時にご主人様の身体が倒れこみます。


「ユート!一体どうしたのよ!?」

「多分強化された氷系魔術を至近距離で使いすぎたんだ、この部屋も凍り付くような魔術を使用したんだ。彼は魔術に自身の保護を組み込むのを忘れる癖があるからな」

「ご主人……様?」


 ご主人様が倒れるまで、ワタシはその異常に気付けないでいました。一番近くに居たのに。誰よりもご主人様を分かっているのに。ソフィー様の方がソレに気が付いた。


「つめた、身体凍っているんじゃないの?!」

「クレア、回復術(ヒール)を。ボク回復は専門外なんだ」

「やってみる」


 クレアちゃん様の暖かな光がご主人様を包みます。


「ダメ、回復魔術(ヒール)じゃ体温は回復しない」

「では浄化(ピュリフィケーション)はどうだ?」

「あれは呪術(カース)や毒のみたいな身体に害のあるモノを取り除く術だから冷たいのは無理よ」

「なら兎に角温めよう。アンフィス!ボク達のいる場所が氷系魔術で凍り付いた。何とか出来ないだろうか」

≪凍り付いたあ?!この施設マグマから守るための耐熱と冷房設備は充実してるけど温めはあんまり無いで≫

「なんでもいいから!とにかく温めてくれ!」

≪とりあえず暖房をつけるわ。あと消火設備もオフにしたから火を使っても大丈夫や!≫

「分かった、全員薪を出してくれ」


 ご主人様はピクリとも動きません。そのお身体はまるでワタシを育ててくれたマザーの様に白くなっていました。


「……リス、アリス!」

「ッ?!ソフィー様」

「アリス、頬置けている場合じゃないよ。君のご主人様は今にも死にそうなんだ」

「そ、そうです!一体どうしたら……」

「落ち着きたまえ、まずは薪を出してくれ、ユートを火で囲って温める」

「わ、分かりました」


 全員の道具箱(アイテムボックス)から薪を取り出します。これは万が一の時に全員が持っていた方がいいだろうとご主人様が提案したものでした。

 燃え上がった焚火の前にご主人様を連れて行き座らせます、氷の様に冷たく、このまま温めたら溶けてしまうのではないかと心配になります。


「不味いな……指先が紫色に変色しかけている。このままじゃあ指先が取れるぞ」

「でも火にこれ以上近付けたら焼けちゃうわよ」

「いっそのこと焼きながら回復術(ヒール)をかけ続ければ暖は取れるんじゃないか?」

「怖い事言わないでよ!」

「冗談だよ、とはいえこれ以上温めるとなると何か方法は無いモノか」

「極寒の中で温める方法……あ」

「どうしたんだい?」

「昔読んだことあるのよ。雪山で遭難した男女が身体を温めるシーンが」

「君の愛読しているのは確か恋愛小説だったね、ボクはあまり読まない書物だけど一体どんなものなんだい?」

「あの……男女が……する……」

「すまないがもう少し大きな声で言ってくれないか?」

「だから……ね?こう……男女がお互いの身体を温める為に……ね?!」

「具体的な方法は書いてなかったのかい?」

「ぐたっ……言わなきゃダメ?」

「ダメも何も教えてくれなきゃ実行できないだろう?」

「それはそうなんだけど!」

「何を恥ずかしがっているか分からないけど、ユートの命が掛かっているんだ」

「~~~ッ!男女が!裸で!温めあうのよ!」

「裸で?そんなことしても外気温で体温を奪われるだけだが……いやテントもあるし寝袋もある、外気を遮断する術はあるし焚火で一方向から温めるよりも全員で囲んだ方が効率はいいか……?」

「やりましょう」

「アリス?」

「その方法ならご主人様が助かるんですよね」

「このまま火で温めるよりは可能性はある」

「ではやらない手はありません」

「ふむ、ではそれでいこう」

「ほ、本当にやるのね?」


 ワタシはソフィー様に比べたら学はありませんし、クレアちゃん様の様に聖女でもございません。ならばご主人様への愛だけは負けたくはございません。


「ではテントを建てよう、アリスは何か簡単な食事を用意してくれ。温かい物を食べた方が身体が温まって効率がいいだろう」


 ◇


 目が覚めるとテントの天井が見えた。確か爆風で隔壁が熔解しない様に『氷嵐(アイスストーム)』を最大出力でぶっぱして……それからの記憶がない。


「というかこの感覚、もしかして俺裸?」


 何故?と寝袋を覗くと全員が裸で同衾していた。本当にこの状況なに?!


新干支いい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ