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165 眷属誕生の儀式

魚雷の日なので初投稿です

≪その部屋、ウルガン様が居るだけで水が降ってくるから普段は止めてるんや≫


 何処からアンフィスの声が聞こえる。天井にでもスピーカーがあるのだろう。言い方から察するに消火設備を起動させに向かっていたらしい。


「助かった。だが次はもっと急ぎで頼む」


 ほなそっちに行くでと言ってブツと放送が切れるおとがする。


「むう、アンフィスめ水を差しよって……まあよい。強者よ、血沸き肉燃ゆる良き闘争であった」

「そいつはどうも」


 かなりギリギリの戦いであった。アンフィスは時間稼ぎとは言っていたが、あと少し遅れていたら全員火葬されていた。


「さて、強者たちの望みはなんであったか」

「ウルガン様の素材ですよ」


 いつの間にかアンフィスが居る。さっきより戻ってくるのが速い。後ろには長身の女性がたたずんでいる。彼女がサラマンディアなのだろうか……どこかで見たことあるような?


「む、そうか我が力の一部だったか……ふんっ!」


 おもむろに頭の立派な角を掴むとへし折った。偽赤竜(バイネイン)もそうだったが割と力業で解決する傾向があるが赤竜の血筋なのだろう。


「そんなことして大丈夫でしょうか」

「小さき強者よ、心配するでない。我が肉体は燃え盛る炎、この程度どうなることも無い」


 角の部分をよく見れば噴き出しているのは血ではなく炎だ。さっき足を斬った時は血だったのに、第二形態になると変わるのだろうか。


「アンフィスよ、サラマンディアを連れてきたか?」

「はい、お嬢様こちらへ」


 アンフィスに促され女性が前に出る。


「……初めまして冒険者の方々。私が赤竜ウルガンの娘、サラマンディアです。この度は私の眷属のためにお手伝い頂き、誠に感謝します」

「万里結人だ。なに、赤竜の素材が手に入るんだ。むしろ感謝したいくらいだ」

「お気遣いいただきありがとうございます」


 会話をしているとソフィーがサラマンディアの顔をジロジロと感圧している。コラ、失礼だろ。


「あの、なにか……?」

「君、資料館で受付嬢をしていたね」

「な、なんの事でしょう……私はここにずっといるので」

「これでもボクは貴族でね。昔は人を覚える練習をさせられたから人の顔を覚えるのはそこそこ得意なんだ」


 言われて思い出す、受付に座っていた女性が確かにこんな顔していた。とは言え今はアンフィスの様な竜人(ドラゴニュート)の姿をしているので分からなかった。しかし本人はウルガンをチラチラみながらしどろもどろと否定している。


「どうした強者よ?」

「それが……モガ」

「いや、なんでもない。彼女と竜人(ドラゴニュート)を生み出す儀式を執り行えばいいのか?」


 ソフィーの口を塞ぎ話を進める。本人が知られたくないようだし、それで話が長くなるのは勘弁願いたい。全身焦げ臭くて早く風呂に浸かりたいのだ。


「そうだ、早速やってもらおう」


 サラマンディアを中心に俺達4人が四方に立つ。足元に魔術陣(マジックサーキット)が現れ、サラマンディアが歌を歌うように何か喋っている。これはシルフィードの時も歌っていたな。メロディーラインが違うのでこれでウルガンが消えることは無いと思いたい。

 ちらりとウルガンを見ても特に透けている様子は無い。すると魔力(オド)が吸われ始めた。前を見ればサラマンディアに俺達の魔力(オド)が集まってい行くのが分かる。同時にサラマンディアも魔力(オド)が相当吸われているのか顔に汗がにじんでいる。


「―――――……」


 儀式が佳境に入ったのか魔力(オド)の吸われ方が大分収まってきた、集まった5人分の魔力(オド)はサラマンディアの腕に光輝いて収まっている。光が収まると彼女の腕には一抱えの大きな卵があった。


「儀式、終わりました」

「ふむ、出来たようだな。疲れたであろう、部屋で休んでいなさい」

「はい、皆様もありがとうございました」


 挨拶もそこそこに部屋から出ていくサラマンディア、俺達は魔力(オド)を吸われただけで特に何もしていない。


「強者よ、よく力を貸してくれた。感謝する」

「まあ貰うものは貰ったしな、半分だけだが」

「では残りの半分も渡そう、アンフィスよ」

「はいよウルガン様、みんなこっちやで」


 アンフィスに先導されながら部屋を出る。案内された場所は霞んで見えないほどの底と天井に無限に並ぶ棚。風切りの洞穴でも見た古代文明の倉庫だ。


『ご用件は何でしょうか』

「これ毎回なんて言ってるのか分からへんのだよな」

「ユート、なんて言ってるんだい?」

「用事はなんだって言ってる」

「この言葉分かるんか?!」

「少し事情があってな」

「はあー、てっきり挨拶かとおもて挨拶し返してたわ」


 そういえばこの場所が倉庫と分からなくてゴミ捨ててたんだっけ。倉庫のシステムに火属性の魔鉄を注文すると同時にそのゴミをどうしているのか聞いてみる。


『登録者アンディが投棄した排泄物は循環システムに移動させております』

「循環システム?」

『限られた資源を無駄にしないために汚水は浄化され、飲料水を含む上水に循環させています』


 あー……。


「なんて言ってるんや」

「クソはトイレでしろってさ」


 じゃああのスプリンクラーの水も……いや、これ以上考えるのはよそう。そういえば風切りの洞穴には魔金剛(オリハルコン)は無かったな。ここにはあるのだろうか。


魔金剛(オリハルコン)はあるか?」

『検索中……№202211051533に在庫が一つあります。出庫しますか?』


 あった。


古戦場お疲れ様でした

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