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159  素直な気持ち

10円カレーの日なので初投稿です

 床に座る俺と立ち上がって腕組をしながら見下ろすクレア、少し前にも見た光景だ。


「なんで怒っているか分かってる?」

「さっぱり」


 怒りの原因クイズは、間違えるたびに怒りのボルテージが上がっていく魔のゲームなので、さっさと降参するに限る。


「アリスの事よ」

「……」

「アリスの気持ち分かっているのでしょう?なんで応えてあげなかったのよ」

「その感情はアリスが決めることで俺が決める事じゃない」

「あたしたちの願いは叶えるのがあんたのポリシーじゃなかったの?」

「願い事はそうだ。だが、その願いの内容まで俺が決めたらアリスという人物は俺の操り人形となる。それだけは絶対にダメだ」

「じゃあなに?あんたの元から離れたいって言ったらあんたは手放すの?」

「それが君たちの望みな……」


 思いっきり引っ叩かれた。


「なめんじゃないわよ!あたしたちがどんな覚悟かあんた分ってないじゃない!」

「クレア……」

「あたしも、アリスも、ソフィーだって!今までのモノ全部捨てて、あんたに付いて行くって決めたのよ!」


 確かに、俺に関わらなければクレアは教国で聖女として生きていただろう。ソフィーも家族の関係はいずれ良くなっていて貴族としての人生を過ごしていたかもしれない。アリスは村の孤児院で猟師をしていたらしいが、あの剣の腕前だ、孤児院の仲間たちと冒険者になっていただろう。それを投げうって付いて来てくれた。


「それは……」

「あんたが好きだからに決まってるじゃない!」


 『親愛の絆(チートスキル)』の条件の一つに一定数以上の親交が必要と明記されている。だから少なくとも嫌われてはいないと思っていた。


「ボクもさ、打算も無かったわけじゃないけど、一番の理由は愛する人と一緒に居たいと思ったからだよ」


 そもそも、元の世界では異性に好意を向けられたことは一度とて無い人生だった。好きと愛してるとささやくのはいつだって画面の向こうに居るヒロイン達で、それも俺に言っているのではなく、画面の中の主人公にだ。俺は視覚を共有してるに過ぎない。


「ご主人様、ワタシはクレアちゃん様やソフィー様とお話して分かった事がございます」


 アリスが俺の目の前に来る。綺麗な碧眼の瞳で真っすぐ俺を見つめ、綺麗な唇が開く。


「ワタシ、アリス・キャロルは、ご主人様の事を愛しています」


 だからこそ、真正面からここまで好意をぶつけられるのは初めての経験だ。


「俺なんかで、いいのか……」

「ご主人様だからいいのです」

「他の誰かなんてごめんよ」

「死が四人を分かつまで……いや、死んでも一緒だ」


 そうか、俺はこんなにも愛されていたのか……。


 ◇


 感情がハチャメチャにされながらもこれからはどうするか決めなければ。


「とりあえず、どうすればいいと思う?」

「あんたも自分の気持ちに素直になればいいんじゃないの?」

「素直に?」

「君、ボク達に対して遠慮してただろ」


 遠慮、してたかな。


「ご主人様は今までワタシ達に対して何も要求してきませんでしたから」

「そうか?結構してたと思うけど」

「あんたがあたし達に要求するとか戦闘での指示くらいじゃない」


 そう……なのか。素直……素直か。素直に、己の感情に真っすぐに。


「アリス」

「はい、なんでしょうご主人様」


 目の前に居たアリスの頬に手を添える。柔らかくきめ細かな肌だ。アリスは俺の手に自分の手を重ねるように握る、その姿に愛おしさを感じる。気が付けば自分の唇をアリスの唇と重ねていた。


「ん……」

「んな?!」

「わーお」


 アリスが身を引いて唇を話そうとする、嫌だ離れたくない。


「っぷは、ご主んむ……」


 もっと欲しい、もっとアリスが、もっともっともっと。


「んちゅ……ごしゅ……はげし……ん、あっ……はい……もっとですね……♡」


 もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと。


「いや、ちょっとなんかおかしくない?」

「ふむ、もしかしたら何か魔術にかかっているのかも」


 後ろからクレアとソフィーの声がする、あの二人も欲しい。欲しい欲しい欲しい欲しい。


「え、ちょっと、待ちさな……きゃあ!」

「クレア……」

「顔が近い、え、待って心の準備……んむ!」


 欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい。


「~~~~~~~~~っ!」

「これは、なかなかどうして」


 もう一人、俺の女だ。


「おっとボクの番かい、やさしく頼むよ……♡」


 ◇


 翌朝、目を覚ますと全員雑魚寝していた。


「うーん……なんも思い出せん、というか頭いった」


 二日酔いに近い頭痛だ、だが酒飲んだ記憶は無い。最後の記憶はクレアに正座させられた位だ。あの後何か話した気がするけど、なんだったか。


「ご主人様、おはようございます……」

「アリス、おはよ……!」


 アリスの身体から掛け布団がずり落ちるとアリスの綺麗な柔肌が見えた。風呂場で毎日見ているがそれは裸でいるのが普通の場所であってそれ以外で見るのは違う気がする。

 まて、この感覚、俺も服着てないんじゃないか?下を見る。服着てないどころか肌着も着けていない。


「さ、さて!今日は迷宮(ダンジョン)攻略だ皆いつまでも寝ていないで支度しようか」

「ですが、昨日は皆様大分お疲れになられたご様子、もう少し後からでもよいのではないでしょうか?」


 クレアやソフィーを見る、起きる気配も無くすやすやだし、見えている範囲では衣服を着ている様子もない。


「本当に昨日何があった……!」


あぺいかがんえぼ

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