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158 悩み事

モノレールの日なので初投稿です

「ん……ちゅ……はむ……」


急なキスで思考が停止しかけるが、アリスは構わず小鳥が餌を啄む様に自分の唇を俺の唇と重ね合わせる。


「なあ、アリス、急に、どうした、んだい?」


途中途中言葉を物理的に止められながらもアリスに質問する。


「ん……はあ、やはりおかしいでしょうか?」

「いや、おかしい所は」


むしろ気持ちが良い。と口にするのは流石に気持ち悪いので言わないが。


「ワタシはご主人様のモノで、全て捧げたはずです……でもワタシの中にある何かがご主人様と他の方の接吻を見るたびにワタシを中から刺すのです」

「アリス……」

「きっと、ワタシの、アリスの中には悪魔が住んでいるのです。この行為もきっと悪魔による仕業です」

「なあアリス、その事はクレアやソフィーに言ったことあるか?」

「ございません。コレはワタシの問題ですので」

「そうか……じゃあ風呂から上がって二人に相談すると言い」

「それは……理由をうかがってもよろしいでしょうか」

「その問題は俺には解決出来ないからだ……ちがうな、アリス自身が解決しないといけないからだ」

「ですが、この悪魔はきっとお二人を傷つけてしまいます」

「あの二人なら大丈夫だよ。必ずアリスの手助けをしてくれる」


なにせあの二人にもその悪魔は住み着いているだろうしな。もちろん俺の中にも。


「アリスはあの二人を信じていないのか?」

「そんなことはございません。お二人はワタシのご友人です」

「なら二人を信じるんだ。大丈夫、あの二人なら必ず力になるはずだ」


アリスが少しの逡巡の後、俺の上から立ち上がる。その美しくも起伏の乏しい肢体から少量のお湯が流れ落ちる。


「ご主人様、お先に失礼させていただきます」

「あぁ、行っておいで」


ペタペタと足跡を付けながら更衣室に向かっていくアリス。それを見届けながら風呂にもう一度浸かりなおした。アリスのいう中に潜む悪魔というのは大体見当が付く。


「それをどうするかはアリス次第だが」


その後、一時間ほどお湯に浸かったり出たりして長湯をし、部屋前まで戻ると、三人の元気よさそうな声が聞こえたので、もう少し後にしよう。

散歩がてら町に出る。川沿いを歩いていると見知った顔を見つけた。


「よお兄ちゃん、こんなところで奇遇やなあ」

「アンフィス、お前は何してるんだ」

「決まっとる、温泉巡りや」


そういえば初めて会った時もそう言っていた気がする。


「兄ちゃんも……少しちゃうみたいやな」

「分かるのか」

「そりゃそんなににやけてたら誰でもわかりますがな」


指摘されて頬を触る。そんなににやけていただろうか。


「聞かせてや、よっぽどええ事があったんやろ」

「いいこと、かなあ」


ここ最近の話をするとアンフィスはずっとニヤニヤしていた。


「若いねえ、ワイも同じ歳には似たような悩みを持ってたなあ」

「似たような事?」

「ワイも人間で言うところの新婚の頃にやたらにアピールしてくる子がおってなあ、下手に期待させるのもアレやからちゃんと結婚してることも伝えたんや」

「ふうん、それでどうなったんだ?」

「来年に結婚したで」

「なんでや!」


あまりの急展開に突っ込んでしまった。


「いい寄られた年はもう発情期終わって子育てしてたし、しゃあないやん」

「何がしゃあないのかわからんが……先に結婚してた方の奥さんはどうしたんだ?」

「今でも仲良しやで、その子とも仲良くしてくれてるし」

「あー……一夫多妻なのか」


ライオンとかが確かそうだったな、元の世界でも一夫多妻制を認可している国もあったはずだ。だが大半は一夫一妻制だしこの世界でもそれが主流のはずだ。

異世界転生と言えばハーレム作るものが多い。実際俺もアリスだけではなくクレアやソフィーともいい関係を築けて行けたらいいとは思っている。思ってはいるが、今まで生きて築き上げ来た倫理観がお怒りだったりする。


「人間だってオスが複数のメスに手を出してるじゃないか」

「それは、まあ事実ではあるが、事情が特殊だな」


そういうお店とか。


「人間も上手く生きる為に掟を作っているのは知ってるで、ワイらもあるし。でも、それよりも大事なのは本人達の気持ちじゃないんか?」

「気持ち……」

「別にいい関係がいくつあろうと死ぬわけじゃああるまいし。掟に縛られて我慢するより自分の気持ちに素直になる方がよっぽどええ」

「さっきから思ってたんだけど、もしかしてアンフィスの所でも一夫多妻って掟的にダメなんじゃ」

「ダメやで」

「ダメじゃねえか!」


じゃあダメじゃねえか!何だったんだ今までの会話!


「正確に言うならワイだけが容認してもダメなだけで、家族全員が許可して初めて大丈夫になるんや」

「え、じゃあ奥さん許してくれたの?」

「一番目と二番目の嫁は許してくれたけど三番目の嫁が初子育て中でピリピリしとってな、それでその年はダメやったんや。子供が肉を食えるようになった頃に言うたら許してくれたで」

「奥さんめっちゃいる!」


アンフィスとの会話に疲れたので宿屋に戻ることにした。何しに外出したんだっけ。


「ただいま」

「おかえりなさいませ、ご主人様」

「おかえりユート、そこに座りなさい」

「え、あっはい」


クレアから凄い(プレッシャー)を感じる、前にもあったな。


「彼女、凄い怒ってるから覚悟しといた方がいいよ」

「えぇ、なんで?」

「それは君が良く知っているんじゃないかな」


心なしかソフィーさんも怒ってないですか?そう思いながらも神判を受ける為に()に着くのであった。


イカ

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