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157 散策

グミの日なので初投稿です

 翌朝、朝食を食べて町に繰り出すことにした。


「来てから殆ど迷宮(ダンジョン)だったしな、たまにはこういうのもいいだろ」

「というかなんで迷宮(ダンジョン)ばっかり行ってるのよ」

「そりゃあ一番楽しいからな」


 この世界において娯楽はかなり少ない。主流はテーブルゲームで今巷で流行しているのはバックギャモンと呼ばれるゲームだ。これは大雑把に言えば双六なのだが詳しいルールは割愛する。

 ゲームはなんでも楽しむ主義ではあるが、流石に一つのゲームを毎日プレイし続けるのは飽きが来る。


「何かゲームを開発するのもいいかもなあ」


 トランプとか作れたらいいのだけど、紙を作る知識も技術も持ち合わせていないから難しいだろう。確か植物の繊維から作るんだっけ?


「またなんか考えてるわよ」

「きっと面白い事だろうね」

「多分ろくでもない事よ」


 酷い評価を受けた気がするがまあいい。たまには迷宮(ダンジョン)攻略以外の楽しみを見つけることにしよう。


「という訳で案内よろしくなクレア」

「いいわよ。この町を隅々まで歩いたあたしに任せなさい」


 そんなこんなでクレアによる温泉街食べ歩きツアーが決まった。大通りの有名レストランから路地裏にひっそりと営業している小物売りまで様々な店を練り歩いた。


「さっきの宝石店は凄かったな」

「ここら辺では採れないモノばかりだったね」


 何だったのだろうかあの店は。最後にたどり着いたのは資料館だった。


「ここは前にも来たな」

「目的地はここだけど、目的は中に無いわ」


 資料館の裏手に回ると何かを焼いている屋台があった。こんなところに店があったのか。


「ここは何屋なんだ?」

「ベイクドモチョチョよ」

「……なんて?」

「ベイクドモチョチョよ。いろんなモノを小麦の皮で焼き包んだお菓子なのだけど色々種類があって面白いわよ」


 確かに何か焼いているようには見える。近付くとそれは鉄板ではなく何か型の様な物に液体を流し込み、具を置いて挟んでいるようだ。そして焼きあがって型から取り出した物は、高さの低い円筒形というか、分厚い円盤状の形をしている、なんとも名状しがたき見た目だ。


「コレがモチョチョか」

「いらっしゃいませー」


 店員の声を聞きながら商品を見ると、味はあずきとカスタードらしい。カスタードは牛乳が必要だと思うが近くに牧場でもあるのだろうか。俺とソフィーがあずき、アリスとクレアはカスタードを注文した。

 焼き上がりを受け取る。見れば見る程安易に名前を言うと戦争がはじまりそうな姿をしている。


「う~む、美味しい」

「アンコも良いけどカスタードが美味しいのよ」

「そうなのか?」

「ご主人様、よろしければどうぞ」


 アリスがカスタードの入ったモチョチョを差し出す。食べると餡子とは違った甘みが口に広がる。


「どっちも旨いなあ」

「それはよかったです」

「アリスもこっち食べてみるか?」

「よろしいのですか?」

「アリスも食べ比べしたいでしょ」

「それでは失礼します……あむ」


 俺のかじりかけのモチョチョをかじるアリス。


「店員のお姉さん、これっていつからあるんだい?」


 店構えは大分古く見える。というかよく見れば資料館に併設されているように見える。


「そうですね、店長曰くこの資料館が出来る時、つまりこの町が生まれたと同時に生まれました」

「そんなに古いんだ」


 確か資料館で見た時だと600年前だったか、そりゃあ道具にも年季が入っているはずだ。流石に道具は何度も変えているか。モチョチョを食べ終わり、店を後にする。そういえばあの店員のお姉さん人じゃなかったな。町を見て回って分かった事だがアンフィスの様な疑竜人(リザードマン)がかなりいる。


「一応あいつ等も魔物(モンスター)であるはずなんだけど、迷宮(ダンジョン)から出てこれるんだな」

「一般的な魔物(モンスター)は魔力の薄い外では生きてはいけない。だけどすぐ死ぬわけじゃないからね。喋って擬態出来るほどの高レベルな魔物(モンスター)なら一日二日程度なんともないのかも」


 もしかして俺達が気付いてないだけでそういうのは結構いるのかもな。

 町を歩き回って観光した結果色んな事が見えてきた。迷宮(ダンジョン)に潜ってばっかじゃあ分からないものだな。


「いやあ、楽しかったな」

「あたしが案内してるんだから当然でしょ」

「あぁ、おかげで英気を養えた。これで明日の迷宮(ダンジョン)攻略も上手くいくだろう」


 夕食を食べて、露天風呂に入る。もう隣にアリスが居ることが慣れてきている俺が居ることに驚愕する。


「ご主人様」

「どうしたアリス?」

「ワタシはご主人様のお世話をするのが使命です。ですがワタシの意思でご主人様のお世話をしております」

「あぁ、その事はいつも感謝している」

「ですが、最近おかしいのです」

「おかしいって?」

「ご主人様がクレアちゃん様やソフィー様と接吻をするのを見るたびに胸が締め付けられるような気持ちになるのです」

「それは……」


 俺はどう答えるのが正解なのだろうか。その気持ちが恋であると言うのは容易いだろうし、アリスも俺のいう事なら無条件で信じるだろう。でもそれでいいのだろうか。客観的に言われて自覚する事はままあるだろうが、アリスは俺の言う事を無条件に信じすぎる節がある。


「それは俺にも分からないな」

「ご主人様でも分からないことがあるのですか」

「そりゃあ俺も人間だしな、分からない事の方が多いよ」

「では、どうすればいいのでしょうか」

「分からないことは実験と観測するのがいい。要は試してみてどうなるか見るんだ」

「なるほど……でしたら試してみたいことがあるのですが」

「いいよ、手伝うよ」

「では、失礼します」


 アリスは温泉に入ってくつろぐ俺の上にまたがると口づけをした。


ライブはよい

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