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151 観光案内

国土交通Dayなので初投稿です

「お前たちはそんな軽装で大丈夫なのか?」

「ワタシ達はご主人様の魔術がございますので」


 耐熱性の鎧を着こむ観光客を見届けてから迷宮(ダンジョン)に入る。入った途端に焼けるような熱気が襲い掛かってくる。観光客を見れば防具を通して襲い掛かってくるのか、熱そうな顔をしている。


「『氷嵐(アイスストーム)』」


 氷の粒が俺を中心に回り出す。範囲を広げていき、観光客を含む全員を入れる広さまで広げると大きさを固定する。


「これは……?」

「わあ、涼しい!」

「俺を中心に耐熱の魔術を展開しました。離れすぎない様に気を付けてください」


 被っていた兜を脱ぐ観光客、子供は嬉しそうに脱いではしゃいでいる。空気はある程度防げるが、地面からの熱は防げない。耐熱性の靴は履いたままの方が良いだろう。


「装備をレンタルした意味が無かったな、しかし外していくのも面倒だ」

「熱は大丈夫でも魔物(モンスター)は居ます。安全の為にも着ていた方がよろしいかと」


 アリスが先頭、俺が殿をするように観光客を挟む。行き先を尋ねると溶岩湖を見に来たらしい。俺達もこの迷宮(ダンジョン)の名所は多くは知らないので助かる。歩きやすい場所を選びつつ溶岩湖に向かおう。

 道中で現れた魔物(モンスター)は『氷嵐(アイスストーム)』の影響でかなり弱くなっている。アリス一人でも対処は可能だ。その様子を見て観光客の子供が戦いたがっているが親が咎めている。


「溶岩湖まではまだかかります。魔物(モンスター)を選んでみましょう。男の子には挑戦する事が大事ですから」


 アリスの提案を受けて歩き出す。今までの感覚で行くなら溶岩湖にたどり着くまでにあと2、3度は魔物(モンスター)と遭遇するはずだ。その間に疑竜人(リザードマン)に会えば戦う舞台は用意できるだろう。


「いました、疑竜人(リザードマン)です」

「よし、一体だけ残して残りは倒すぞ」


氷嵐(アイスストーム)』の中でも活発に動く個体を倒し、動きが鈍い一体だけを残す。剣を持った男の子が前に出て疑竜人(リザードマン)と対峙する。剣を振り上げながら走り出した男の子に対して疑竜人(リザードマン)が手のこん棒を振り上げる。対処しようとするアリスを手で制する。


「ご主人様?」

「手を出したらダメだよ」


 男の子はそのまま突っ込んでいく。ちゃんと見てないな。こん棒が振り下ろされる直前に氷の粒を『氷嵐(アイスストーム)』の中から射出してこん棒の軌道をずらす。こん棒は地面を叩くだけに終わり、男の子の剣が疑竜人(リザードマン)を斬りつける。子供の剣では傷一つ付かないだろうが、再び氷の粒を脳天に撃ち付ける。絶命した疑竜人(リザードマン)が光の粒子に変わっていくのを見て男の子がはしゃぐ。


「客を楽しませるのも仕事の内だよ」

「なるほど、そこまで細かな気遣い、感服いたします」


 魔物(モンスター)を倒してウキウキな男の子を連れて溶岩湖にたどり着く。どうやら竜の試練も試したいらしく並ぶ事になった。受付を済ませて出てくるのを待つ。


「兄ちゃんはこんな凄い魔術を使えるなんてすげえんだな!」

「一応魔術学園で学んだからな。まあ一年も居なかったけど」

「まあ、魔術学園って言うとサウスガルドの?」

「はい」

「ほお!あそこは魔術学園の中でも最高峰の学び舎だ。もしやお前達は何処かの由緒ある血筋の者なのか?」

「いや、ただの平民ですよ。師匠の縁で入学できたんです」

「そうなのか」


 平民と答えたらあからさまにテンションが下がった。何なのだろうか。そうしている間にスタッフから呼び出しがあった。24人の旅団(フルレイド)だが、冒険者は半分もいないだろう。台に乗っているスタッフが観光客に身振り手振りで説明をしているのを聞き流しながら慣れた風貌の冒険者に立ち回りを聞いてみる。


「なあ、俺達は初参加なんだが何かルールはあるか?」

「なんだ新参者か?簡単だよ、最初赤竜は何もせずに突っ立ってるから観光客どもに攻撃させる。次第に赤竜が暴れ出すからそのタイミングで観光客を退避させる。俺達の出番はその後だな」

「そうか、ありがとう」

「……アイツの周りに回ってた氷なんだ?」


 待機場所に案内されて少し待つと溶岩湖が激しく泡立ち大きな竜の姿が現す。たしか名前はバイネインとか言ったか。竜が溶岩湖から出てくると観光客が一斉に群がって各々の武器で攻撃し始めた。

 観光客がいくら攻撃しても微動だにしない赤竜は巨大なバルーンの様にも見えた。


「見てください。赤竜が動き出しました」


 赤竜が右腕を少し持ち上げた。そのタイミングでスタッフの男性が観光客に逃げるように促す。事前の説明であったのか、声を聞いた途端に一目散に撤退する観光客たち。しかし一つの人影がいつまでも赤竜の足元にいた。


「アレは、俺達が護衛していた観光客の男の子か」

「声に気が付いてないのでしょうか」


 スタッフがいくら声を出しても気が付く様子がない。このままでは踏みつぶされる可能性がある。


「助けに行くぞ!」

「畏まりました!」


親愛の絆(チートスキル)』を発動して疾風の如く駆け抜ける。赤竜の足が上げられたまま止まる。心なしかプルプル震えている。もしかして我慢してる?


「子供確保!アリス!」


 剣を振り回している子供の脇を掴んで持ち上げる。そのまま振り返りざまにアリスの方向にぶん投げた。


「ご主人様、避けてください!」


 アリスが子供をキャッチするのを見てから振り返る。我慢の限界が来たのか俺の頭上に赤竜の足が落ちてきていた。


1.5周年の情報量じゃない

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