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143 妖精

カニカマの日なので初投稿です

 今回は剣を渡すだけにして帰ることにした。試練はまあ、いつか行くことにしよう。

 今回の後日談。ベルンハルト家は死に至る毒(ヴェノム)との関係が公開され、騎士団が逮捕すべく突入。その際に抵抗を受けてベルンハルト当主が死亡する事で幕は閉じた。その後、屋敷の資料から死に至る毒(ヴェノム)と関わりのある貴族が芋づる式に見つかり、その全ての貴族の首が身体からサヨナラした。なお情報をリークし、突入の手引をした当主の息子は特赦を受け、今後家の汚名を雪ぐようイースガルド当主に厳命された。


「エリちゃんのお願いから凄い事になっちゃったな」

「そのおかげでいいモノ手に入ったでしょ?」


 とはエリちゃんの弁だ。今後の付き合いを考えないとな……。

 流石に色々起きたので数日の休暇を取る事にした。連日賞金首を捕まえていたので、資金はそこそこ潤沢だ。折角だからこの国から出て世界を見て回ってもいいかもな。魔金剛(オリハルコン)が取れるというレーヴェンは騎士人形(ナイトゴーレム)の生産国としても有名らしい。魔力(オド)で操作できる土人形(ゴーレム)に鎧を着た物が騎士人形(ナイトゴーレム)であり、戦争で戦局を左右するほどの戦術兵器として活躍しているらしい。


「人型で大型の兵器は男の子のロマンだよなあ」

「ユートがなんか言ってるー」

「どうせ新しい女の話だよー」

「やーいユートのすけべー」


 今日は教会の孤児院で子供たちの世話をしている。よーし、お前ら今から鬼ごっこだ全員捕まえてやらぁ!

 全員を捕まえたら昼になったので今回は昼ご飯を頂き、募金箱に金を入れて後にした。


「さて、次はどこに行こうかな」

「……」

「……」

「……」


 歩いていると後ろからついてくる人の気配がする、2人、いや3人か。死に至る毒(ヴェノム)の残党だろうか、だとしても尾行が下手だな。しばらく放置するか。


「とりあえずテンチョーの店に行って新しい武器とか見てみるかな」

「……」

「……」

「……」


 なんか近いな、これほぼ真後ろに居るんじゃないのか?ふと後ろを見る。


「こっち見た!」

「隠れろー」

「……おー」


 ……どこかで見た事ある3人組だなあ。もう一度前を向いて歩きだす。


「もういい?」

「大丈夫っぽいー」

「……いこ」


 ここでダッシュ!


「走り出したわよ!」

「追いかけましょー」

「……だーっしゅ」


 そのままの勢いで角を曲がる!


「このままじゃ見失っちゃう!」

「急いでー」

「……いえーい」


 曲がった先で立ち止まり振り返って待つ。走ってきた3人組が角を曲がってきて俺と目が合う。


「やあ」

「きゃー!」

「わー!」

「……おー」


 3人の内2人が振り返って逃げようとする。逃がすか。


「はい、捕まえた」

「いやー!」

「たすけてー」

「先につけてきてよく言うな君達」


 逃げようとした2人を小脇に抱える。最後の1人は何もするでもなく俺を見ている。


「イチ!逃げなさい!」

「イチちゃん逃げてー」

「そう言ってるけどイチちゃんはどうする?」

「……」


 イチと呼ばれた少女は何か考えた素振りを見せた後、何故か俺の背中をよじ登り、肩車の形になった。


「なんで……?」

「……れっつごー」


 結局この状態のまま公園に向かい、3人分のジュースを買う事で大人しくなってくれた。


「それで?なんで俺を尾行してたの?」

「だって初めてなんだもん……」

「一体なにが初めてなんだい?」

「私達が見える大人―」

「なにそれ?」

「……わたしたち、ようせいなの」


 ようせい?要請、養成、陽性……妖精?


「妖精って、一体何の妖精なんだい?」

「なんのって……なに?」

「ほら、花の妖精とか木の妖精とか」

「……わかんない」

「分からない?」

「あたしたち、気が付いたらこの街に居たの」

「知ってるのは、自分の名前とー」

「……わたしたちがようせいってことだけ」


 妖精だから大人には見えないのに見えている俺が気になったと。


「そういえば前にもあったよね」


 確かこの公園で寝ている時に集まっていたはずだ。その時も確か逃げられたけど。


「それで、どうしてほしいの?」

「どうして?」

「何かやってほしくて俺を尾行していたんじゃないのか?」

「そうなのー?」

「……ウーノが付けようって言った」

「そうだっけ?」


 その場その場で決めて生きている感じがする、子供みたいだな。見た目は孤児院の子供たちと同じくらいなので精神年齢もそれくらいなのか。


「うーん、そうねえ……じゃあ、遊びましょ!」

「なんで?」

「あそぼー」

「……おー」

「え、本当に遊ぶ流れなの?何か悩み事があるとかじゃなくて?」


 その後、本当に遊ぶだけで終わった。何だったんだ一体。


「あの、ご主人様が一人で狂っていたように踊っていたと噂になっておられるのですが……」

「何それ」

「よっぽど最近の事件で疲れているようだね」

「だからって溜めこむのは良くないわね」

「なので、今夜はご主人様を癒したいと思います」

「ボクも同行しよう」

「あ、あたしも手伝ってあげるわ!」


 なんでそうなるの?というか俺が踊り狂ってるという情報を詳しく知りたいんだけど。


「大丈夫です。たとえご主人様がいくつになっても、ワタシはいつまでもご主人様の傍におります」

「うれしいけど今聞きたいのはそこじゃない」


 その後、3人に連れていかれ、癒しの時間を強制的に受けることになった。


100万人おめでとうございます

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