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124 次の旅

胃腸の日なので初投稿です

「ご主人様、ご用意が出来ました」


 主部屋(ボスエリア)を追い出されて数分後、アリスの声に呼ばれて再び部屋に入る。いつの間にか用意されていたテーブルの上には鮮やかな緑色の羽根と牙、それに


「これは……角?」

「はい、今回の報酬です」

「折ってくれたのですか」


 人の姿に戻った(?)シルフィードが答える。そこまでしてくれるなんて。


「いえ、実はコレ昨晩生え変わったんです」


 こう、にょきにょきと身振り手振りで表現してくれる。というか角って生え変わるのか。鹿みたいだな。


「こちらでよろしければ持ち帰りください」

「では、遠慮なく」


 道具箱(アイテムボックス)に頂いた素材を詰め込む。コレでここにきた目的は全部終わったな。


「まだ迷宮(ダンジョン)の魔物退治が終わってないわよ」

「そういえばそれもあった」

「ではコレから戻る道中の魔物を倒して回りましょうか」

「その必要はないんじゃないかな」


 エリちゃんがコレからの予定に待ったをかけた。


「シルフィ、迷宮(ダンジョン)内部の魔物って数が増えていたのはなぜなのかな?」

「それは継承の儀式をする際に迷宮(ダンジョン)魔素(マナ)が活性化するからです」


 迷宮(ダンジョン)は基本的に魔素(マナ)が濃い場所に出現にする。所謂龍脈のような魔素(マナ)の吹き溜まりであったり。迷宮(ダンジョン)から飛び出した強力な魔物から出る魔力がその辺り一帯を迷宮(ダンジョン)に変えることもある。後者であるここは巣の主である緑竜の影響はもろに出るのだろう。


「じゃあ儀式も終わった今、魔物(モンスター)はどうなるんだい?」

「継承の儀式も終わり、魔素(マナ)の活性も収まっているので魔物(モンスター)も大人しくなると思います」

「つまりボクたちの今回の動きは魔物氾濫(スタンピード)の抑制に一役買ってるということさ」

「そう、なのか?」

「なんだったら一番貢献していると言っても過言じゃないね」


 それは過言だろ、皆んなも大体呆れたような顔をしている。


「それにこの迷宮(ダンジョン)魔物氾濫(スタンピード)に関与する魔物は中層以下にしかいないなんだよ、上層の魔物は殆どが鉄人形(アイアンゴーレム)だし」

鉄人形(アイアンゴーレム)が出てくることは無いのか?」

「そうですね、鉄人形(アイアンゴーレム)魔物(モンスター)化してはいますが元はこの遺跡を守護する者達です。外に出ることはしないでしょう」


 元が警備用だから出て行かないって事か?でもここに大型の鉄人形(アイアンゴーレム)もいたんだよな?まあこの迷宮(ダンジョン)の主が言うのなら間違い無いか。


「さて、そろそろキャンンプ地に戻らないと時間に間に合いそうにないぞ」

「もうそんな時間か、それじゃあシルフィードありがとうな」

「いえいえ、またお会いしましょう」


 全員シルフィードに別れの挨拶を済ませて迷宮(ダンジョン)の入り口に向かう。拠点に戻ると何やら冒険者達が騒ついていた。今回の代表を務めているサイ氏も難しい顔をしていた。


「何があったんだ?」

「む、ユート君達か、君達も迷宮(ダンジョン)に潜ったのなら魔物(モンスター)の異常に気が付かなかったかい?」

魔物(モンスター)の異常?いや別……いてっ」


 フードを目深に被ったエリちゃんが腋腹を小突く。急な事で文句を言いたくなったが主部屋(ボスエリア)での会話を思い出し冒険者が騒ついている理由に思い至る。


「どうかしたのかね?」

「いや、それよりも魔物(モンスター)の異常だったな。確かに昨日と比べて魔物(モンスター)が大人しかった印象はあった」

「やはり君達もそう感じたか」

魔物氾濫(スタンピード)が収まったんじゃないかい?収まると魔物(モンスター)の凶暴性が無くなると昔論文で読んだことがあるよ」

「確かにその通りなのだが……いつもなら収まるのに1週間は潜り続けて数を減らさないと行けないのになぜ今回はこんな早くに……」


 どうやら俺達の行動は本当に魔物氾濫(スタンピード)の抑制に一働きしていたらしい。


「早く終わったのならそれでいいのでは?」

「うーむ、気にはなるが確かにユート君の言う通りだ。少し早いが今回の討伐遠征はコレで終了としよう」


 サイ氏は冒険者を集めると今回の討伐遠征の終了を発表した。明日の朝にはここを立つので各自準備を進めるようにとの事だった。幾つか冒険者達から質問があり殆どが報酬の事だったがサイ氏は依頼料は全額払うと言っていた事で納得したのかそれ以上質問は無かった。


「それと、上級クラスの冒険者に追加の依頼だ。今回の予定日までここに残り、魔物(モンスター)の調査を行う者達を少数募集する」

「だってさ、どうする?」

「俺たちは風属性の魔鉄を掘りにここに来たんだ。早く帰ってヴニュに素材を渡さないとな」


 俺達のパーティは追加の依頼に参加することなく眠りに就き。翌日馬車に乗って街に戻った。そしてついた翌日冒険者ギルドのギルド長室に俺たちは居た。


「なんで?」

「君たちにいい忘れたことがあってね」

「それはもしかして緑竜の素材のことかい?」

「シルフィードの?」


 エリちゃんの言葉にソフィーが答える。


「いやーソフィーちゃんは話が早くて助かるよ、前にも言ったけど『風切りの洞穴』は未踏破の迷宮(ダンジョン)で誰も緑竜と戦ったどころか見たこともない、そういう事になってるんだ」

「あぁ、それなのに緑竜の素材が誰かに見られたりしたら大騒ぎになる」

「そんな騒ぎのレベルじゃないよ、文字通り歴史に名前を刻む事になる偉業なんだから」


 そんな危ないブツなのかコレ。


「ん?じゃあなんで素材交渉を了承したんだ?」

「前にも緑竜から素材を貰って加工した人がいるんだよ。おじいちゃんって言うんだけど」


 まあ他にいないだろうな。じゃあどうやって加工したんだよ。自作か?


「そこはちゃんと鍛冶師に頼んだらしいよ、名を刀匠ガザード。技術の国ベーレヌスに5人しかいない鍛冶神(ヘパイストス)の称号を持つ最高峰の職人さ」


 素材探しのあとは人探しってか?

えらいこっちゃ……戦争が始まるぞ

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