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いいおしりの日なので初投稿です

 無数に降り注ぐ羽根を回避しながら距離を取る。しかし想像以上にヤバイ技が来てしまったな。


「『水刃(アクアブレイド)』がごっそり削り取られたのは何かの冗談かと思ったぜ」

「あの羽根って魔法盾(マジックシールド)で防げるの?出来ないとあたし死ぬんですけど」

「そうでもないんじゃないかな?ほら『火炎壁(フレイムウォール)』」


 俺達の正面に大きな炎の壁が出来上がる、『火炎壁(フレイムウォール)』なんて魔術無かったはずだが。


「ボクのオリジナルさ。防御魔術と言えば魔法盾(マジックシールド)だけどそこに火属性を混ぜてみたんだ。そうすればこんな風に」

「羽根が焼けてる?」

「風属性の魔術は火属性の魔術に弱いからね。でも魔法盾(マジックシールド)の一部を炎に転換しているからいつもより壁が薄いんだよね。だからほら」


 炎の壁を羽根が突き抜けてくる。俺は避けれても後ろのクレアが避けれるか分からない。


「当たってくれよ……『反射(パリィ)』!」


 盾に触れた羽根は粉々に砕けて光の粒になり、周囲の羽根にぶつかると羽根は次々に砕け散った。はじき返せば連鎖的に周囲の羽根を消せるのか。


「とは言え数が多すぎる。壁を越えてきた羽根だけを狙うしかないか」


 DPS(ゲーム)において魔術の属性は敵に対してより効果的にダメージを出すための補正的な立ち位置であったが、防御に関して言えば結界か魔法盾(マジックシールド)だけだ。そこに属性を乗せるという事は俺の知識からすれば考えつかない事だ。


「相手の魔術は炎だろうが氷だろうが一緒だからなあ」


 見た目(テクスチャ)と追加効果が違うだけでどの攻撃がよりダメージを受けるとかが無かった。というか全部避ければそれで良いからだ。


「何ぶつぶつ言ってるのよ。さっきはありがと」

「ちょっと作戦を考えてたんだよ。とりあえずこのまま耐久していくしか無いと思う。ソフィーはそのまま炎の壁を維持してくれ。抜けて来た羽根は俺が対処する」

「分かった、でもこの程度で終わらせるほど竜種(ドラゴン)は甘くないと思うよ」

「それは、まあ見れば分かる」


 シルフィードを見ると翼から抜け落ちる羽根が徐々に増えている。量が増えれば通り抜けてくる羽根も増える、今はまだ対処が出来るが……。


「エリちゃん!」

「なーにー?」

「耐久の時間決めてなかったんだけど!」


 凶悪な羽根が舞い散る暴風の中でエリちゃんはどうしてるのかと思ったが緑色の球体が彼女を包んでいた。多分シルフィードが作った結界かなにかだろう。


「うーん、シルフィ!その状態ってあとどれくらい持つ?」

『え、えっと多分……一日、くらい?』


 耐え切れる自信がない。


「長いからラスト10分から初めて!」

『え、そんなに長い?』

「長いよ!それか相手側でそれを止める術ってないの?」

『え……そ、それはちょっと』


 俺達の方をチラチラ見るシルフィード、まあ敵対している相手がいるのに自分の弱点をいう奴なんていない。


「ユート君たちは信頼できる相手だ!シルフィの弱点一つや二つ秘密にすると約束できる。そうだろ?」

「お、おう」


 急に振られても困るがまあこの中で口が軽い者は居ない……よな?


「エリちゃん様のご友人の秘密なのですから当然でございます」

「そもそもここの迷宮主(ダンジョンボス)に会ったなんて言ったところで誰も信じてもらえないわよ」

「ボクも他人の弱点を言いふらすことなんてしないよ。というかそんなの趣味じゃないのでね」

「だって!」


 でもソフィーは魔物(モンスター)の論文で書きそうだなと思ったが話がこじれるので言わないでおこう。


『えっと、じゃあ言いますけど……この羽根の中に一枚だけ安全装置(セーフティ)が有るんですけどソレを破壊すれば『落葉(フォールライブス)』を止める事はできます』


 なんでわざわざそんな弱点を作るのか。


「お父様の記憶によればこれはナンカクアスカ様と一緒に作った術で彼女曰く絶対無敵の最強技より攻略する術を残して相手に見つけてもらう方が楽しい、だそうです」


 ナンカクアスカはゲーマー、と言うかクリエイターみたいなことを言っていたのだな。そう考えると敵から直接弱点を教わったので、見つける楽しみをガン無視してしまったが、まあ現状命がかかった状況なので許して欲しい。


「ちなみにその安全装置(セーフティ)を破壊しても俺達の勝利でいいか?」

『いいですよ、もとよりそれが『落葉(フォールライブス)』の攻略方法ですから』


 言ってくれる、余程自信があるらしい。


『それではラスト10分位から始めますね』


 翼の赤みが更に濃く深くなっていく。それに比例するように羽根も増えていく。


「羽根の数が増える前に見つけ出さないと」

「それについては検討がついている」

「もう見つけてるって事?」

「あぁ、アレを見たまえ」


 そういってソフィーが指さしたのはシルフィードの頭上だ。目を凝らせば確かに一枚の羽根がゆらゆらと漂っている。


「アレだけずっとあそこで漂っているし魔力(オド)の質が他のと違うんだ」


 魔力視のスキルで見てみると他の羽根が純粋な魔力の塊に対してあの羽根はどこか別のなにかが混じっているように見受けられる。安全装置(セーフティ)の術式だろうか。


「でもあの羽根がそうだとしてもどうやって狙うのよ」

「ふむ、ボクの『火炎剣(フレイムブレイド)』で狙ってもいいけどそうするとこの『火炎壁(フレイムウォール)』を解除しなければならないからな」

「そうすると俺達はすぐに羽根の型でくり抜いたクッキー生地になるな」

「そんなのあたし嫌よ!」

「俺も嫌だ。なので俺とアリスでやる。それしかないだろう」

「手はあるのかい?」

「剣でも投げて壊れるのならそれに越したことはないが最悪直接斬りにいく事になる。そうなればアリスを一番危険な目に合わせてしまうからあまりやりたくはない」


 だが現状考えられる手はそれしかない。そしてやるには羽根が少ない今しかない。


「畏まりました。このワタシの命に代えましてもこなしてみせます」

「いや命には変えないで……とりあえずやってみるか」


 俺とアリスが『親愛の絆(チートスキル)』で強化(バフ)すると『火炎壁(フレイムウォール)』を一部開けてもらって外に出た。さて田んぼの様子でも見にいくかな。

チャックが下ろせるLive2D

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