表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/303

117 緑竜

プリンの日なので初投稿です

『■■■■——!!』


 竜種(ドラゴン)の姿になったシルフィードが声を張り上げたのを合図に俺とアリスは走り出す。


「前衛は俺達でやる2人は援護を頼む!」

「まかせたまえ」


 ソフィーが杖を振るうと空中に炎の剣が現れる、炎系中級魔術『火炎剣(フレイムブレイド)』だ。対してシルフィードが翼を広げると風が吹き荒れた。風属性の素子(エレメンタル)が多いのか翼の周囲に緑色の塊が幾つも見えた、もしかしてシルフィードが充填(チャージ)している魔素(マナ)の塊か。


「シルフィードの周囲に魔素(マナ)の塊、数は十二!」

「コチラでも見えます」

「防御は?」

「不要です」

「じゃあこのまま突っ込むぞ!」


 空気の塊が射出される、刃の形に変形しないという事は『風槌(エアハンマー)』か。十二個の内、俺に4つ飛んでくる。1発目をサイドステップで避け、2発目を『風刃(エアブレイド)』を『付加(エンチャント)』した剣で斬りつける。空気の塊は真っ二つに切れて左右に逸れていった。


「げ、一発で『付加(エンチャント)』が剥がれた。どんな魔素(マナ)してんだ」


 使い物にならなくなった『付加(エンチャント)』を振り払うように解除して3発目の『風槌(エアハンマー)』を『反射(パリィ)』で返す。はじき返された『風槌(エアハンマー)』は4発目と衝突し、凄まじい風を吹き散らして消えた。

 俺に飛んできた『風槌(エアハンマー)』を全て処理し、残りの魔術が飛んでいった方を見る。4発がアリスで残りがソフィー達だ。アリスは難なく全ての『風槌(エアハンマー)』を回避していた。ソフィー達は『火炎剣(フレイムブレイド)』で迎撃する。ぶつかり合う炎の剣と風の槌は爆風を起こしながら相打ちになった。


「下級魔術と中級魔術で相殺とかどうなってんだよ」


 しかも風属性と火属性なら火が優位を取れるはずなのだが。竜種(ドラゴン)の名は伊達ではないという事か。剣が届くまでまだ距離はある、また大量の『風槌(エアハンマー)』が飛んでくる前に近付きたいのだがそう簡単に行かなさそうだ。


「なら『瞬間爆破(ソニックボム)』ならどうだ?」

『■■!』


 シルフィードの目の前で『瞬間爆破(ソニックボム)』を発動させるために指を鳴らす。


「……うん?」


 しかし『瞬間爆破(ソニックボム)』が発動しなかった。何度も指を鳴らすがやはり発動しない。自分の魔力(オド)が見える様にしてからようやく気が付く。


「俺の魔力(オド)が散らされている?」


 指を鳴らす構えを取ると同時に自身の魔力(オド)をシルフィードの前に配置する。シルフィードは翼を少し揺らしたと思うと俺が作った魔力(オド)の塊は風に飲み込まれてしまった。


「なるほど、風属性は彼女の支配下って事か」


瞬間爆破(ソニックボム)』は爆発によるダメージを与えるがそれは結果であり過程は魔力(オド)で空気の成分を変質させる風属性の魔術だ。


「『瞬間爆破(ソニックボム)』は駄目、『風刃(エアブレイド)』も一発でズタボロ……となると雲を使う雷魔術も難しいな」


 下級魔術のように魔力(オド)から直接雷に変化できれば問題ないだろうが最上位である竜種(ドラゴン)にダメージを与えるには少なくとも中級は必要だろう。雲を精製しないと発動出来ない今の俺では無理だ。そうなると別の属性を使うしかないか……。


「ユート!上!」

「ッ?!」


 後から飛んできたクレアの声で上を見る。そこにはシルフィードが撃ったであろう『風槌(エアハンマー)』が目前まで迫っていた。この距離だと回避は間に合わない!


「この、『反射(パリィ)』!」


 なんとか盾で弾き返すことに成功し、後続の『風槌(エアハンマー)』を相殺する。残りは横に飛んで回避した。


「すまん助かった!」

「ボーッとしてんじゃないわよ!相手は竜種(ドラゴン)なのよ!」


 少し考えに没頭しすぎていたようだ、とにかく風は使えない、他の属性で攻めることにしよう。


「アリス!俺は右から行く!」

「ではワタシは左から」


 左右に別れながらシルフィードに向かう。相変わらず『風槌(エアハンマー)』をガトリング砲のように連射して来るが捌ききれない物量ではない。問題は射出される速度が異常に速い事だ。ステップを刻みながら避けているが、これ以上近づくと反応しきれずに被弾してしまう。アリスは俺よりも大分近付いてはいるが似たような状況なのかそれ以上進めないように感じる。


「風が駄目ならこいつはどうだ。『水流針(アクアニードル)』!」


 俺の周りに大きな水の球体が現れ、渦巻きながら針状に成形されていく。狙うは『瞬間爆破(ソニックボム)』と同じ顔周辺だ。爆破ほど視覚を阻害できないかもしれないが単純に目の周辺に攻撃が来るのは意識せざるを得ない。俺の方に意識を持っていけばその分アリスやクレア達が動きやすくなる。俺達のパーティは遠近両方で敵を倒せる手段を持っている、ならば動きやすいよう敵意(ヘイト)を集めるのが前衛(タンク)としての仕事だろう。


発射(ファイア)!」


 飛び出した『水流針(アクアニードル)』は真っ直ぐな軌道を描きながらシルフィードの顔面に突き進んでいく。しかし『風槌(エアハンマー)』がそれを防いでしまう。こっちを見てもらうにはもっと主張を高めないとな。


「これならどうだ!」


 周辺に水球を無数に浮かべて『水流針(アクアニードル)』を作ってき、それらを次々に射出、そして再び水球の生成を行う。先程から目の前で行われている『風槌(エアハンマー)』のガトリングを参考にこちらも『水流針(アクアニードル)』のガトリングをしてやろうと考えたのだ。


「射撃レートが低い、もっと成形から射出までの速度を上げるべきか?」

「いいや、違うね」


火炎剣(フレイムブレイド)』が飛んでくる。後方にいるソフィーの攻撃だ。しかし大きさが随分小さい、本来なら巨人が持つ剣ぐらいだと言うのに今飛んできたのは人が持つ剣ほどだった。後を見るとソフィーが撃ち出した『火炎剣(フレイムブレイド)』が途中でいくつもの小さな剣に分散してシルフィードに突撃していくのが見えた。


「おぉ、クラスターミサイル」

『■■!!』


 シルフィードが『風槌(エアハンマー)』で迎撃するが数が多すぎて迎撃できずに幾つかが被弾している。


「君の持ち味は既存の魔術に囚われない発想とそれを実現できるイメージ力だろ」

「ソフィー……」


 そこまで言われたら頑張るしかないじゃないか。

ゴリラネタは擦られなかったな

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ