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115 魔物狩猟

ワクチンでダウンしていたので初投稿です

「おぉ、これは凄い」

「大迫力です」

「ハチャメチャって言うか滅茶苦茶ね」

「ていうかあの子あんなに大きくなれるんだね」

「クーちゃんはアレが本来の大きさだからね」


 これはクー助が元の大きさに戻って合成虫と怪獣プロレスを始めた時の感想だ。とは言っても既に大アゴは砕かれ鎌腕も片方欠損している。高速移動していたムカデの胴体もクー助との激突でしっかり足を止めてしまった。


「これ足元入ったら腹狙えるんじゃないか?」

「あんたじゃあの間は入れないでしょ」


 胴体と地面の隙間は1m程、入れない事は無さそうだが踏み潰されそうだ。


「それよりもクー助が対処出来てない尻尾をどうにかするか」


 いくら上半身を圧倒できても長い胴体と尻尾の毒針までは手が回らない様子で、このまま尻尾が攻撃に加わればクー助に毒針が襲いかかってしまう。


「その前に折ってしまおう、もしかしたら部位破壊報酬貰えるかも」

「またこいつ変なこと言ってるわよ」

「そうとも言い切れないよ。特定の部位を破壊した場合にのみ出てくる戦利品(ドロップアイテム)は昔から観測されている」

「そうなの?」

「うん、それもその魔物(モンスター)の特徴的部分を破壊した時が特に顕著らしい」

「へえ、テキトーに言ってた訳じゃないのね」

「も、もちろんさ」


 部位破壊報酬(そういう仕様)があるゲームは存在するがDPS(ゲーム)には無かったはずだけど。まあいいや、あの合成虫にもそういうところがあるとすれば大アゴに鎌腕、それにあのサソリの尻尾だろう。その内のアゴと鎌はすでにクー助が破壊している、後は尻尾だけだ。


「それで、どう破壊するんだい?」

「そうだな、俺とアリスで物理的に砕きに行く、ソフィーとエリちゃんは援護を頼む。クレアは二人に攻撃が飛んで来たら防御を」

「つまりいつもの感じね」

「そういうことだな、エリちゃんもそれでいいか?」

「いいけどボクの攻撃全然通らないよ」

「無理に攻撃はしなくていいよ。クー助がひっくり返さないとどうしようも無いし、尻尾もクー助を攻撃させない為の妨害行為みたいなものだからね」

「わかった、それじゃあクレア君防御よろしくね」


 3人を置いていき俺とアリスが尻尾に向かう。胴体の反対側に回れば死角になって『新愛の絆(チートスキル)』も使える。


「アリスはあの尻尾の攻撃を避けれるか?」

「はい、ご主人様が見せてくれましたので大丈夫です」

「よし、じゃあ二人であの尻尾を壊すぞ」

「はい」


 合成虫も尻尾に近付いたのに気づいたのか胴体が暴れ始めた。ムカデの足による地団駄を回避しながら最後尾にたどり着く。


「アリス、『再結合(リコピレイション)』を!」

「はい!」


新愛の絆(チートスキル)』を発動し尻尾を見据える、先端は俺の方を向いており土手っ腹に風穴を空けようと狙いを定めていた。


攻撃動作(モーション)単一動作(ワンパターン)なんだよ!」


 狙いを定めたら引き絞るように後に伸ばす、そこから約1秒後に視認するのは不可能に近い速度の刺突がくる。しかしそれは素の俺の場合だ。


「今の状態なら……!」


 敵を見る事に意識を集中する。すると視界に入っているアリスと合成虫の下半身の動きが緩慢になった。『集中(コンセントレーション)』という思考速度を強化するスキルだ。DPS(ゲーム)だと一時的にスローモーションにするスキルだが高難易度の依頼(クエスト)では敵の攻撃速度が尋常じゃなく高速化しているため必須のスキルと言える。『親愛の絆(チートスキル)』で強化されたおかげでスローモーションどころか静止レベルで動かなくなり、そこから敵の予測行動まで見れるようになった。


「1.3秒後に左胸に向かって刺突攻撃、タイミング的に5歩目だな……思考速度を10倍に上げる!」


 その言葉と同時に世界が10分の1の速度で動き出す、尻尾がゆっくりと動き出した。盾を前にかざしつつ1歩、2歩と歩みを進める。3歩目を踏み込んだ瞬間、尻尾の速度が10倍に引き伸ばされた物とは思えない速度で突き進んでくる。


「速い!でも……」


 あの速度なら突き刺しながら進行方向を変更することが出来ない。ギリギリのタイミングで身体を捻って刺突を回避した俺はそのまま回転の勢いを乗せて剣を叩き込んだ。


「だっりゃあ!」


 突き出された尻尾は進行方向を変えられて地面に穴を開けた。


「アリス!」

「はい、ここですご主人様!」


 アリスが向かった先は尻尾の付け根、硬い甲殻の隙間に自身のナイフを突き刺した。最初は先端の毒針を破壊しようと思ったが全身がガッチガチな合成虫の攻撃に用いる部分が硬くないわけない、という事で甲殻の隙間を狙う方針に決まったのだった。合成虫も隙間を隠そうとするが地面に刺さった先端と刺し込まれた短剣によってできなくなっていた。


「いっけえ!」


 アリスが固定してくれた隙間に剣を滑り込ませる。肉を切る触感と共に薄暗い黄緑色の液体が噴き出した。だが尻尾の根元を狙った為に剣の幅より太く切断までには至らなかった。


「だったら『風刃(エアブレイド)』!」


 剣の刃先から空気の刃が現れる。徐々に傷を広げていくがそれでも切断することが出来ない。合成虫も暴れだしこのままでは危険だ。


「ご主人様、このままでは危険です!」

「分かっている、だが……」


 最悪神経を切断できれば動かなくなると考えていたが『風刃(エアブレイド)』と合わせて半分は切れているだろうに尻尾は未だ元気に動いている。何か上手く伐採出来ないだろうか……伐採?


「アリス、短剣を引き抜いてくれ!この剣を暴れさせる」

「剣を……?分かりました」


 素早く短剣を引き抜くアリス。それを見てから魔術の想像(イメージ)を具現化するべく精神を集中させる。


「いくぞ、『風刃(エアブレイド)型式(タイプ)鎖鋸(チェーンソー)』!」


 一直線だった風の刃が小さい刃の連なりに変わり剣の上を滑る様に動き出す。その動きに合わせて硬い甲殻と中の肉がガリガリと音を立てながら削られていく。そして最後には自重に耐え切れなくなり尻尾が地面へと落ちた。


「伐採完了」

俺がオニイサマだ

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