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111 昔の話

石炭の日なので初投稿です

「見ていくかいって、その許可出すのはエリちゃんではないでしょ」

「私は構いませんわよ」

「ほら、儀式をする本人が言ってるんだし」

「ユート、ユート!ここはお言葉に甘えて見させてもらおうじゃないか!」


 ソフィーの探求心に火が付いたのか興奮している。まあ、ここまで来てはいさよならも寂しい。というか、帰りもエリちゃんの護衛があるからここで待っていようかと思っていたところだ。暇も潰せるし、今後一生見る機会もなさそうなイベントだし見る価値はあるだろう。


「それじゃあ見学させてもらおうかな」

「それではこちらに」


 今度はシルフィードが先導を始める。付いて行った先には物々しい大きな扉が鎮座していた。間違いなく主部屋(ボスエリア)への扉だろう。本当ならこの扉を開けるのは今よりもっと強くなって更に沢山の仲間を集め、死を覚悟して開けるべき扉なのだろう。


「よいっしょっと、この扉重くて開けるのに苦労するんですよ」

「毎回大変だよね、ボクこの扉開けられないもん」

「それが雑談しながら開けるんだもんなあ」

「あ、これ一応冒険者様方だと自動で開くようになっているんですけど、それだと形式上お父様と戦う事になってしまいますのでお気を付けください」


 今日はお父様(ドラゴン)と戦うために来たんじゃないのでそれは勘弁して欲しい。開かれた扉を潜れば随分と広い空間に出た。しかし最高位の迷宮(ダンジョン)の割には装飾は無く、四角い箱状の部屋だ。見れば壁には等間隔に柱があり、柱の真ん中あたりに謎の出っ張りが付いている。


「お父さまが最初に来た時には大きな鉄人形(アイアンゴーレム)が壁一面にあったらしいのですが邪魔だったので全て片付けたそうです」

「大きな?」

「はい、丁度あの柱の出っ張りが胸元に来る感じだったそうです」


 あの柱についてる謎の出っ張りか、えーっとあの位置に胸があって標準的な人型と考えて……凡そ15mくらいだろうか。


「全長15m位の鉄人形(アイアンゴーレム)が壁一面に並んでいた」


 想像してみる。姿形は上で見た鉄人形(アイアンゴーレム)を準拠してそれが15mサイズ。用途としてはやはり戦闘用だろう。となれば元の姿より追加で鎧、装甲が付いているだろう。技術はこの世界より遥かに高いから銃の様な遠距離武器は持っているだろうし、同じような技術を持った敵が居るなら遠距離攻撃を防ぐ盾や近接戦闘になった時のナイフや剣も持っているだろう。


「なんてこった……」


 そうして頭の中で出来た鉄人形(アイアンゴーレム)の姿は元の世界で長い間愛されているロボットアニメの姿にとても似ていた。


「なあ、そのモビル……鉄人形(アイアンゴーレム)は残っていないのか?」

「全て魔物(モンスター)化してすぐ下の階層に配置したのですけどジーク様に全て壊されてしまいましたわ」


 ジーク様is誰。


「ボクのおじいちゃんね。ジークフリート・ミラーカ」


 ここでも俺の前に立ちはだかるのか先代ギルド長。残骸とか残ってないかなあ……魔物(モンスター)化したなら倒されれば全て迷宮(ダンジョン)に還元するから無理か。


「彼には儂も手を焼かされたものです」

「現状先代ギルド長が面倒くさいトラブルメーカーなんだけど認識あってる?」

「あってるあってる」

「なるほどなー、ところで今さらっと会話に混じってきた方は知り合いですか?」


 剣に手をかけながら向き直る。そこにいたのはタキシードを着た老人だった。人混みの街中ならともかくここは人が全くいない迷宮(ダンジョン)の真っ只中だ。ここまでの距離にいるのに声をかけられるまで気づかないなんて相当の手練だろう。


「お父様、おきていらしたのですね」

「あぁ、エリーザも久しぶりだね。前にあったときはこんなに小さかったのに」

「もう、前にあった時は竜種(ドラゴン)の姿だったでしょ……紹介するよ。このお爺ちゃんがこの迷宮(ダンジョン)の主、緑竜のシルヴェストルだよ」

「始めまして冒険者諸君、紹介に預かったシルヴェストルだ。ここの主をしている……と、言っても今日までだがね」

「貴方が緑竜シルヴェストル……」


 見た目はただのジェントルマンだがスキルで見ても……変わらないな。そのシルヴェストルはクー助を見てその細い目を見開く。


「おや、お主は……そうか、だからか」

「……?クーちゃんになにか?」

「お主達は此奴が何なのか知っているのかね?」

「クー助のことか?竜種(ドラゴン)なんだろ」

「そしてこれはボクの推察なんだけど……多分クーちゃんは魔素(マナ)竜種(ドラゴン)だ」

「然り、創造主が創りし七つの竜にしてこの世界の根幹たる魔素(マナ)を司りし竜、名をマクスウェルと言う」


 マクスウェル、俺の世界では有名な物理学者の名前だがことDPS(ゲーム)では魔素(マナ)を司る精霊の名前だ。そう精霊な名前なのだ。決して竜の名前ではなかった筈だ。


「俺の知識とこの世界に差が生まれている……?」


 俺の考えが当たっていればDPS(ゲーム)と時代と俺がいる時代は100年ほどの時差があると考えられる。そしてDPS(ゲーム)の時代には七竜なんていなかったはずなのだ。この100年の間に何があったのか……否、何が起こるのか。


「此奴はその昔、黒が世界へ反旗を翻した時にその身を犠牲に黒と共に封印されたのだ」

「黒とは一体何なんだい?それに封印って……」

「ふむ、ほんの5000年前の出来事なのだが、人は忘れてしまったのか?」


 そんな昔の話をされても困る。


「そんな古い文献は学園の書庫にも無かったね。ぜひ聞かせてくれないか」

「では、儀式の前に昔話をしようか」


 シルヴェストルが指を鳴らすとどこからともなく椅子と机が出てくる。


「まあ立ったままも何だし、美味しい紅茶でも飲みながら聞いてくれ」

やはり1stライブは伝説だな

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