11 イベントバトル
投稿し忘れてたので初投稿です
奥を目指して通路を進んでいく、倒した魔物は証拠となる体の一部を切り取り用意しておいた麻袋に詰めていく。
これらは討伐依頼の証拠にもなるし薬の材料にもなるのでそのままギルドが買い取って報酬を上乗せしてくれるという事で出来るだけ回収する。
「しかし結構かさばるな、物を収納できる魔法の道具とかないのかな」
「魔道具の事ですか?」
「そう、それ。4次元的な袋とかダンジョンから一瞬で抜けれる紐とか当たると新しい能力が目覚める弓矢とかないかな?」
「でしたら、時空孔と時空跳でしょうか。どちらも高級品なので持っている方は限られてきます。それと弓矢は聞いたことありませんね」
「まあ最後のはどちらかと言えば呪いの類だしな」
一族が代々受け継いでいく系のヤツ。
それよりも気になることがある。
「今回の依頼ってダンジョンの調査だよな」
「はい、その通りです」
「で、武器屋のオッサンの情報だと内部で増えすぎた魔物の駆除が目的だろうと」
「他の冒険者もご利用になられるお仕事をしている人が嘘をつくとは思えません」
「じゃあこの量って多いと思う?」
「ワタシもダンジョンは初めてですが、増えすぎたと言うには少ないかと」
だよなあ、そこそこ歩き回って成果が一杯になった麻袋一つ、これを多いと言うにはいささか難しい。
しかしダンジョンに入るのは俺もアリスも初めてだ、もしかしたら本当にこれで多いのかもしれないし、もしかしたら武器屋のオッサンが知らないだけで他の冒険者が既に魔物を駆除した後なのかもしれない。
と、もしかしたらを重ねたところで何か解決するわけでもなし、先に進むしかないのだ。
2つ目の麻袋が半分ほど溜まった頃、通路の先に開けた場所が見えた。
「この先が一番奥の部屋ですね」
「攻略本にはなんて書いてある?」
「ただの部屋とだけ、階層主もいませんし、何か宝箱があるとも書いてありません」
「それじゃあさっさと見て帰ろうか」
歩を進め部屋の前に来ると俺たちは足を止めた。
地図上では一辺10mほどの四角い部屋だが、今目の前にあるのは直径20m位のある円形の広間だった。
「なんじゃこりゃ」
「こんなところ地図にはどこにもありません」
「ちょっと見せて、ここがスタートで……こう行って、こうだから……確かにここが最奥の部屋だ。一体ここで何が……待て、あそこに何かあるぞ」
すり鉢状になった部屋の中心向かい落ちているものを拾い上げる。
黒いひび割れた器のような。
「これ器じゃなくて卵の殻か?だとするとダチョウの卵よりデカくないか?」
だとすると孵化した奴が近くに居ることに……ヤバくね?
「ユート様!上です!」
「お約束じゃんね!」
アリスの言葉を聞いて上を見ることなくその場から転がるように飛びのく。
殻が何かに踏みつぶされて粉々に砕ける。どうやら俺は巻き込まれなかったようだ。
「あっぶねえ、危うくエリック上田になるところだった」
「ユート様、ご無事ですか?!」
アリスがすぐ傍まで駆け寄ってくる、俺も態勢を立て直し腰の剣を抜く。
さてはて俺を踏みつぶそうとしたのはどこのどいつだ?コウモリが落ちてくることはないとして大型蜘蛛か?もしかして卵の持ち主の魔物か?
眼前の敵は高さ5m程のつるっとしていてプルプルの……スライムだった。
「いやスライムかい!!!」
「ユート様!来ます!」
「え?は?おわっ!」
巨大スライムがその体を伸ばし叩きつけてきた。そこらへんに居た水溜まりモドキなスライムとは違い明確にこっちを攻撃してきた。なかなか好戦的なようだ。
何とか避けて切りつけるも中の水分が出てくる様子はない。
「このスライム、皮が厚い!」
「ワタシのナイフでは表面を削る程度しかできません」
スライムを倒すには核心を破壊するしかないのだが核心を覆う核凱、中身たる水分、それらを包む皮と3重の守りになっている、小さければナイフでも突き刺せば終わるがこの大きさでは俺の剣も爪楊枝とさほど変わらない。しかもよく見たら核心がぱっと見で10個以上ある。
「倒せると思うか?」
「はっきり申し上げますと、無理です」
よし、逃げよう。しかしスライムの攻撃を避けた方向が悪く、入り口と俺たちの間にスライムが来てしまった。脱出するには一度スライムと交戦しなければ無くなった。
「ユート様、ここはワタシが」
「囮になるから逃げてくださいって言ったら俺を囮にしてもアリスを逃がすからね」
「しかしそれでは!」
「だから二人で逃げ切るよ」
「……わかりました」
さて、どうしたものかと悩んでる間にもスライムはこちらに向かって……来てない?
伸ばした体を元に戻しながら体をプルプルと震わせている。スライムだから見えてないのだろうか?
だとするとこいつは何を根拠に攻撃をしてきた……試してみるか。
「ユート様?」
「しっ、静かに」
足元にあった石ころを投げてスライムの足元(?)に落とす。すると体を伸ばして石ころを飲み込んだ。
やっぱり音か……さっきの声には反応しなかったってことはそんなに遠くのは聞こえないのか。
「アリス、合図を出したら全力で入り口まで走るよ」
「はい」
投げるものは……盾でいいか、縁が金属で補強されているから大きな音が鳴るはずだ。
腕から外し、縁を掴んでフリスビーの構えをとる。出来るだけ入り口から遠ざけるためにスライムの向こう側に投げるしかない。
「せーの……キャプテン・スロー!」
投げ出された盾は大きな弧を描き巨大スライムを飛び越え向こう側に落ちガラガラと大きな音を立てながら転がった。
「今だ!GOGOGO!」
腰の剣が揺れないように押さえながら走る、アリスは俺の前を先導するように走り出した。
スライムは思惑通り盾の方に体が向かっている。
下手に鉄製の防具をつけていたらガシャガシャなって危なかったかも、革装備でよかった。
安堵しながら走って入り口まであと少しのところまで来た時、急にスライムの方が明るくなった。
“スライムは10匹も集まると知能が1000倍以上上昇し魔法も使えるようになります”
嫌な事を思い出してスライムを見ると核心が規則正しく点滅を繰り返していてその頭上には大きな火炎球が浮遊していた。
「うっそだろお前……」
「……っ!」
「アリス!ダメだ!」
異常に気付いたアリスが俺とスライムの間に立って入る。
スライムも足を止めたアリスに火球を向けた。
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