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106 低階層

8月になったので初投稿です

 上級ランクの冒険者24人は迷宮(ダンジョン)を迷うことなく奥へと進んでいく。途中で何度か戦闘があったが、特に苦戦することなく倒していった。


「とは言え、狗人(コボルト)2匹に8人は戦力過剰じゃないか?」


 1匹に付き1パーティ分だ、低層の時点でそこまで戦力を出し続ければ10層のヒュージスライムに行く前に息切れしてしまう。


「これでも体力の消耗を抑えている方なんだよ?しかも今のは群れの周辺を警戒している見回りだ。増援を呼ばれる前に叩く必要があったからね」

「呼ばれるとまずいのか?」

「そうだね、狗人(コボルト)の強さは身体の大きさに比較するんだ。あの大きさなら群れのボスでもおかしくないけど、それが見回りをやっているという事はかなりの大所帯とみていいと思う、多分呼ばれてたら全員狗人(コボルト)の晩御飯になっていただろうね」


 そんなにか、ならさっさとこの区域を抜けた方がいいな。マッチョ氏もそう考えているのか全員に急ぐよう伝令が回ってきた。クレアとソフィーは既にクー助の背中に乗って移動している。二人とも夜更かしをしたのか団体の真ん中という事もあり舟をこいでいた。


「次、『迅雷』前に出てくれ」

「おっと、俺達の出番か。了解した」


 先頭が一戦する毎にパーティを入れ替えていき出来るだけ消耗を抑えるという作戦らしい。最後尾は奇襲に備えて常に後ろを警戒している。マッチョ氏の『大胸筋(ペクトラリス)』は伝令役や進行方向の決定などを行って全体を指揮している。また『鋼の肉体(ビルドマッスル)』からもう1パーティ来ている。それが迷宮(ダンジョン)に入ってからずっど殿を担当している『大臀筋(グルティアス)』だ。

 彼女らはマッチョ氏と同様にその肉体美を見せつけるかのように最低限の防具しか身に着けていない、その形状を分かりやすく言うのであれば、ビキニアーマーだ。胸と股間、あと申し訳程度に肩に装甲の付いたそれはこの異世界においても異彩を放っていた、というかアリスの様な回避重視の軽戦士が胸当てと兜のみならともかくその鎧しか着ていないのは最早ギャグである。毒虫に刺されたらどうするのだろう。しかも時々自分の尻を自分で叩いてるし、何あれ怖い。


「さて、先頭に来たわけだがエリちゃんは戦えるの?」

「まかせてくれたまへ、弓には自信があるんだ。それにここにはおじいちゃんに何度も連れてきてもらっているからね、道順はしっかりばっちりだよ」

「それは頼もしい」


 とは言え斥候しているのはマッチョ氏のパーティメンバーなので俺達は進行方向にいる敵を倒すだけなのだが。


「『迅雷』」

「うぉっ、あ『大胸筋(ペクトラリス)』の……」


 誰だっけ。


「バイセだ、この先の曲がり角の先に狗人(コボルト)が3匹いる。君達とあと2パーティで討伐を……」

「先に狗人(コボルト)の状況を見させてくれないか」

「む?分かった。こっちだ」


 案内された先を見れば確かに狗人(コボルト)が3匹いた。しかし真面目に辺りを警戒しているのは1匹で残りの2匹は肉を食っている。しかし見張りも肉が気になるのか頻繁に2匹の方を見ている。


「アレなら俺達だけで大丈夫だ」


 俺の言葉にバイセは信じられないモノを見るような目で見てくる。


「やれるのか?」

「要するに呼ばれる前に倒せばいいんだろ?」


 改めて距離を測る。歩数で言えば走って20歩位だろうか、凡そ3秒でたどり着けるな。某科学漫画で奇襲の効果は20秒と言っていたし、倒すには十分な時間だ。


「ソフィー、あの見張りの一匹を倒せるか?出来るだけ静かにな」

「それなら『(レイ)』が妥当かな」

「あのレーザービームか、じゃあ俺とアリスが走り出した瞬間に撃ってくれ」

「分かった」

「よし、アリス」

「いつでも大丈夫です」

「じゃあ俺は右側をやるから左側を頼む」

「承知しました」

「じゃあカウント3から、3……2……1……今!」


 角を飛び出す俺とアリス、ソフィーは杖を狗人(コボルト)に向ける。


「『(レイ)』」


 通路の端を駆け抜ける俺達の間を一条の光が走る。ソフィーが操っているので当たる事は無いだろうけどアレが当たればと思うと少し緊張する。ソフィーが放った光の刃は立っていた狗人(コボルト)の首を撫でる。見張りの狗人(コボルト)が立ったまま動かなくなり、その事に気が付いたのか肉を食べていた狗人(コボルト)が小突く。


『■■■■!?』

『■■■■!』


 小突かれた拍子に見張りの首が転がり落ちる。突然の出来事に身体を飛び起こす狗人(コボルト)2匹。


「立ち上がってくれたおかげで狙いやすくなったな」


 見張りの方を見ている狗人(コボルト)の首に向かって剣を振り抜く。


『■?!■――』


 こちらに気付いた狗人(コボルト)が声を上げる前にその首を撥ねる。2つ目の首が地面に転がり光になって消える。アリスの方を見れば首を切り裂かれて喉から血を吹き出した狗人(コボルト)が地面に倒れる瞬間だった。


「おつかれアリス」

「ご主人様も見事なお手並みでした」


 武器をしまい角に戻りソフィー達と合流する。


「いやぁ見事な手際だね、ボクの出番なかったよ」

「まあ少数だったからな」

「ふぅむ、アレをたった3人で相手するのか」


 うお、マッチョ氏急に出てこないでほしい。この人見た目の割にステルス性能高いんだよ。


「ふむ、しかしこれなら……諸君、一つ提案なのだが」


 嫌な予感がする。


「君達に10層の低階層主(ローエリアボス)、つまりヒュージスライム攻略のメインアタッカーになってもらいたい」


 ほらね。

やはりライブはよい

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