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100 武器

100回目なので初投稿です

 数日後、冒険者ギルドから大々的に竜種(ドラゴン)迷宮(ダンジョン)への大規模掃討を行う事と人員の募集が行われた。今回は特例で中級クラスの冒険者も下層に限り入る事が許された。

 俺達の様な上級クラスは人数が少ない事もあってギルドから直々に参加するよう命令が来た。まあその指令書の中には護衛の依頼表とその金額が記されていた。


「ふむ……なるほど、秘密というだけあって結構な額をくれるんだな」

「そんなに今回の依頼料いいの?」

「それとは別にエリちゃん……ギルド長が同行するんだ」

「何それ?……え?!あのギルド長がついてくるの!」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「初耳よ!」

「誰だい?そのギルド長というのは」

「この街の冒険者ギルドのギルド長をしてらっしゃるエリちゃん様でございましょう」

「ふうん?そのギルド長がなんで僕達に護衛を?」

「それはクー助が関係している」

「きゅ?」


 その言葉にソフィーが怪訝な顔をする。クー助はソフィーが従魔(テイム)した疑竜(ワイバーン)という事になっている。ソフィーは従魔師(テイマー)の資格も持っているし、そもそも源創種(オリジン)竜種(ドラゴン)を見たことある人間は世界で見ても片手で足りる程度の人数しかいない。疑竜(ワイバーン)だと言えば殆どの人間は信じる。


「まあ待て、クー助の事は誰にも喋っていない。どうやってかは知らないがクー助の正体を調べたらしい」

「本当かい?一体どうやって……この街には『勇者』がいるのかい?」

「いや、居ない筈だ」


 むしろ居たら俺が会いたい、ナンカクアスカの事から察するに、この世界には俺以外の転生者(異世界人)が居る可能性が十分にある。

 とは言え初代学園長は900年以上前の人物だ、情報が無いからどの程度の間隔で転生者が来ているのか分からない。もしいるならば俺の様なスキル(チート)を持っている可能性はあるしそれで異世界無双をしていてもおかしくない。俺が知っているのはヒュージスライムの時に方便として使った鳥の勇者だけだ。


「ギルド長は前から面識のある人物だ。そう悪い事にはならないよ」

「ボクからすればクー助の正体をダシに強制させているように見えるけど?」

「ギルド長の立場からしたらクー助の正体が分かれば俺達はただじゃすまないよ。それを黙っていてくれているんだ……向こうのお願い位聞かないとね」

「むぅ……確かに」


 理解はしてくれたようだ。納得はまだだろうが、追々してくれればいい。


「そういう訳で、今度の迷宮(ダンジョン)は『風切りの洞穴』だ。ギルドからの依頼は魔物(モンスター)の掃討、ギルド長からの依頼は迷宮主(ダンジョンボス)までの護衛、俺達の目的は魔鉄の収集だ」

「何故魔鉄の収集を?」

「俺の剣の強化素材として風属性の魔鉄が必要なんだ。ほら、剣の付加(エンチャント)風刃(エアブレイド)を使うだろ、付加(エンチャント)で使う属性と武器の属性は合わせた方がいいんだって」

「なるほど、そういう訳だったのですね」

「にしたってあんたの武器ばかり強化してない?あたしは攻撃しないけど前に出るアリスの武器も強化しないの?」

「いえ、ワタシは別に……」

「確か昔から使っているって言うナイフだったよな」

「はい、これです」


 アリスが腰からナイフを一本置く。魔力視のスキルで改めて見ると魔鉄が使われているのが分かる。風属性だな。


「なあユート、そのナイフ何かおかしくないかい?」

「おかしいって、何が?」


 ソフィーにナイフを渡すとマジマジと柄と刀身の間を見る。


「ほら、このナイフ魔鉄が刀身にしか使われてない」

「刀身に使われていれば十分じゃないか?」

「普通なら握りを付けるための部分が伸びているだろ、その部分から魔鉄の魔力(オド)が見えてこない」

「言われてみれば確かに……」


 中子と呼ばれる部分の事だ、そこだけ別の金属を使う事はありえない。ナイフの魔力(オド)を見ると確かに刀身からしか出ていない、柄の部分は何も魔力(オド)を感じない……?


「アリスそのナイフに付加(エンチャント)を施してもいいか?」

「はい、どうぞ」

「ありがとう……『風刃(エアブレイド)』」


 ナイフを手に持ち風属性の付加(エンチャント)をかける。


「うぉっ、なんだこれ」

「きゃっ、ちょっといきなりそんな大きなの出さないでよ!」

「これは、随分と立派なのが出来たね」

「このような大きくて逞しいのは始めて見ました。流石ご主人様です」


 『風刃(エアブレイド)』の事だよね?しかし俺がこのナイフにかけたのは一回り大きくする程度の魔力量だ、今このナイフから展開されている風の刃は俺の剣を超えた大きさになっている。


魔力(オド)を吸われたとも違う……抵抗が無いって言った方が近いかな?」

「抵抗が無い?」

「ああ、付加(エンチャント)をかける時って武器の中に魔力(オド)を押し込める感じで出力するだろ?」

「ボクは表面を覆うようにしてるかな」

「あ、そうなの……まあ俺はそういう風にしているんだけど、その時の抵抗感がまるでなかったんだ」

「ふむ、それならもっと調べた方がいいかもしれないね。ユート、顔を貸したまえ」

「ん?いいけどなにするんむ」

「なっ?!」

「……っ」


 頭を掴まれてキスをされた。びっくりはしたが『親愛の絆』が発動して理解する……いやに長いな。


「あ、あああああ、あんたたち、いきなり何してんのよ!」

「……っぷは、何って彼のスキル発動させるにはキスをしないといけないんだろう?」

「初回はそうだけどそれ以降はしなくていいんだぞ」

「なんだ、そうなのかい?じゃあ次からはもっと時と場合を選ぶとしよう」

「どういう意味よ!」

「……」


『親愛の絆』が発動したことによって魔術関係のスキルが統合され『庭師の日常』に変化する。これによって魔力(オド)ではなく魔素(マナ)の動きが見える様になった。心なしかアリスの魔力(オド)が冷たい気がする、視線も冷たい。


「しかし改めて見ると、この刀身の中に何か入ってるな」

「ふむ……この魔鉄の刀身、もしかして中身を隠す為の鞘なんじゃないかい?」


 鞘、というよりは仕込み杖に近いんじゃないだろうか。どちらにしても本命の中を隠す為の細工と考えていいだろう。


「と、なってくれば細工は……これか?」


 柄と刀身の間にある小さな穴を見つけ、そこに入りそうな針を刺し込んでみる。するとカチッと音と共に刀身が外れた。そっと外してみるとそこには青白く輝く金属で作られた本当の刀身が収まっていた。


「ご主人様、これは……」

「ソフィー、これが何かわかるか……」

「ボクも始めて見るけど、君が思い描いている物で間違いないと思うよ」


 魔鉄や魔銀(ミスリル)を凌駕するであろう圧倒的存在感。前の世界でも伝説の金属として知られ、この世界でも最上位として扱われる金属。


魔金剛(オリハルコン)……まさかこんなに早くお目にかかれるとは」

ドラゴンなクエストの8番目を久しぶりにやり始めた

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