01 ヒロインは3ページ以内に全裸にしろってばっちゃが言ってた
初投稿です
――夢を見ていた。
剣と魔法の世界で冒険者をする俺を。
――ただのオタクなのに。
美少女に囲まれて幸せそうな俺を。
――彼女どころか女友達もいないのに。
数々の発明品を生み出し巨万の富を得る俺を。
――ただのしがない平社員なのに。
幸せそうに人生を謳歌している俺を。
――あぁ、だからこれは、ただの夢なのだ。
◇◇◇
「頭いてえ……」
眠りから覚めると同時に頭痛が襲ってくる、確か昨日はボーナスが入って友人と飲みに行ったはずだ。
3件目くらいまでは覚えているがそこから先が思い出せない。
「…っていうかここどこ?」
薄暗い部屋を見渡すと、
ベッドに横たわる美少女。
蛍光灯の無い天井。
ガラスの代わりに木の板がはめ込まれた窓。
信じれないほどゴワゴワしたベッド。
ベッドに横たわる美少女。
自分の部屋ではないことは確かであった。
「とりあえず明かりが欲しいし、窓を開けるか」
ベッドからそろりと降りるて窓に近づく、開け方のわからない木窓を四苦八苦しながら開けると日差しが入って来た。
窓の外は似たような木造建築の家が立ち並び、アスファルトではなく石畳が敷いてある。
そして室内を見渡すとやはり俺の家ではないし、壁紙も貼ってない木だけの壁や天井なんて現代日本でもそうそう見ることはないだろう。
「あれだ、地元にあった外国村にそっくりなんだ」
イタリアだったりドイツだったりする人が本当に来るのかわからないレジャー施設、昔一度だけ行ったことがあるがそれによく似ているのだ。
――さて、いい加減現実逃避するのはやめてちゃんと直視しようと思う。
「見間違いであってほしかったのだが……」
ベッドで未だすやすやと眠っている美少女についてである。
歳のほどは十代位だろうか、金色の髪が朝日を反射して眩しい。
もしかしたら家のベッドに転がってる美少女抱きまくらを見間違えたと淡い期待があったがこうもはっきり見てしまうとごまかしは効かない。
「うーん、起こして見るか?俺がなんでこんなとこに居るのか知っているかもしれないし……おーい、起きてるか~?」
声をかけながら彼女の肩を触って揺すってみる……反応なし。
ならば、とシーツを両手で掴み、一気にはぎ取る!
「起きない子は~こうだ!」
舞い上がるシーツ、開けた窓からの光でキラキラ光るホコリ、それ以上に輝く金の髪と白い肌、あれこの子もしかして全裸なので……
「おわぁ!!!!」
持ってたシーツを思いっきり美少女に被せる。
いやいや待ってほしい。これ完全にポリスメン案件だよ?昨日の俺何やったの?
頭の痛みからして二日酔いはわかる問題は酔って何をしたかなんだ……!
「クソっ何も思い出せねえ……!ヤったのか?ヤったとしたらなんで覚えてねえんだポンコツ脳みそが!」
酔って覚えてない犯罪でブタ箱行きなんて嫌すぎるだろ……!
「あ、あの」
「今ちょっと忙しいから後にして」
「は、はい」
「どうやればこの危機的状況を切り抜けられるのか、このままではギルティアンドブタ箱行きは確実、しかし情報が足りなさすぎてどうしようもないし逃げるか?どこに?外を見た限り全く知らない土地だしというかあんなファンタジー中世な街並みがどこにあるっていうんだって今のなんだ?」
ぐるぐるとまとまりのない考えを垂れ流していたら何処から声が聞こえてきた、いや、何処からではない、目の前からだ。
「あの、おはようございますご主人様」
シーツから僅かに顔を覗かせた美少女は確かに俺のことをご主人様と言ったのだった。
勢いで書きました