第93話 対ラツィエル
~アイ目線~
『さて、ボクを倒すんでしょ?キミ達にやれるのかな?』
挑発する悪魔にダールが斬りかかった。
『アハッ、ほんとに熱いねキミは』
ダールの剣は悪魔を捉えることが出来なかった。
この悪魔は速い。
数度の斬撃をかわし、大振りになった所に光魔法を放った。
私達の方まで飛ばされたが、思ったよりはダメージを受けていない。
今度は私とイグニスで魔法を撃った。
イグニスの魔法は避け私の魔法は魔法で打ち消した。
魔法のモーションが入った為、隙を作った悪魔にノワの闇魔法が放たれた。
悪魔はそれを予測してたかのような動きで避けると、両手で別方向に光魔法を放つ。
ノワは避け、私は防いだ。
両手で撃ったタイミングでイグニスが風魔法を浴びせたが、悪魔は肩をかすっただけに至っただが、イグニスの後ろからダールが飛び出し炎魔法を食らわせた。
ダイレクトに当たりはしたが、魔力の低いダールの魔法ではダメージ量が低かった。
その一瞬を狙ってノワが爪を立て飛び掛かった。
捉えたと思ったが、地面を裂いた時の土煙だけ上がっていた。両手を付きだし、ノワは懐で魔法を放たれ肘を着いてしまう。
悪魔の追い討ちがノワの顔面に放たれようとした瞬間、召喚解除を行った。
魔法は空に撃たれ、私達の魔法は悪魔を捉えた。
『アガァッ!人間が!舐めたことをしてくれる!』
「これで死ねぇ!」
ダールが背後から斬りかかった。
だがそれは見えない壁により阻まれてしまい、悪魔はダールに魔法を撃つ体勢にはいった。
そこに気配を消していたエリュが魔法を放ち、壁の内側が爆発した。
『クソォ!レッドドラゴンか!』
「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ。防御貫通攻撃なんて朝飯前よ!まぁ、とどめは俺じゃねーけどな」
そう言うと後ろを指した。振り向いた悪魔は、ハッとする。
誰もいない。と思ったのと同時に、腹部に強烈な痛みを感じた。
『卑怯な。騙したな』
「騙されるほうが悪いな、悪魔よ」
ダールが悪魔の胴体を斬り裂いたのだ。
『悪魔なのに騙されてしまうとはな…形無しだ。ボクは寝るよ…また遊ぼう』
悪魔は水溜まりになって消えた。
これでサキに自慢が出来る。私だけの力じゃ勝てなかったけど、サキ抜きで戦えたのだ。
自慢くらいしたいもんだ。
私達も疲れきっていた。
サキの所へ戻ると、そのまま一休みすることになった。




