第91話 再生した者
裏側では守盾竜が防御魔法を張りながら徐々に距離を詰めていく。
大首のブレスは止むことはないが、防御魔法も破られそうにない。
そのうちに目と鼻の距離まで縮まり、ブレスが防御魔法に反射して、小さい首達を焼き焦がした。片側の殆どが焼かれて地面に音を立てながら落ちていった。
それにより、双方の顔が歪むのを見過ごさなかった。
ジャンヌとジルコートは此方を向いている首目掛けて一直線に飛んだ。
慌ててブレスを吐こうとしたが、顔面にジルコートのブレスをくらい、ジャンヌが首と首の間の付け根へと飛びかかり双方を斬り裂いた。
その攻撃は止まらず、どんどん深くまで刻まれていく。
小さな首がジャンヌを見やるも、瞬時に斬り落とされてしまう。 だが鬱陶しく思ったのか、背中を滑り、地面に着地するまでの間に小さい首の殆どを斬り裂いた。
ジルコートとノワルヴァーデ、エリュテイアと守盾竜に別れ、双頭を追い詰める。ジャンヌに付け根をやられた為動きが鈍い。此方の攻撃の効きも悪いが向こうの攻撃も衰えており、当たることもない。
このまま行けば勝てると思っていた。
突然、果樹護竜は飛び上がり空へと舞っている。翼と呼べるものを無くさかたので魔力だろう。
戦闘開始から今まで1歩も動くことはなかったのに今更ながらどうするつもりなのか。
身体が淡く光り始めた。
「ヤベーぞ!!お前等早く来い!!」
慌てたエリュテイアは攻撃を再開した。
しかし時すでに遅かった。
背中の首はみるみる生えていき、付け根や負傷者部分も塞がっていく。
「自己再生持ちとはな!クソったれが!」
『赤。落ち着いて』
「俺はいつも冷静だ!」
その巨体が異形な翼を羽ばたかせ、高度を上げた。
双頭の口には光りが溜まっていく。
「あれこそマズイわね」
「今度こそ阻止すんぞ!」
「ジャンヌ。乗って」
ジャンヌを乗せたジルコートと竜達は飛翔し、その間にも魔法やブレスを放っている。
しかし、果樹護竜の溜めは止まらない。
「ダール!俺に掴まれ。飛ぶぞ!」
「は?え?あ、ああ」
ヤツの狙いが解った俺はダールを呼び寄せ、転移した。




