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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第89話 肉塊と剣神

 


「いやー、良かったぜ。俺一人だと心細くてな」

「此方こそ助かります」

「敬語なんか使うなよ。着くなら早いほうがいいもんな」


 男の名はダール。俺達四人はダールが契約しているスレイプニルという馬型の召喚獣にチャリオットを牽かせて廃村に向かっている。

 このチャリオットもダールが出した物だ。


「俺は運がいいぜ。灰色の風と銀翼に会えるなんてな」

「灰色?」

「なんだ嬢ちゃん知らねーのか?そこの爺さん、昔はブイブイ言わせてたんだぜ」

「そんな昔の話を引っ張り出すもんじゃなかろう。今は引退して称号も返しとるわい」

「やはりイグニスさんは色付きだったんだすね」

「お爺ちゃん強いもんね」

「照れるのぉ。15年も前の話じゃ」


 イグニスは現役当時は灰色の風の称号を得ていた。しかし、歳には勝てないらしく冒険者を引退したが、余生も青竜を追い求める旅をしているのだとか。


「ちなみに俺はAランクだ。嬢ちゃんと一緒だな」

「私の事も知ってるの?」

「有名だぜ。銀翼の最強の盾だって」

「矛でもあるよ」

「そうかそうか。嬢ちゃんは最高のパートナーだな!おっ、森が見えてきたぞ」


 目の前に森が出てきたが道なんてなく、木がうっそうと生い茂っていた。


「スレイプニル!突撃ー!」


 ダールはそのまま突っ込ませ、木々を薙ぎ倒して進んでいく。


 程なくして森を抜けると朽ち果てた廃村に到着した。


 もう何十年も前に人に見放されたように家の原形を留めている建物はなかった。

 いや、一軒だけこの場所に似つかわしくない真新しい建物があった。


「なんだありゃあ?」

「ダールよ。ちと下がっておれ」

「そうだぞ、ダールさんは召喚しっぱなしだったんだから休んでてくれ」

「なーに!あんくらい何ともないぜ」


 俺達はその怪しい建物に向かうが、両脇の家だった残骸から魔物が飛び出してきた。


「なにあれ!?」

「酷い臭いだな。あれがフレッシュゴーレムってやつか?」

「多分そうだろ。俺も初めて見るぜ」


 魔獣の頭部に、人間らしき顔が埋め込まれた禍々しい胴体を持ち、悪臭を放っている化け物が二体出てきた。


「儂に任せな。来なされエリュテイア」


 頭上から現れたエリュテイアは文句を言いながらフレッシュゴーレムを焼き払った。


「次は食えるもんにしてくれよな」

「次もどうかのぉ。悪魔じゃからな」

「悪魔かよ!ん?おい爺さん。アイツ等生きてんぞ」


 焼かれて崩れ落ちたはずのフレッシュゴーレムが立ち上がった。

 ならばとエリュテイアが炎を纏った岩を撃ち出した。

 二体とも岩の下敷きになって燃えている。これで終わりかと思ったが、そこから這い出てちぎれた部位を再生させていく。


「しつこい連中だな!」

「赤竜よ!俺に任せてくれ」


 前に出たダールが召喚獣を喚び出した。

 先程のスレイプニルに乗る人影が光りの中から映され、1歩1歩と魔法陣から姿を現す。


「やっちまいな!オーディン!」


 スレイプニルは普通の馬より遥かにデカい。それに股がるオーディンもデカかった。


 フレッシュゴーレムに駆け寄っていく人馬は二体の間を通りすぎて止まった。

 何が起きたんだと思ったら、フレッシュゴーレムが細切れとなって地面に転がった。


「あの一瞬であの威力かよ」

「だろう?アイツはスゲーだろ」


 此方に向かってきたオーディンは俺達を飛び越え、宙に浮かんだ魔法陣の中へ消えていった。






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